メイド服可愛いよねっ!!
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クリスは突然、「メイド喫茶」をやりたいと言い出した。
言っとくけどねクリス。ここは日本じゃないの。メイド喫茶なんて言っても誰にも通じないんだからね?
僕が呆れていると、クリスはキョトンとして「だって、メイド服って可愛いじゃないですか‥‥?」と続けた。
・・・クリス。君ね。
異世界の文化を聞かされて意味が分からずに困惑する同級生たち。
仕方がないから僕はクリスの言ったメイド喫茶なる風俗について語る。
そこは癒しの場所。メイドさんの格好をした美女たちが給仕してくれる憩いの場なんだ。
女性はメイド装束に、男性は執事の衣装に身を包み、喫茶店の給仕をして、客を迎えるという内容の話をしたのだが・・・・・・・当たり前の話、賛同は得られなかった。
「給仕に接待されるのは、当たり前のことだ。そんなことを誰が喜ぶんですか?」
そう、彼ら彼女たちは本物のお貴族様でメイドがいて当然の生活をしている。なんだったら、既にお手つきしている子だっている。いまさらメイド喫茶を喜んだりしない。
また、
「どうして我々が給仕の服装などしなくてはいけないのか? 下級組とはいえ、我々は貴族だぞ」
と、当然の反発も起こり、クリスはさみしそうに席に座る。
まぁ、仕方ないよ。ここは異世界。日本のようにはいかないものさ。
僕は騒然とする教室に静粛す(せいしゅく)るように促すと、「他の意見は?」と求めた。しかし、誰も手を上げて発表しなかった。
無理もない。下級組は基本的に文化祭では勝つことが出来ない。だから、だれも文化祭の腹案など持っておらず、例年通り郷土料理の歴史についての発表会になることを予想していたからだ。
だが、ここに救世主が現れる!!
勿論、僕だ。
「では、僕の腹案を聞いてもらってもいいかな?」
その言葉に生徒たちの目に再び輝きが戻る。いい具合に生徒たちの期待と士気を上げることが出来そうだ・・・・・。
僕は今こそ、と腹案を発表するのだった。
「諸君。我が国は古来、傭兵国家だったが、その原因となっているのが、この不毛の大地だという事は歴史の授業で既にご存じだろう。これまで何度も農地改革に手を尽くしてきてはいるものの、失敗に終わっている。
僕はこれを改革に関わる研究発表を行いたいと思うっ!!」
その言葉に生徒はおろか教授さえも驚愕の表情で僕を見る。
「殿下、それは一体、どのような発表なのですか?」
僕はクリスを指差すと「転生者の奇跡を信じろ」と、先ほどの発表ですっかり立場をなくしたクリスの名誉挽回を測る。
「クリスがナザレ村で農業革命を起こして、神童と呼ばれたことは知っているだろう?
その奇跡の知恵があれば、やれるはずだっ!!」
その言葉を聞いてクリスは「え、ええええっ!?・・・・わ、わたしっ!!?」と困惑していたが、クラスメイト達は、ナザレ村の神童・クリスの奇跡を思い出してにわかに活気づく。
「そうだ! 俺は聞いたぞ。ナザレ村の収穫量を倍以上に増やしたって!!」
「わたくしもクリスさんの奇跡を聞いたことがありますわ。クリスさんのおかげでナザレ村は3度の食事をとれるようになったとかっ!!」
教室中にクリスの奇跡を讃える言葉が聞かれた。そもそも彼らはクリスの回復魔法に命を救われた者たちだ。下賤な出自のクリスであろうとも、誰もがクリスに感謝、心酔している。クラスの心を一つにまとめることは造作でもない。クリスを担ぎ上げればいいのだから。勿論、クリスをソバにおいておきたいという僕の欲望のためにも、この案が賛成されるべきなのだっ!!
