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大きな川のくらしがだいぶ長くなったころ、お魚さんの体はオレンジと少しの黒色になって、なんだかきれいになっています。
「何で色が変わるのかな・・?」
お魚さん自身も体の色が変わった事をふしぎに思っているみたい。
「・・・、」
でも、それは、何か大事なしるしのような気がします。
そんなふうに考えていると、同じように体の色が変わったなかまたちを見つけます。
「向こうでみんなが集まっている」
今まで、なわばりを作って、別々にくらしていたなかまが、1ヵ所に集まっています。
そして、
「お~い、集まれ、早くみんな来い」
と、呼ぶ声がして、
「みんな、集まって何をしているの?」
と、呼ばれたお魚さんが聞き返すと、
「みんな、大人になってきれいになったから、行くのさ」
やっぱり、体がきれいになったのは、何かのしるしみたい。
でも、どこへ行くのでしょう?。
お魚さんも、ぎもんに思うのか聞き返します。
「行く?。行くってどこへ?」
いつの間にか体の色が変わって、別々にくらしていたのに、みんなが集まって、どこかへ行く。
これまで無かった事が起きているのですから、ふしぎに思うのは当たり前です。
「きっと、良いところさ」
と、呼んだお魚さんも、どこに行くのかは分からないようす。
何だか、カタクチイワシさんとお別れして、川をのぼった時と同じような感じがしますね。
そうしている間にも、たくさんのなかまが集まってきました。
「押すな、押すな。せまい、せまい」
最初は数匹だったなかまが、少しづつ集まって来て、数十匹にもなっています。
集まり過ぎて、お魚さんどうしがぶつかってしまう位になりました。
「せまいけど、楽しいよ」
「うん、うれしいな。やっぱり、みんないっしょが楽しいよ」
久しぶりに、なかまが集まったのですから、みんな楽しそうです。
「でも、こんなにたくさん集まって、どこへ行くの?」
そう、なかまがたくさん集まっても、まだどこに行くのかは分かりません。
「お水がしょっぱいところの近くへ行かないと」
川を下って、また海の方に向かうと言っています。
「何のために?。ここがぼくらのお家だよ」
ようやく着いた大きな川なのですから、ずっと住んでいればいいのにと思う、お魚さんもいるみたいですが、
「うん、そうだけど、行かないといけないのさ」
そう、なぜか川を下らないといけない事をお魚さんは知っているみたいです。
「良いじゃないか。みんなでいっしょに行こう!」
理由が分からなくても、みんなで行くひつようがある。
「そうさ!、いっしょなら平気さ」
大人になったみんなで川を下る理由は、なかまといっしょにいれば分かるはず。
「さあ、行くよ!」
と、言う、かけ声。
「良し!、分かった。じゃあ、ぼくも行くよ!」
と、ぎもんに思っていたお魚さんも、みんなと共に海へと向かう事に決めました。
再び、卵から出てきた時と、同じように川を下るお魚さんたち。
大人になった今、きっと海へと向かう理由は子供の時と違っているはず。
きっと、すてきな事が起こるのかも知れません。
がんばれ、大人になったお魚さんたち