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きせつがすすみ、流れてくるぱっぱの色が赤くなるころ。
今もたまごたちはお水の中ですが、ちょっと前よりも様子がちがいます。
たまごの中にあったのはおめめだけ。
でも、今はしっぽみたいものができています。
それをうごかすとたまごの中で、おめめといっしょにクルクル回ります。
たまごの中でクルクル、クルクルしてるたまごたち。
「これって、およいでる?」
しっぽをうごかすたびに、まるいたたまごの中を回ります。
そうしている内に、たまごのまくがやぶれてお水の中に出てしまいました。
「あれ?、出れたよ」
たまごから出てきた子。
小さなひれをピクピクうごかします。
「あれ?、ぼく、およいでいる?」
まだ、お水があたたかいときに見た、オイカワさんやコトヒキさんのようにお水の中を進みます。
「みんな、はやく出てこい。およげるよ!」
と、こえをかけます。
それを見ていた、ほかのたまごたち。
「よいしょ、よいしょ。ぼくはもうすこしで、出れるよ」
先にそとへ出ていた子のまねをして、いっしょうけんめいしっぽをうごかします。
すっかり、色がうすくなったたまご。
そこから出るためにいっしょうけんめいクルクルまわるたまごたち。
「あっ!、ちょっとだけ、出れた」
あらあら、あたまだけ出している子もいます。
そのようすを上の方から見ている小さな虫さんがいます。
これは、お水の中をスイスイおよぐキベリゲンゴロウさん。
「やあ、お魚さんたち。やっと、出てきたね!」
と、いいながら、あっというまにとおりすぎてしまいました。
「わあ、早い」
とっても早くおよぐキベリゲンゴロウさん。
お魚さんとよばれたたまごたち、まだ出てきたばかりなので、早くおよぐことは出きません。
それでも、とてもたのしいみたい。
「みんな、早く出てきて!。おそとはたのしいよ」
と、おおはしゃぎ。
「ちょっと、まって」
「ぼくも、もう少しで出れるぞ!」
そして、いっぴき、にひきとたまごから出てきて、ようやくみんながそろいました。
たまごから出てきた、お魚さんたち。
なかまが、みんなそろって、どこへいくのでしょう?
「どこへいこう?」
「どこへゆく?」
「分からないよ」
なかまがあつまっても、どこに行けばいいのか、分からないようです。
そんなようすを見ている魚がいます。
それはドジョウのおばさん。
少しほそくて長い魚です。
「おまえたちは、これから川のながれにのって、海にいくんだよ」
と、教えてくれます。
「海?、海ってなあに?」
「海はお水のしょっぱいところさ。ここのお水はしょっぱくないだろう」
「ふうん」
お水がしょっぱい?。
それって、なんでしょう?。
「しょっぱいって、何だろう?」
お魚さんたちも、よく分からないみたいです。
それでも、しんせつなドジョウさんが言うのですから、きっとまちがってないのでしょう。
「じゃあ、行こう。お水のしょっぱいところへ」
みんなで海というところに行くことにしました。
「ドジョウさん、ありがとう」
「どういたしまして。みんな、ケガに気を付けて行くんだよ」
ドジョウさんのおかげで、行くべきところを知りました。
「じゃあ、みんな、行くよ。お水のしょっぱいところへ」
「うん」
これから、お魚さんたちはお水といっしょに進み、海へと向かいます。
たまごから出てきて、はじめてのぼうけん。
どんなことが、おこるのでしよう。