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お魚さんたちは、どんどん川のながれにのって海の近くまできました。
お水もちょっとしょっぱくなっています。
「お水がしょっぱいぞ」
「ここが海かな?」
はじめて知るしょっぱいお水。
お水のながれも、少しふくざつになってしました。
「ここは海の入り口だよ」
と、もも色こうらのカニさんが教えてくれました。
うしろ足にひれをもつヒラツメガニさんです。
すなの少し上をじょうずにおよぎながら、はじめてあったお魚さんたちをしんぱいしてくれます。
そして、もう少し水のながれにのって海にむかうと、もっとお水のながれが早くなってきました。
「みんな、すごくお水のながれがつよくなってるぞ!」
いつのまにか、とうめいだったお水に白いあわをまざり、前が見えません。
そこへ、大きな魚のむれがとおりかかって、お魚さんたちに気付きます。
ギョロリとした大きな目を向けながら、
「きみたち、ここはなみがすごいから気を付けたまえ」
と、教えてくれます。
何ひきもあつまって、早いながれの中をおよいでいくボラさん。
そのことばのとおりに【ザバーン、ドーン!】と、うなりをあげる大きななみ。
「みんな、気を付けろ。お水がザバーン、ドーンときてあぶないぞ」
なみの力で右や左にあおられて、すいめんの方にながれてゆく子や、すなまみれになる子がいます。
「うわ~!。みんな、はなれちゃうぞ!」
「あぶない!、たすけて~」
それを見ていた、クサフグさんが言います。
「おきに出なさい。おきに出ればなみが小さくなるから」
あまりおよぎがじょうずでないクサフグさん。
それでも、小さなひれでなみにまけずに進んでゆきます。
「はい。わかりました。ありがとう」
大きななみがある海、いままでいた川の中よりも、きけんな事がたくさんあります。
そんなところにはじめて来たお魚さんたちですが、親切なヒラツメガニさんやボラさん。
そして、クサフグさんたちが色いろなことをおしえてくれました。
海にはたくさんのいきものがいるようです。
「なみが小さくなってきたぞ!。もう少しだ、みんな!」
なかまが力を合わせて、おきへとむかいます。
そうして、ようやくおきに出ると、先にきていた仲間がおむかえしてくれました。
「みんな、よくきた。ここがぼくらのおうちだ」
海にうかぶ小さな流木の下で、みんながまっています。
「ゆっくり、やすめ」
ようやく付いた海。
ちょっとのあいだ、ひと休みです。
たまごから生まれて、少しぼうけんしたあとのひと休み。
りゅうぼくのおうちでひと休み。
そのりゅうぼくの上にツバメさんがいます。
これから海をわたるツバメさんも、りゅうぼくの上でひと休みしています。