日常は突如崩れ始める
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。そんな女性がいると、The普通と言うような女子は霞んで見えてしまう。ウチのクラスにはそんな完璧な女性がいる。私の友達でもあるけれど、友達であっていいのかと思うくらい差がある。
まあ、一度私なんかが友達であっていいのかと聞いてみたこともあるが、号泣されかけた思い出がある。
そう。彼女はよく言う男子からは注目の的になっているが、一部の女生徒からはおもいっきり敵視されている系のモテ子なのだ。
「ねぇ、ユンちゃん。お腹空かない?」
ユンちゃん…それは私のアダ名。的部 尹と言う意外と見ない名前だが、それだけで容姿何かはごくごく普通だと思う(というか思いたい)。
「確かに空いたかも…でも、みっちゃんダイエットするって言ってなかった?」
「あ、明日からするし!へ、へーきへーき!」
みっちゃん。彼女のアダ名。倉沢 深月ちゃんこそが全てにおいてパーフェクトな私の友達であり、憧れ。
「はあ、そのワガママボディが私みたいにポヨ腹になっちゃうよ?」
「それはそれでありだと思う。」
「いや、ないって。そんなんになったらお腹を枕にしちゃうよ?」
「えっ!だい…んん、ダメだよ~。」
みっちゃんはときどき怪しいセリフを吐くことがある。何なのかはわからないが。
「ほ、ほら!駅前のレストランいこ!」
「買い食いってレベルじゃないよぉぉぉ!ホントに太っちゃうよ!」
「べ、別にいいし。痩せれば問題ないから」
何を言いやがるんですかと思うくらい当たり前に言う痩せればは多くの女生徒を敵に回している。私?私は諦めてるからいいかな……。
「さ、いこいこ!」
「もぉ~みっちゃん、待って~。」
なんだかんだ、楽しく学生生活をおくれているのは彼女のおかげなんだよな……。あぁ、いつまでも続けばいいのに……そう思った。
……ついついフラグを建ててしまったから慎重にいこう。曲がり角からトラックとか転生ものではよくあるからなぁ。
「ユンちゃん~遅いよ!」
安全第一でゆっくり行ってたらみっちゃんが腕を引っ張ってくる。結局走るはめになったのは言うまでもないだろう。
「ううぅ……く、苦しい……。」
「みっちゃん……食べ過ぎだよ……。私も…だけど。うぷ、夕食いらないなぁ、これ。」
結局、超美味しいと有名のレストランに入ってしまった。挙げ句、みっちゃんがたくさん頼んだゆえ限界まで食べてしまったのです。
「こんなの確定で太っちゃう……はぁ……」
「大丈夫、大丈夫~ユンちゃんは可愛いからさ!」
「……変な意味はないんだろうけど、悲しいような悔しいような……」
太ってる方が可愛いと言われているような……そんな気がした。私もダイエットしようかな?……今さら無駄か。
「じゃ、そろそろ帰ろっか!」
「うん。……あ、でも微妙な時間だ。私の家がある駅までいく電車もうちょっと後だな。」
「えっ!じゃあ私も待ってるから一緒の電車乗ろ♪」
「いいけど……三十分くらい先だよ?」
「問題ないない♪ね、その間に散策でもしない?この辺の。」
いいよと返事をして周辺を歩く。お腹がパンパンだったからちょうどいい。このまま電車に乗ってたら吐いてた可能性もあったし。しかし、その後私は後悔することに……。
「あれ?こんなところに鳥居なんてあったっけ?」
歩いていると古びて色落ちしてしまっている鳥居を見つけた。普段はきっと気にしないその鳥居に私は神秘的ななにかを感じていた。
「さぁ?でも折角だし見に行こ~♪ユンちゃんもおいでよ。」
「ちょっ、待ってよ!」
ずかずかと鳥居のなかに入っていくみっちゃん。放置するわけにもいかず、ついていくことにした。
奥にあったのは古い社。狛犬がおいてあるような台はあるものの、なにもおいてないがため、寂しさを感じさせた。
「……なんだろう、寂しい社だね。」
「そう…なのかな。ユンちゃんは優しいね。」
「ん?何で?」
「ん~……わかんない♪」
「それは私が言いたいセリフ。」
「あはは♪折角だしお参りしよ。」
みっちゃんは手を合わせてお参りをする。私もと思ったとき、台の後ろにひっそりと落ちている石像を見つける。その像は、とぐろを巻く蛇の像だった。
(これ、台の上にあったものなんじゃないかな?)
そう思い、少し重かったが必死で台の上に戻す。なんだかしっくり来る。やっぱりここにあったものがなにかで落っこちたのだろう。どうやって落っこちるのか知らんけど。
「ふぅ。あ、そろそろいい時間。駅まで戻ろ、みっちゃ………みっちゃん?」
その場にみっちゃんは居なかった。元々そこには誰も居なかった。そうとも感じられる。
「……みっちゃん?どこ?ねぇ!隠れてないで出てき……ぐ……?あ……れ……?…きが……」
突然の呼吸困難に私はその場に崩れ落ちる。何が起こっているのかわからない私の目に映ったのは白い美しい蛇だった。
(へ……び……?……綺麗……だな……。)
それを最後に私の意識は闇へと落ちていった。
読んでいただき誠にありがとうございます。シア風です。
今回の作品は(なろうでは)処女作です。
さて、みっちゃんはどこに行ってしまわれたのでしょうか?次回をご期待していただけると励みになります。
それでは( ^ω^ )