表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
308/364

286 キスの隙


 推しの巫女が卒業したので更新遅れました。





「――あのね、見ていて思ったのは、セカンド君は学者には向いていないね」


「あー、かもしれません」


「面倒くさがって最短ルートを行こうとするでしょう? 学者はね、違うんですよ。近道も遠回りもひっくるめて、全ての道を通って、一つ一つの道について解き明かしていくんです。この道は、なんてことはない砂利道でしたよと、でもこんな形の木が三本生えてましたよと、この木の特徴からするとこれって寒いところにしか生えない木ですよねと、でもここって比較的温暖な地域ですよねと、じゃあなんでこの木が生えているんだろう? どうぞ皆さんこぞって研究してください、ちなみに私はこう思います……っていうのが学者なんですよ」


「なるほど。じゃあ砂利についても調べたりとか?」


「勿論! 砂利の下の土について調べたりもします。要は、学者というのはね、面倒くさがっちゃいけない職業です。ということを考えるとだ、今日の学術大会に集まってきた学者たちはね、正直言って下の下ですよ。学者としての下地すらできていない者ばかりです。仮にも学者を生業としている者たちがだ。私は恥ずかしい」


「へぇ~」


「私に言わせれば、皆ね、楽をし過ぎなんですよ。学者というのは、いや、学者で生きていくというのなら、楽な道を選んじゃいかんと思うわけです。特にイーコイなんかは、確かにね、昔は凄かった、きちんと学者として地道にやっていた頃もあったと思うんですがね、金と権力を持ってからは、そりゃもう酷いもんですよ」


「あなた、少し飲み過ぎよ」


「いいじゃないかカレント。こんな機会、滅多にないんだ。それにね、私はセカンド君に是非とも聞いてほしいんだ! 彼はね、凄いんだぞ、あのイーコイのクソジジイに面と向かって――」


「あなた!」



 夕食も終盤、そこそこ酒も入って盛り上がってくると、カレントさんの旦那さんのセスタさんは、見るからに酔っ払った顔で延々と喋り続けていた。


 あー、なんか、これだよな、これ。俺の想像していた学者って、これだ。ムラッティと同じ匂いを感じる。


 そして、どういうわけか、俺はこういう人の話を聞いているのが不思議と楽しいのだ。



「セスタさんは、どんな研究してるんすか」


「私かい? 私はね、元は言語学者一本だったんだよ。主に昔の文献について研究していた」



 ほほう。



「おや、セカンド君、昔の文献に興味ある?」


「ええまあ。スキル習得方法とか、ダンジョン攻略法とか、そういう文献が代々受け継がれてたりすんのかなーなんて、よく考えますね」


「ははは、そういうのは大概が門外不出の家宝だね。私のような趣味で学者をやっているような者が簡単に触れるようなものじゃない、が……まあここだけの話、オランジ王家にもね、そういう本はあったよ」



 こっそり耳打ちしてくれる。カレントさんに聞かれていたら怒られるのだろう。



「私のやっている研究はね、もっと地味というかなんというか、そうだなぁ……」


 セスタさんは、顎を触って上を向き、考え込む。それからグラスに少し残っていたワインを飲み干すと、「ああそうだ」と思い出したように喋り始めた。



「“命名辞典”ってあるでしょう? 知らない?」


「知らないですね」


「まあ若い子はあまり使わないか」



 命名辞典? なんだろうな、それ。



「多くの人はね、命名辞典か、過去の偉人か、ご先祖様から、名前を頂戴しているわけだ。この命名辞典ね、実は何百年も前から少しずつ形を変えて存在しているんだよ」



 へぇ。そういう辞書みたいなのがあるのか。



「たとえばカレントという名前は、命名辞典によれば“水の流れる様子”を表す言葉らしい」


「なるほど」


「“古代語”の一つだね。遥か昔に滅びた古代文明・・・・で使われていたとされる言語のことだよ。命名辞典にはおそらく何種類かの古代語が交ざって記されているんだけれどね、現代には殆ど残存していない文明でもあるから、それぞれがどのような言語だったか解明するのは極めて難しいんだ。とはいえ、私たちの日常会話に紛れ込んで存在している古代語も大いにあるがね」


