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とある機械と少女のオハナシ@悠々異世界談シリーズ  作者: 朝霧浩之
01章【悠々異世界談:Prologue】
4/4

【ナンバー0】とナゾの人達



「____ぅあ?」




・・・滝から落ち、助けられた少女。彼女が目を覚ました時に見たのは、白い天井であった。


「(えっと、ここは・・・?)」


 少女はそう思って周りを見渡し、自分が何故、どういった状況でここにいるのかを思い出そうと試みた。が、頭に霧が掛かったようにぼんやりとしており、全く思い出すことが出来なかった。


「(???)」



 覚えているはずなのに思い出せない、と戸惑う中、ノックの音が響く。


「____入りますよー」


 スライド式の扉を開けて入ってきたのは、白衣を着た研究者風の女性。綺麗な翡翠色の髪と紅い瞳を持つ彼女は、起きている少女を見ると驚いた表情を作り、それから顔を綻ばせる。


「まあ、起きていらっしゃったのですね」

「ぁ・・・けほっ」


 彼女の言葉に答えようとした少女。たが喉が張り付いたようになってしまっており、声を発することが出来なかった。


「・・・今水を持ってきますので少し待っててください」

「っ(ちょっと待って下さい!)」


 そう言って立ち去ろうとする女性。彼女に聞きたいことがあった少女は彼女を呼び止めようと体を起こそうとして


「『動かないで、安静にしてください』」

「・・・っ!?」


 見えない『ナニカ』が喉に押し付けられたような感覚と共にベッドに押し戻された。殺気や威圧とも取れるその『ナニカ』に少女は言葉を失くす。


「今は安静にしていて下さい。ね?」


 先ほどとはまた違った意味で動けない少女に翡翠色の髪の女性はそう言って扉に手をかけようとした。が、その瞬間____


「そぉい!」

「!?」「!?」


 ____の掛け声と共に扉が勢い良く開いた。現れたのは地味なシャツとジーンズを着て、その上に白衣を纏った男性・・・つまりは滝に落ちた【ナンバー0】を助けた男性であったのだが、その間彼女は気を失っていたので当然知る由もない。というかどう見ても【白衣を着た怪しいおじさん】にしか見えなかった。


「ありゃ、見事に警戒されてるんですけど何故?」


 【ナンバー0】に警戒されているのに気づいた男性は、目の前に佇む翡翠色の髪の女性にそう訊いて、


「登場の仕方が悪かったんじゃないかと思いますが?」


 間髪入れずにこう返された。若干へこむ男性。が、すぐ復帰する。


「____さいですか。で、水だね? 確かここらへんに・・・あったあった。ついさっき自分用に汲んだ水だが、これでいいかね?」


 とりあえず【ナンバー0】の警戒を解く為、男性は水の入ったボトルを手渡した。



 ####



 【ナンバー0】たる少女が水を飲んで落ち着いた所で、男性は口を開いた。


「そういや自己紹介を忘れてたな。俺の名前は【朝霧アサキリ 浩之ヒロユキ】、一応学者。んでこっちが助手で、君の傷を治した【サキ・ハーメリウム】。 後一人二人居るが後で紹介するとしよう」


 朝霧はそう言うと、隣に座るサキに話を促す。


「朝霧博士の助手で治癒術士ヒーラーのサキです。出来る限りの手を尽くしましたが、まだ痛む所があるなら遠慮なく仰って下さいね?」

「えっと、はい、大丈夫だと思います」


 サキにそう訊かれた少女は、浅く頷いた。それを確認した朝霧は、少女から情報を聞き出すべく、質問をすることにした。


「そんじゃ、次は君の事について色々と聞きたいんだが・・・何か覚えていないか?」

「・・・ごめんなさい、何も覚えていないんです。頭の中にモヤがかかっているみたいで、自分の名前すらもうまく思い出せません」


 朝霧の質問に苦しそうな顔をして答える少女。だが朝霧はそんな事を予想していたようで、


「やっぱり駄目か。頭に結構大きな傷があったからなあ、もしかしたら脳にダメージが入ってるかもしれないと思ったんだが予想通りってとこか。幸いにもサキのお陰で修復は出来たから、後はトリガーを待てばいいか?」


 と言ってのけた。やや意味不明な説明に若干混乱し始める少女。


「えっ、それってつまりどういうことなんですか?」

「要するに、某そげぶ殿みたいに二度と記憶が戻らない訳じゃあないから、ゆっくりしていってね! ということ。 おk?」

「は、はい・・・?」




 その後、少し話がこじれかけたが、結局は朝霧が強引に終わらせた所で昼飯の時間が来た。


「ん、もうこんな時間か。君は昼飯どうする? 何ならここに持って来させるけども・・・ついて来るかい?」

「出来れば一緒にいたいというか、ついていきたいです・・・あっ!」


 少女はそう言って立ち上がろうとするが、脚に力が入らなかったのか転倒しかけた。が、その瞬間少女の身体は浮き上がると、ベッドに腰掛けるような形に落ち着いた。一番びっくりしたのは少女だ。


「お、おう・・・びっくりしたなあ」

「さ、さっきのは・・・?」

「キネシス・・・【サイコキネシス】って言うんだが、わかるか? ESP(超能力)の一種で、対象物を好きなように操れるようなもんだと思ってくれ。 それとサキ、とっさのキネシスありがとな。また昏倒されちゃあ敵わんし」

「?」

「ん? ああ、いま君にキネシスかけたのはサキだ。俺以外のメンバーは全員ESP持ちでな。キネシスは勿論テレパスや透視とか色々使えるんだ。全く頼もしくて涙が出てきそうになる」


 つい先程、無理に起き上がろうとした少女に威圧する形で押し付けられた【ナニカ】も、ESPの一種であるらしい。


「そ、そうなんですか・・・?」

「おう。自分で言うのも何だが、中々良いメンバーだと俺は思ってるよ・・・っと、まあそれはおいといて。まだ立てないようだし、俺が肩を貸そうか・・・いや、それじゃセクハラか?」

「・・・私が彼女を持っていけば大丈夫だと思いますが?」

「あ、その手があったか。 サキ、頼んだ」

「了解しました」

「あ、すみません・・・って、ええっ!?」


 こうして朝霧達三人は、昼飯にありつくために部屋を出ることになった。


「あの・・・この格好、結構恥ずかしいんですが」

「私達ぐらいしか見ませんし、衆人環視の中よりはマシだと思います」


 ただし少女はサキに、いわゆる『お姫様だっこ』の形で運ばれているのではあるが。



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※この小説は朝霧浩之の著作物になります

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