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そこはダメでしょっ!!

アーリーは子供を救うという夢を叶えてくれた僕を王子様と呼び、主従関係を結ぶのだった。

そして、その夕食の時に師匠・魔神フー・フー・ロー様にアーリーとのことを報告すると、師匠は

事後報告じごほうこくか・・・・。」と若干、不愉快な顔を見せたけど、「アーリーが望んだことならば、許そう。」と許可してくれた。

それから「夕食の後に、今後について話し合う。」と説明して食事を始める。

アーリーを含め、ホムンクルスたちが準備してくれたぜいを尽くした御馳走に僕達は舌鼓したつづみを打つ。

「おいしいっ!!」

シズールは感動して大はしゃぎするし、ミレーヌは珍しくたくさん食べた。

オリヴィアは、フー・フー・ロー様の愛妾あいしょうたちのテーブルマナーを見て、緊張した面持ちで真似して食べている。

「いつも通り、自然に楽しんだら?」

って、僕が言っても「王族の縁者えんじゃだからっ!!」と、いってかたくなにその姿勢を崩さない。折角せっかくの御馳走なんだから、気にせずに食事を楽しんだらいいのに・・・・。でも、もしかしたら、王族の僕のおきさきになる未来のことを見越して、今のうちに王族らしい食事マナーを身につけようと思っているのかもしれない・・・・。そう思うと、僕は頑張るオリヴィアの姿を応援したくもなる。ツンデレの君のそういう姿を僕はとても楽しみにしているんだ・・・・。


楽しい夕食のあと、師匠は愛妾たちに下がる様に命令すると、愛妾たちは、行儀よく師匠に頭を下げてから部屋を出ていくのだった。

そして、ホムンクルスの執事たちがテーブルの片付けが済むと、いつものメンバーだけが残り、作戦会議が始まるのだった。

「さて、今後、どうするか話し合うわけだが、全員承知の事と思うが、我々は二度の逃避とうひ行動をとったとはいえ、ここでいつまでも隠れて過ごすわけにはいかないのだ。

 それはジュリアンとオリヴィアには転生者としての使命を果たさねばならないという責任があるからだ。だから、我々は、2週間ほどここに隠れたら速やかに次の場所に移動して、行動を起こさねばならんのだ。

 災いの神ドゥルゲットが何を企んでいるのか知らんが、ろくでもない事だけは確かだ。奴を止めねばならん。」

師匠はそう言うと地図を広げて笑う。

「これで何度目の作戦か‥‥?」

「・・・・師匠。僕達逃げてばっかりですね。」

僕がため息交じりに言うと、アーリーがボクの肩をさすりながら言う。

「それでも良きことをしました。子供を救い、貧困にあえぐ少数民族を救われました。

 ジュリアン様は逃げておられるかもしれません。しかし、それでも結果を残しているのです。

 どうぞ、自信と誇りをなくさぬように行動してください。」

アーリーの言葉に「ありがとう。」と、感謝の言葉を述べると、師匠はうなずきながら、同意した。

「その通りである。

 我々は、逃避したかもしれぬ。しかし、アーリーが今申した通り、小さいことかもしれぬが我々は人助けをしたのだ。それは転生者としても神としても人としても大変意義のあることである。

 敗走が続いているが、皆、決して気を落とさずに前向きに次の移動先を決めてもらいたい。」

全員がその言葉に「はいっ!!」と、元気よく返事するのだった。

もう、こうなると僕達は魔神フー・フー・ロー様を親とする子供たちのようだった・・・。あ、若干一名、200歳越えの老エルフがいるけどね・・・。


「さて、士気が上がったところで、今後の話だ。

 我々は、北方の国々を歩いて情報を得た。

 一つは、ドラゴニオン王国の傭兵団ようへいだんがラインドロオ公国の戦争に参加して壊滅した事。それとその時の傭兵団が誰一人躊躇ちゅうちょせずにジュリアンの命を狙ってきた。しかもそれは王命と聞く。私が思うに、これはドラゴニオン王国が既に災いの神ドゥルゲットに毒され、指揮権を奪われかけている証拠だと思う。