「そうなんですか」


「そうさ。イエス・ノーとかも、実は古代語なんだよ。さっき私の言っていたルートという単語も、元を辿れば古代語さ。現代では、固有名詞以外にカタカナで表記するものは、大概が古代語を由来とする単語じゃないかな。聞き馴染みのある単語でも、起源を考えると殆どが古代語と言っていいね」


「その固有名詞も命名辞典を参考に名付けてばっかいるんですよね? ならカタカナの単語って殆ど古代語なんじゃ?」


「そうそう、その通り。君の名前も私の名前も、起源はきっと古代文明にあるよ。もっとも、クソジジイをカタカナで書いたとしてもそれは古代語ではないけれどね、ははは!」



 セスタさん、よっぽどイーコイ教授が嫌いなんだろうな。



「ね、凄いでしょう? 言語が、時代を、文明を、飛び越えてきているんだ。これは命名辞典の複製や保存に尽力した昔の人々と、命名辞典から名前を付けるという文化が長らく受け継がれてきたことが、主たる要因だろうね。あとは、言語の進化に伴って、人々が古代語を現代語へと上手く取り入れることができた点も大きい。現代風古語というか、なんというか。我々は日常会話の中で知らず知らずに古代語を喋っているんだ。そう考えると面白いでしょう? いやあ、今も昔も、人って意外と勤勉なんだよ。しっかり言葉を勉強して、古代語まで使いこなしているんだから」



 おお、なんかメッチャ博識っぽいこと言ってる。


 ただ気になるのは、この人が言語学者というのはよーくわかったが、同時に魔術学者でもあるという点だ。



「セスタさん、魔術・言語学者って名乗られてましたけど、その古代語の他にはどんな研究を?」


「いいね、いい質問だね」



 やったぜ。



「先ほど言ったようにだ、遥か昔、この大陸には古代文明が栄えていたと考えられている。その理由はね……“遺物”にあるんだ」


「遺物?」


「命名辞典によると、遺物についてはこう書かれている――“アーティファクト”。聞き覚えがあるんじゃないかな?」


「ええ、もろに」



 アーティファクトは、古代文明の遺物という設定なわけだ。なるほどな、メヴィオンってそういう世界観。確かに、道理で。まさかこの世界に来てから納得することになるとは。



「これまでに掘り起こされてきたアーティファクトは、見るからに現代文明のアイテムとは逸脱した機構のものばかり。有名どころで言えばマイクやプリンターだ。分解することも製造することもできない、どんな素材でできているのか見当も付かない、そんなアイテムだよ」



 そりゃそうだ。アーティファクトは極めて低確率のドロップ限定アイテムで、製造することはできない。製造できないんだから素材もないし、素材がないから分解もできない。


 でもその分類だと、イベント限定アイテムとか特定の魔物の固有ドロップアイテムとかもアーティファクトってことになっちゃうが……まあいいか。



「私は、その遺物の中でも主に言語に着目して研究しているというわけです。つまり、広義には遺物研究者とも言える」


「それと魔術とどう関係が?」


「遺物が現代文明のアイテムとは様子が違っているように、魔術もまた、他のスキルとは少し様子が違う。古代文明には現代のようなアイテムやスキルが存在していなかったのではないかという説が最も有力だ。それを踏まえ……私はね、魔導書が、ひいては魔術そのものが、古代文明の遺物なのではないかと考えていた」


「!」



 ハッ……とは、したものの。


 うーん、【魔術】は遺物じゃなさそうな気がする。何故なら、習得条件の特殊性という意味では、特殊なスキルは【魔術】だけではないから。



「うん、お察しの通り。君の発表を見て、気付かされるものがあったよ」


「発表? ああ」


「魔術にもまた、他のスキルと同様に習得方法の条件が定められている。魔導書はそのほんの一助でしかない。スイッチをオンにするための、ね。私は魔導書こそが魔術というスキルの特殊性だと思っていたが……どうも色々と考え直さざるを得ないようです」



