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プロローグ

 『異世界に行ったら、とある無法地帯ゲームのフリーセッションの様だった件』


                プロローグ


 ぽっちゃり系の為に鐘がなる。六畳一間のアパートで昔ながらの目覚まし時計が鳴り響く。


 夢の中でハーレムを味わっていた自分『引 コモリ』は非常に迷惑極まりない、目覚まし時計にストップボタンを押したが、全く黙る様子がない。非常にウザい、明らかに故障している。


 自分は半分寝ている状態で蹴りを時計に喰らわせた。自分の体重に比例しピンボールのように吹き飛び、煙を上げて黙った。うん、永眠だろう。


 眠い状態でイヤイヤ、布団から重い身体を起こし目を覚まし、無駄に長いロングヘアーを無理やり起こし、何故にこの時間に起きるようにセットしたか夢見心地で考えた。


 うーん。


「……あぁ!!!」

 そう太い声で叫んだ自分は枕元にあるメガネを取りスマホを見て今日が例の最新作ゲームの発売日だと再確認して、慌てて布団から飛び出した。目覚まし時計、ありがとう。キミの事は忘れない。そう思い敬礼した。


 パジャマどころではない、寝起きのだらしない姿は現役引きこもり歴二五年の賜物であり、自信を持って私服に着替えた。と言っても、洗濯してない半そで短パンを着ただけだが。不衛生極まりないが、気にしないのが男。カッコイイ!


 自分は慌てて時間を確認した。十時十分十秒。……何故ゾロ目? そして汗っかきの自分への夏の象徴エアコンを止めた。


「ヤッバ! 開店時間を十分十秒もオーバーした! 急がないと! ……ふう、暑い」


 机に無造作においてある、某アニメの映画館での鑑賞特典財布を片手に急いで飛び出した。


 財布の中身を確認すると中には七千九百四十四円。うん、暫くはカップラーメン生活になるが廃人ゲーマーにはコレくらいなんともない。食欲より物欲! いや両方! コレが世界の真理。イエス!


 無駄にでかい自分の足に汚らしい靴を履いて、木製の防音性ゼロの薄い扉を開いてアパートを出た。毎回毎回、家を出る時はお腹がつっかえて苦しい。


 鍵は財布に入っていて、急いで鍵を締めて、ダッシュで自分は走り出した。


「限定版だからな~。売り切れたら死ぬぞ自分!」


 誰に言っているか分からない自分自答をして、とにかく高速ダッシュ(早歩き)でゲームショップのゲ○に向かった。気持ちとしては音速ダッシュ、スタミナ無限……のつもり。


 夏は本当に嫌になる。ぽっちゃり系の自分には汗が止まらず出るし、息も荒くなるし、メガネも曇る。


 途中、毎回毎回、信号待ちが鬱陶しい車道があり、余りにも慌てていた自分は、そのまま赤信号なのに走った。本当に走ったのだ。


「赤信号、みんなで渡れば怖くない!」そう呟いた。どう考えても一人です、誰に話しかけているんだろ自分……。あれ? 確か昨日見たテレビでこの発言した後、誰か亡くなんなかったけ?


 ……え? まさか死亡フラグ? 誇らしいほどのゲーム脳さすがである。


 なんて、そんな二次元と現実を区別できないほど末期ではない自分である。そんなことは起きなかった。


 ゲ○で急いで駆け込んで、洪水が如く汗を垂れ流しながら、ふーふーと荒く呼吸をしながら、新作ゲームのコーナーへ向かい三本あるはずの印刷されたコピーパッケージの二本が既になく、残り一本を急いで手を出した時だった、見知らぬ手が伸びていた。


 タッチの差で自分が先だった。自分は非常に申し訳ないがどうしても欲しかったので、自分は会釈をし「これ……良いでしょうか?」と言ったら、相手の男性は動揺と後悔と悔しそうな顔を混ぜたような複雑な表情で「あ……はい、どうぞ……」と言った。


 そう言った男性は、そのまま別のゲームを見に行った。自分は非常に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


 ……同年齢に近い、自分と同じゲーム好きの同類の匂いがした。少しオタクっぽいのも自分と似ている気がした。


 自分はその男性を見送り、新作ゲームの会計をした。ポイントカードを提示して相変わらず大してたまらないだろうなあ、と思いながら、財布を取り出した。価格は七千三百四十四円だった。


 まあ、六千八百円の税だからややこしくなるよなあ。自分の財布を見ると丁度良く小銭で四十四円あったので、丁度で出せ、財布には六百円余った。ふう、と一呼吸し、商品の新作ゲームを青い袋に入れてもらい、和気あいあいで店の出口へ向かうときに、先程の男性に出会った。少し気まずかった。


コレも何かの縁でしょうとご丁寧にその男性は名前を教えてくれ、こちらも丁重に教えた。


 松下さんと言うらしく、店の外のベンチで軽く雑談した。主にゲームの雑談。予想通りゲームの趣味趣向は似ていた。楽しく雑談し、その後に自分らは別れた。松下さんは良い人だった。


 帰り道、ルンルン気分でドッスンドッスンとまるで格闘漫画で見た中国拳法の震脚のように大地を揺るがすが如くスキップして帰っていた。百キロオーバーの体重がなせる芸当なのかもしれない。ダイエットするべきだろうか。


その時であった、とんでもなくデカい音のクラクションが鳴った。


左を見ると、作業用トラックが減速せずにただただ、クラクションを鳴らしながら突っ込んできた。


そのまま上を見ると、赤信号だった。


「……え、マジですか?」


結局自分は、死亡フラグを回収してしまった。


 自分の眼鏡の割れる音がした。目が悪い自分の視界は急激に真っ暗になった。だけど、視界だけじゃなく意識も飛んだ。



 あまりに急の出来事だが、走馬灯を見ることもなく自分、引 コモリは今日この日、ゲームを買うために命を代償に即死したのだった。

執筆と設定やプロットの製作者が別な作品です。

二人共々精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。


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