 次に、我々はドゥルゲット自身がジュリアンに追手をかけたという事も知った。

 メンバーは、わかっている範囲で

 魔神ガーン・ガーン・ラー。

 火精霊騎士クープ・クープと、土精霊騎士ドー・ドー・ハーダ。

 そして闇と暴風の国の騎士ターク・ターク。

 これだけの数の高位の者たちに我々は狙われている。ガーン・ガーン・ラーは俺が殺すとして、他のものはお前たち自身が倒さねばならん可能性があることを忘れるな。

 我々には、これだけの危険があり、その危険を回避しつつ、戦士として成長しながらドラゴニオン王国の情報収集をしなくてはならんのだ。」

師匠は、簡潔に今の状況を説明すると、指先で地図をトントンと叩きながら質問する。

「以上のことを踏まえたうえで、お前たちは、どこに行くべきと考えるか?」

僕達は、その言葉を合図に地図を睨みつけるように見つめて、次の移動先は何処が良いか思案する。

最初に口を開いたのはシズールだった。

「人気のないところがいい。たくさん人がいると危ない。」

その言葉を聞いたミレーヌが「シズール、人がいないところでは情報収集が・・・・。」と言いかけたところで、無言で師匠が差し出す掌に制止されてしまう。


意見を頭ごなしに潰してしまうと会議は前に進まない。

師匠は、この作戦会議の議長として、全員の意見を平等に聞く立場にあり、個人個人の意見を頭ごなしに否定する考えはない。それをすれば誰もが自由な発想が出来なくなる体。

色々な角度から見た様々な意見を聞く。そこで出た意見には、取るに足らないものもあるだろう。しかし、一見、意味のないような意見にも見方を変えれば有用な部分はあるかもしれないし、全否定は出来ないのだ。

「皆、思う思うことを自由に言ってほしい。私はそれを聞き。考え。判断し。答えを出す。

 今は小さなことに囚われずにまず、意見を出してほしい。その後に、色々と話し合っていきたいのだ。」

ミレーヌは納得して頷く。しかしそれでもミレーヌの出す意見は常識的だった。

「私は、南方だけは避けるべきと考えます。

 それは、ジュリアン様が国を出奔しゅっぽんされるまえに、ラインドロオ公国での出来事同様にドラゴニオン王国は、戦争に傭兵ようへいを派遣しています。あそこは、蜂の巣をつついたような戦争状態になりましたが、ラインドロオ公国で私達が情報収集したことがバレた以上、同じような環境の場所で情報収集を図ることは敵にも容易に予測できてしまうからです。」

ミレーヌの意見は常識的であったが、常識的な範囲を超えていないし、何よりも自分がどこに行くべきかと言う考えを発言してはいないのだ。しかし、暗殺者集団に育てられたミレーヌの生き残るためのすべからくる意見は貴重だ。参考に値する。

次にオリヴィアがドラゴニオン王国への特攻を発言して、隣の席のヌー・ラー・ヌーに頭をはたかれる。

「なんでっ!? 自由に意見していいって言ったのにっ!!?」

すいません、皆さん。この娘、バカなんです。

許してやってください。自由とは言われたけど、限度があるってことを教えてあげないと何でもしゃべっちまうんです。

師匠は、半べそかきながら抗議するオリヴィアの姿がツボにはまったのか、笑いをこらえきれずに下を向いてクスクス笑う。これも仕方ない。

そして、最後は僕の番だ。

僕は、地図上でドラゴニオン王国から最も遠い場所を指す。

「ここにしましょう。

 ここにはドラゴニオン王国の情報は一見すると少なく見えますが、どの世界にも諜報活動をしている者はいますし、情報は金になります。必ず情報を売っている奴がいるはずです。

 一番ドラゴニオン王国から安全で一番、情報が少なさそうなところから攻めてみましょう。」


ここで全員の意見が出て、それを師匠が吟味して、最終的に僕の意見が採用された。

「採用するというか・・・・。お前らの中で具体的な場所を言ったのはジュリアンだけだ。

 もう少し、頭を使って自分の意見を言えるようにしなさい。」

師匠は、駄目な生徒たちを指導するように残念そうに説教するのだった。


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