 あー、そういうね。魔導書を読んだら覚えられる=習得条件が魔導書以外に存在しない=特殊、という理解だったから、魔導書や魔術を遺物だと考えていたと。



「なんかすんません」


「いや、謝ることはない。仮説が正しかったという結果と同じく、仮説が間違っていたという結果もまた、研究においては等しく意義のあるものなのだよ。君の研究はひどく詰めが甘かったが、その目敏いまでの着眼点と、粗削りながら形にした腕力、怖いものなしの倫理観、私は感心した。何度だって絶賛したい気分です。何度でも言うが、研究者には向いていないけどね」


「恐れ入ります」



 褒められちった。へへっ。


 俺が気分よくワイングラスを空にすると、ノヴァがニッコニコでおかわりを注いでくれた。なんだろう、メッチャご機嫌だ。



「セカンドが褒められていると、気分がいい」



 そうらしい。照れるな。



「そうだ、カレント。セカンド君の冊子はなんとしても手に入れなければならないよ。ムラッティ君が言っていた通りならば、発表されていない情報も載っているそうじゃないか。私は是非とも読みたい。今はノヴァ君が持っているのかな?」


「ええ。ノヴァ、見せてもらえますか?」


「よいか、セカンド?」


「いいぞ」


「よいそうです、陛下」


「ありがとう。はい、あなた」


「おお、これが! ありがとう!」



 なんだこれ。伝言ゲームかよ。


 いや、ラズならもっとひねりのある鋭いツッコミを入れるはずだ。たとえば、そう、「マトリョーシカか!」とか? うん、こっちの方がいい。ありがとうイマジナリー・ラズ。また一つ勉強になった。


 ……あかん、わりと酔っ払っているようだ。


 あんまり長居しても悪いし、何か粗相をする前に用を済ませてとっとと帰るのが吉かな。



「カレント陛下、今渡した冊子ですが」


「! はい」



 俺が呼びかけると、カレントさんはぴくりと反応した後、背筋を伸ばしてこちらに向き直った。本当に真面目できちんとした人だな、決して悪人ではなさそうだ。



「俺としては、できる限り多くの人に知ってもらいたいと思っています。なので、陛下の考える限界ギリギリの周知をお願いします。たとえば、宮廷魔術師団を作って、そこの団員全員に公開するとか」


「……わかりました。貴殿のご意向を最大限考慮し、ノヴァと話し合いの上、方針を決定しようと思います」


「ありがとうございます。迷惑かけてすんませんどうも」


「いえ、そんな。よければまた、いつでもお越し下さい。歓迎いたします」



 マジでいい人だなカレントさん。また来よ。



「おおい、セカンド君、もう帰ってしまうのかい? なんだ、まだまだ話し足りないよ私は」


「あなた、本当に飲み過ぎよ。ほら、ポーション」


「カレント、いいか、セカンド君はなぁ、あのイーコイになぁ」


「さっき聞きましたよ」



 この二人を見ていると、お互いに補い合っているのがよくわかるな。良い夫婦関係だと思う。


 もしかしたら、謁見の時カレントさんの隣にセスタさんがいれば、あんな軽はずみな判断はしなかったんじゃないかと思うくらいには。



「ご馳走様でした。では失礼します」


 セスタさんの介抱をするカレントさんに挨拶して、ノヴァと一緒に部屋を去った。



 よし、ひとまず目標達成だ。きっと近々オランジ王国には宮廷魔術師団みたいなのができるぞ。宮廷かどうかは知らんが。


 俺と志を共にしてくれるというノヴァが見張っていてくれるんだから、何も心配はいらないだろう。


 いやあ、それにしても濃い人だったな、セスタさん。なかなか興味深い話も聞けたし、良い時間を過ごせた。若干酔っ払い過ぎていた気もするが、彼は本物の学者だ、それだけは間違いない。信用してよさそうだ。つまり、イーコイ教授はクソジジイで確定。キャスタル王国魔術師会はスリーアウトだな、今度マインに話しておこう。




