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第49話 想いは心の内、言葉は心の外
例えばの話。
好きな人がいたとして、でも結局想いを伝えられずに会えなくなって、でも好きな気持ちは変わらなくて、何処かで偶然会えないかな、とか色々想っても結局会えなくて、だんだん顔も思い出せなくなってきて、どんな感じの子だったかすらわからなくなってきて、でも好きな気持ちに変わりはなくて、勝手にこんな感じだったんだろう、て着せ替え人形のように自分が好きな人像を着せてって、気付けばそれが本当に好きだった子か分からなくなって、でも、それでも好きな気持ちに変わりはなくて…………。
久しぶりに、好きな人の夢を見た。感覚的にはその子だけど、でも、本当にその子なのかな? こんな顔? こんな雰囲気?
分からない。分からない。分からない…………。でも、好きな事には変わりなくて、女々しいと思うけど、でも、まだどこかで偶然会えるとか思ってて。
相手は、俺の事忘れてるだろうけどね。
「そんな事ないよ」
…………それでも、俺はこの想いを外に出す事はないのだろう。




