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「うわぁ」


 嫌な予感は見事に的中した。

 袋から出てきたのは――なんとピンクのメイド服。


「えっと、桜井さんだっけ? これ着て」

「そ、それ……をですか?」


 鞠井さんがメイド服を広げて見せる。

 如何にもコスプレ衣装といった感じの安っぽく、そして無駄に露出度の高いメイド服である。


「そ、それはちょっと……」


 本気で拒絶の反応を見せるのは気の弱い桜井にとってはかなり珍しいことだ。

 おそらく本当に嫌なのだろう。


「えー、着ればいいじゃん」


 無責任なことを言うバカデブ野郎は置いておいて、


「桜井。嫌なら無理しなくていいんだぞ」

「せんぱ~い……」


 目を潤ませ、嬉しそうに微笑む。

 やばい……可愛い。


「桜井さん。ちょっと、ちょっと」


 手招きをして桜井を呼び寄せた鞠井さんは桜井の耳元で何か喋り始めた。


「むむ」


 気になるのは何故か俺の方を向いて話していることだ。

 絶対に何か企んでいることだろう。


 桜井は薄ら頬を赤らめ始め、だんだんとゆでダコのように沸騰していく。

 チラチラと俺の方を見るのが気にはなる。


 「わ、分かりました! 着てみます! 

 いえ! 着させてください!」


 ……どうしてそうなった。


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