「……お父様、お祖父様」


「!」



 ノヴァと腕を組んで王城の廊下を歩いていると、道を塞ぐようにしてヴァデルさんとネヴァドさんが立っていた。


 なんだろう、また絡まれるのかな。彼女の家族とはいえ、流石に面倒くさいな。


 そんなことを考えていると、二人は唐突に頭を下げ、口を開いた。



「――申し訳ない」


「――すまねぇな」



 謝罪だ。


 なんについての謝罪だろうか。



「謝らないでください。気にしてないんで」



 俺がとりあえずそう返すと、二人は顔を上げる。


 それから、妙な沈黙が流れた。


 なんか言った方がいいんだろうか? そんな気がする。


 じゃあ、一個だけ伝えておくか。



「あの、お二人って、体術以外のスキルは上げてないんですか?」


「……ある程度覚えてはいるが、上げてはおらん。全て体術で事足りていた」


「バルテレモンは体術の血筋。体術のみで最強の座に至ったのよ……おめぇさんが現れるまではな」



 やっぱり。



「上げた方がいいですよ。覚え方や上げ方は俺に聞いてください」



「――!?」



 伝えたかったことを口にすると、二人は思いのほか驚いた顔をした。


 そんなに嫌なのかな。ロスマンのように、施しは受けたくないというやつだろうか。プライドが許さない? そうかもしれない。


 だが、ここは是非ともぐっと堪えて手札を増やしてほしいところだ。


 俺は二人を応援している。むしろ同情している。


 何故なら、考えようによってはこうとも捉えられるから。二人とも、いや、ノヴァを含めた三人とも、「【体術】だけで最強になれてしまった被害者」だと。


 三代に渡って頂に立ち、向上心を失うべくして失った。


 俺が何か良い影響を与えられれば、幸いだ。それだけのことである。



「クハハッ! お父様、お祖父様、おわかりか? これがセカンドだ。これが私の彼氏だ。セカンド・ファーステストとは、こういう粋な男なのだ。もう惚れ惚れして仕方がない。今すぐにとは言わんが、できればお二人にも、好きになってほしい人だ」



 ノヴァは事あるごとに俺を褒めてくれるな。こういうタイプの人は今まで周りにいなかったからか、惹かれるところが多い。



「失礼します」


 歩き出したノヴァに引っ張られ、ぽかんとしている二人の前を後にする。



 ふと、気付いた。組んでいる腕の握り方が、二人に会う前より強くなっている。


 ……やはりノヴァは、ヴァデルさんとネヴァドさんに対して苦手意識があるのだろう。謁見の時に覚えた違和感は、俺の気のせいではなかったようだ。


 よくよく考えてみれば当然である。人類最強と謳われている娘より強い男でないと交際を許さないだなんて、それはつまり誰との交際も許さないと言っているのと同じこと。言ってしまえば毒親だ。


