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第一話 異世界へ

衛士は20歳ぐらいの青年と思ってください。



 小野塚おのづか 衛士えいしは、自衛隊に入隊から一年の新隊員だった。

 だが豪雨災害によって、救助中に土砂災害に巻き込まれてしまった。



 「…はぁ…ついてねぇな…救助中に土砂崩れかよ……。」

 

  耳元で、隊長がが無線で「待ってろ!今救助するからな!…全く、お前は仕事ばかり増やして!」と言って来てくれているが、その声が鼻声であることぐらいは、雨音であまり聞き取れなくても分かる。


 「隊長…俺、もうダメみたいです。……あぁ、寒くなってきた。」


 この声が届いたのか、俺の耳が聞こえなくなったのか、無線を通しての隊長の声が聞こえなくなった。 


 ザーザーという雨音が響く中、俺は瞼を閉じた。


 

 とか思ってた。

 

 突然何も無い真っ白な空間に、俺は移動していた。

  

 目の前には、偉そうに椅子に座っている女神っぽい格好をした女…いや女子高生がいる。

 銀色の髪が腰の辺りまで伸びていて、セーラー服を着ていて女子高生と思わざるを得ない。

 美人というよりは、可愛いほうに入るだろう。


 「…今から、あなたには別の世界に行ってもらう。」


 ……え?いや……逆らったらだめオーラが凄いから大人しくしよう。

 そういや、5~60年位前の流行の中に、こんな感じの流れの作品があったとか聞いたな。 


 「理由は?」

 「……長くなる…いい?…私は、メラリ。よろしく。」

 「…はい、よろしくお願いします。」


 本当に長かったので、話を聞いた上で要約した。

 一行で言えばこうなる。

 

 メラリさんが国を創ったが、今は滅びそうになっている。

  

 「…だから、貴方にはその国の復興を…して欲しい。」

 

 そこまで語り終えた時のメラリさんの目は、赤くなっていた。

 なんでその世界に戻れないのか?と聞いてみたかったが、それを聞けるほど俺に度胸は備わっていなかった。


 「…分かりました。引き受けます。…その国の名前はなんといいますか?」

 「……エカマリア。」

 

 そこまで言って、メラリさんは目から涙を零した。

 すると、恥ずかしくなったのか急に後ろを向いて、こちらに小さく伝えた。

 

 「……任せた。」

 

 それと同時に、俺の体は足から消えていく。

 

 そして、俺が頭だけになった頃、シロさんは突然こちらを向いた。


 「……贈り物…忘れた。」

 「え゛!?」


 俺はそこで意識が途絶えた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 

 気が付けば、森の中だった。日はまだ高い。

 

 俺の服装は、救助時の迷彩服のままだ。ヘルメットもついている。

 ナイフの切れ味や、方位磁針が使えるかを確かめていたところで、甲高い女性の声が聞こえた。

 耳をすませば、金属音も聞こえる。


 「…まぁ、助けるに越したことは無いか。」

 

 足の裏の土の感触を楽しみながら、悲鳴のほうへと走り出した。

  

 広葉樹よりも、針葉樹が多いため、腐葉土などの柔らかい土ではない分走りやすい。


 1、2分程度走ったところで、馬車を囲んで戦闘になっているのが見えた。


 重苦しそうな金属鎧を着けて、馬車を背にしながら剣を振るっている男達と、ボロボロの暗い色の布を体に巻き付けただけの男達が、ナイフを振り回していた。


 鎧側のほうが、劣勢のように見える。馬車の中には、誰かが乗っている様だった。 


 音を消しながら近づく。鎧のほうは、こちらに気付き一瞬戸惑っていたが、俺が口に人差し指を当てると、頷いて戦闘に戻った。


 「おらおらぁ!戦闘中によそ見とは騎士様もいいご身分だなぁ!?」

 

 そう叫んだ男の首筋をナイフの先端で撫でる。


 「なっ!?」


 男は、急に俺のほうを向く。


 「戦闘中によそ見とは盗賊もいい身分そうだな?」


 元々戦闘中だった鎧の男に、そう言われながら袈裟切りにされた。


 「なっ!?なんだお前は!?そんな変な格好しやがって!…お前ら!やれ!」


 なぜだか戦闘をしていなかった盗賊側の男が、いきなり大声を出した。

 すると中々統制が取れているようで、指示を出した男以外は俺に向かってきた。


 …その指示を出した男は、相手する盗賊がいなくなった騎士達に袈裟切りにされていた。

 馬鹿なんじゃなかろうか。


 その男が切られたのを、盗賊達が見ると叫びながら森の中へと逃げて行った。


 「…ありがとう、助かったよ。…その、中々個性的な格好をしているけどどこから来たんだい?」

 

 盗賊の行動に驚いていると、騎士の一人が俺に話しかけてきた。


 別の世界から来たと言って、信じてもらえるだろうか。

 「別の世界から来たと言って、信じてもらえるだろうか。」


 …あ、声に出てしまった。どうやって取り繕えばいいんだこれ?

 

 「し、失礼しました!丁重におもてなしさせて頂きます!…馬車に乗れるスペースは無いのですが、どういたしましょうか?」


 騎士達は、一斉に顔を青ざめさせた。


 

 

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