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水のながれに負けず、どんどん川をのぼっていくお魚さんたち。

 しばらくすると大きな岩があり、その上に何かがいるのを見つけます。

「何かがいるよ」

「ちょっと、おっかないな」

 その何かは、長いあしを岩の上にのせて、じっとしています。

「何だろう。すごく大きいぞ?」

 その生き物は、とがった口をしています。

 そんな岩の近くに、お魚さんたちと同じくらいの魚が1ぴき。

 それはゴクラクハゼという魚さんで、岩の上にいる生き物についておしえてくれます。

「岩の上にいるのはアオサギ・・。気を付けないと食べられちゃうよ・・・」

 じっとして、しずかなゴクラクハゼさん。

 しゃべり方も、とてもゆっくりです。

 そして、アオサギは水の近くに、すんでいる大きな鳥です。

「ぼくらを食べるの?。また、おっかないやつだ」

 海にいたブリと同じように、お魚さんたちをごはんだと思っている生き物で、岩の上でじっとしながら、目の前に魚がくるのをまっているのです。

「早く、ごはんこい!」

 と、アオサギはかんがえているにちがいありません。

「みんな、気を付けて」

 と、言うお魚さんたち。

「アオサギにつかまらないように、サッと通りすぎるんだ」

「こわいね」

 そして、もう1つ気付きます。

「向こうにも、何かいるよ」

 それは近くにはえている木のえだにとまるカワセミ。

 羽の色がとてもきれいな鳥で、アオサギよりは小さいです。

 でも、アオサギと同じように、じっと水を見ていて、とてもきけんな気がします。

 そんな鳥たちの前を、お魚さんたちは通りぬけないと、川をのぼって行けません。

「でも、行かなくちゃあ。ここでとまっていても、しょうがないぞ」

 と、言う1ぴきのお魚さんが、いきおい良くしっぽをうごかして進みます。

「いくぞ!。お前たちなんかに、食べられるものか!」

 そのすがたを見たアオサギは、少しだけ目をうごかして、通りすぎたお魚さんに気付きました。

 でも、口をひらくようすもなく、岩の上に立ったままです。

「あれ?、通れたぞ?」

 1ぴきめがアオサギにつかまらずに通りすぎました。

 そして、カワセミもえだの上からうごいてません。

「何だろう?。ほんとうにぼくらをたべるのかな?」

 うごくようすを見せないアオサギとカワセミ。

「よ~し!。ぼくも、とおりすぎてみるぞ!」

 と、ほかのお魚さんもうごきはじめます。

 しかし、もう一度ゴクラクハゼさんがおしえてくれます。

「だめだよ・・、それを鳥たちはねらってるんだ・・」

「でも、きみも岩の近くにいるけど、たべられていないじゃあないか?」

 たしかにゴクラクハゼさんはアオサギの足元にいてもたべられていません。

 そのようすを見て、お魚さんたちは少しづつ前へと進みます。

「ゴクラクハゼさんにはわるいけど、ぼくらは行かなければいけないんだ」

 そして、みんながいっしよにおよぎだします。

「だめだよ・・。うごくから鳥たちに見つかっちゃうんだ・・・」

 と、ゴクラクハゼさんが言ったしゅんかん。

 アオサギがいきおいよく、口ばしを水の中へ入れてきました。

 あっ、あぶない!。

 岩の近くを通りすぎようとした子が口ばしにはさまれてしまいます。

「うわ~、食べられちゃう!。だれか、たすけて~!」

 アオサギにつかまった子は、水の上につれていかれてしまって、今にものみこまれそうです。

 そのときです。

「だいじょうぶか!、たすけてあげる」

 と、水の中から声が聞こえて、水の中からジャンプ!。

 そして、ドドッとっ体当たり!。

「とう!、アオサギめ!」

 お水の中からあらわれてきたのは黒と白のお魚さん。

 そして、アオサギの口ばしにぶつかります。

 そのはずみで、つかまっていた子は水の中へにげることができました。

 たすけてくれたのは、だれでしょうか?。

「ぼくのなまえは、アブラハヤ!」

 アオサギからなかまをたすけてくれたのはアブラハヤさん。

 およぐのが、とても早い魚です。

「たすけてくれてありがとう」

 おれいを言うお魚さん。

「どういたしまして、たべられなくてよかったね」

 と、アブラハヤさん。

 そして、なかまもしんぱいしてくれます

「だいじょうぶ?まだまだのぼっていくんだから気を付けて」

 ほかのお魚さんたちも、アオサギが1ぴきに気を取られているうちに、岩の近くを通りすぎたようです。

「もっと、向こうに行こう。カワセミもやってくるかも知れない」

 枝の上にいたカワセミも、アオサギがうごいたことで、お魚さんたちに気付き、水の上を右や左にとびまわっています。

「きみたちは、どこへいくの?」

 カワセミとアオサギから、じゅうぶんはなれたところで、アブラハヤさんがききます。

「どんどん川をのぼっていくよ」

「そうか。この先にどんどん水がながれているところがあるよ」

 アブラハヤさんがおしえてくれました。

 ただ、川をのぼるだけでもたいへんですが、アブラハヤさんがいうところは、とてもきけんなのでしょう。

「わかった。ありがとう、がんばるよ」

 色々おしえてくれたアブラハヤさん、ありがとう。

「それじゃあ、がんばって!」

 そして、アブラハヤさんは川の向こうにおよいでいきました。

 こうして、ともだちがふえていくのはとてもうれしいことです。

 そんなようすを近くにある石の上から見ている魚がいます。

 またアオサギみたいに、お魚さんたちをねらっているのかと思いますが、

「今日も、いい天気だな」

 と、のんびりした感じで、ひなたぼっこをしているみたいです。

 石の上にいるのはゴクラクハゼさんと同じ仲間のオオヨシノボリさん。

「今日は、お日さまがきもちいいみたいだよ」

 と、アオサギにたべられそうになった子が言いますが、

「うん。でも、ぼくらは行かないと、アブラハヤさんが言っていたお水がどんどんながれているところがあるみたいだから」

 先に進まなくてはならないお魚さんたち。

 のんびりできるのは、もう少し先になるみたいです。

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