 それでも、俺の夢の為に、俺との将来の為に、女王の前であのような啖呵を切ってくれた。二人の前で俺のことを褒めてくれた。皆の前で心の内を明かしてくれた。


 聡明だ。そして、静かに、熱い女だ。


 今後の彼女の人生を大きく左右する決断だっただろう。震えただろう。怖かっただろう。


 それをこうも上手くやりきった。弱音の一つも吐かず、最後まで孤独に、冷静に。



「ノヴァ」


「ん? セカンド~、どうした~?」



 相当に勇気がいっただろうに、俺に対しては悩んでいた素振りすら見せない。


 強がる、強い女――。


 ああ、正直言って、メチャメチャにタイプだ。惚れ直した。



「今度から……いや、違うな」


「?」



 俺に相談してくれと言おうとして、やめた。


 陳腐だ。相談など、信頼関係が築かれてから自然とされるもの。いちいち言葉にして要求するようなことではない。


 そう、俺が伝えたかったことは、別に言葉でなくてもよかったのだ。


 じっと見つめ合ったまま、隙だらけの彼女へゆっくりと顔を近付ける。


 最後に見えたのは、真っ赤になって薄らと涙を浮かべながらぎゅっと目を閉じて震えるノヴァの顔だった。



「  」


「……やっぱりか」



 顔を離すと、ノヴァはなんとも幸せそうな顔で気を失っていた。








「ただいまー」



 その後、なんやかんやあって帰宅。


 すっかり遅い時間になってしまった。



「お帰りなさいませ、ご主人様」



 いつも通り、ユカリが出迎えてくれる。


 食事はいらないと連絡していたので、本当に出迎えのためだけに起きていてくれたようだ。



「……あら」


 すると、ユカリは俺に近付いてきて、匂いを嗅いで一言。



「ノヴァ・バルテレモンとお楽しみだったようですね?」


「ぎくぅ!」



 ムラッティとオランジ王国へ学術大会に行ってくるとしか伝えていなかったのに。匂いか? 匂いなのか? 口付けしただけで? 凄いなユカリ。



「ところでご主人様、プリンターの件ですが」


「え? あ、ああ」



 何を言われるかと身構えていると、ユカリはプリンターの話へと話題を変えてきた。


 そう、今回の冊子作りがあまりにも大変だったので、いい加減プリンターが欲しくなったのだ。ということで、ユカリにプリンターを探しておいてくれと依頼していたのである。



「申し訳ございません。市場は表も裏も調べ上げたのですが、発見には至りませんでした」



 ユカリはぺこりと頭を下げて謝った。


 マジか。プリンター売ってないのか。



「調査によると、過去百年以上、市場には出てきていないようです」


「百年!?」



 思ってたより桁が一つ違った。


 それってつまり、俺が購入希望の広告を出したとしても、販売してくれる人が見つかるまで何十年かかるかわかんないレベルで現物が存在してないってことだよな。



「おそらく、王家や印刷会社などは、いくら積んでも手放すことはないでしょう。貴族ならばまだ可能性はありますが、プリンターを持っている貴族が果たして存在するのかというと……」



 いないだろうな、そんだけ貴重なら。王家から買うのも駄目だ、国政が滞る可能性がある。印刷会社は、印刷が生業なんだから手放すわけがない。きっと多くの印刷物を必要とする企業の委託を受けて毎日稼働しているはずだ。


 じゃあ、俺も印刷会社に委託するか? それが一番現実的だろうが、なんか嫌だ。「あそこはあのセカンド・ファーステストも利用してる印刷会社なんですって」と噂になってみろ、「へぇー、世界一位はプリンター持ってないんだー」と思われる。



「ユカリ、ありがとう。ちょっと考え直すことにする」



 とは言いつつも、やはりプリンターは欲しい。


 ああ駄目だ、手に入りそうもないとわかった途端、なんだか凄い欲しくなってきた。


 どうしたものか。誰かプリンター持ってて売ってくれそうな貴族はいないだろうか。



「……あ」



 不意に思い出す。


 パルムズカムと、プロジェクターを借りた相手だ。


 スチーム・ビターバレー辺境伯。


 そう、辺境伯。あいつもああ見えて大層ご立派な貴族様だ。


 もしかしたら、持っているかもしれない。


 よし、そうと決まれば――。



「それではご主人様、寝室でお待ちしておりますので」



 ――の前に一仕事、いや、十仕事か。


 OK、望むところだ。待っていろユカリ、今夜こそはK.O.で決着と行こうぜ――!



お読みいただき、ありがとうございます。


★お知らせ★

書籍版7巻が2021年5月8日に発売予定です。


面白かったり続きが気になったりしたお方、画面下☆から【ポイント】評価★を入れて応援していただけたら最高です! そうすると作者が喜んで色々とよい循環があるかもしれません! 【ブックマーク】や《感想》や《イチオシレビュー》もとてもとても嬉しいです! 「書籍版」買ってもらえたり「コミカライズ」読んでもらえたり「宣伝」してもらえたりしたらもうメッチャ幸せです!! 何卒よろしくお願いいたします!!!


次回更新情報等は沢村治太郎のツイッターにてどうぞ~。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 最近知って読みハマっていたのですが前書きに一言。2021年の5月に卒業した巫女に思い当たりがあります。多分コートを焦がしたエピソードのある金髪ツインテだと思うのですが…… ともあれ、恐らく共…
2023/01/12 21:46 退会済み
管理
[一言] またユカリが正妻面してる…
[良い点] セスタの魔道書~スイッチの解説良かった。 [気になる点] 命名辞典がフワッとしてて何か気になる。 NPCがゲームシステムを研究してる。というプレイヤーから見たらメタ的な発言、行動好きです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