この案に感動したのは、僕達だけではない、教授までこの活動に加わりたいと申し出る始末だった。
後にこの話はあっという間に学院中に広がり、下級組の教授の多くが僕の研究に加わるのだった。
「まずは農地の使用状況、天候、地質、作物のローテーションについて調べようじゃないか。」
僕がそう言うとクラスメイト達が首をかしげる。
「作物のローテーションは決まっております。これこそ、長年の経験から編み出したもの。改革の余地がありますか?」
僕は頷いた。
貴族というと、ワイン片手に執務を行っているようなイメージを持っているかもしれないが、それは上級も上級貴族の話。ほとんどの貴族は自分の領地にて、農民たちの土地以外にも自分の畑を持っていて、農業に携わり、その内容を知り尽くしている。学院の生徒たちも家の手伝いくらいはしたことがあるだろうから、農業の仕組みについても詳しく知っているのだ。
家々にはそれぞれ秘伝の農法があって、それぞれの家で誇りをもって農法を守っている。
しかし、僕はそれをまとめてより確かな農法を確立させることにより、国全体の収穫量を上げたいと考えている。特に、最近起きた北部からの大洪水で我が国に肥沃な土が運ばれて来たものの、それは大河流域の限られた範囲のみの事であり、国全体規模としてはまだまだ、やせた土地がおおい。そうなると大河流域とそれ以外の土地で収穫高の格差が生まれる。そうなるといらぬ軋轢も増えだろう。上級貴族のはずが領地のせいで収穫高で下級貴族に劣るとなれば、下級貴族の反発、上級貴族の妬みが生まれて、国内で大きな諍いが起きかねない。これは由々しき事態だ。僕は冬のうちにその芽を摘んでおかねばならなかった。
僕は懇切丁寧に国全体の収穫高を上げるべきだと説明した。勿論、下級貴族と上級貴族の軋轢については話さない。話せば野望を持ってしまうかもしれない。仲間内での諍いなどまっぴらごめんだ。僕は王族として、話してはいけないことまでは話してはいけないのだ。
家伝の農法を知られることにいささかの戸惑いはあったが、最終的には収穫高が上がるのだからと説得することが出来た。
その日の学級会は、これまでにないほど白熱した。
誰もが、これに参加したがった。以前、ミレーヌに調べておいてもらった否定的な生徒たちの多くも賛成側に転じてくれた。
「よしっ!! では、あとはそれぞれのパートにおける人員配置と現地調査のローテーションを決める。」
僕がそう言ったところで、授業終了のチャイムが鳴る。ああ~っ!!と、生徒たちから、まさかの授業終了を悔しがるため息が漏れた。
しかし今日は、これで十分だ。僕はクラスをほぼ一つにできたのだから、作戦大成功と言っていいだろう。これから、この空気を維持したまま、焦らず丁寧に、そして着実に研究を進めて行けばいい。
僕は大満足で家路につく。
ただ、クリスは少し不満そうだ。だって、メイド喫茶が出来なかったんだから。
「いや、クリス。彼らは貴族だ。そのプライドがメイドの衣装を着ることを許さないことは理解できるだろう?」
僕が慰めるように、且つ、説得するように説明するのだがクリスは納得しない。
「だって、メイド服って可愛いもん・・・・。」
うん。僕もそう思う。
ふと見るとオリヴィアもちょっと残念そうにしている。
「オリヴィアもメイド服着て見たかったの?」
そういうと、オリヴィアは慌てて反論する。
「だ、だだだ、誰があんな可愛い服を着たいなんて思うかっ!!・・・・俺は着ないからなっ!!」
顔を真っ赤にしながら、しどろもどろに反論するオリヴィアは、とてもかわいい。僕は思わず意地悪で
「ん~? 着たかったのかなぁ~? オリヴィアちゃんは。うんうん。もうすっかり女の子だねぇ~」
と茶化したら、「お前のせいだろうがっ!!」って言いながらメチャクチャ、ポカポカと肩パンチされた。
いててっ!! オリヴィア、君はホムンクルスなんだから、手加減してくれないとっ! 痛いってばぁ~。
まぁ、そうは言ってもしょせんは女の子の力。
僕には効かないけどね。痛いけど、効いてないしっ!!
僕は男だから、女の子のパンチなんかで屈しないんだっ!!。
・・・・・・でも、ちょっと手加減してもらっていいすか?
なんてバカやりながら歩いていると僕の脳裏に妙案が浮かぶ。
「・・・・・・そうだっ!!今日家に帰ってから、4人でメイド服を着て見ないかいっ!?」
それで僕に給仕をしてくれよ。おやつの時間にっ!
そう言うとクリスは大賛成してくれた。
事情が分からないミレーヌにクリスが「すっごく可愛いから。ジュリアン様も喜んでくれるからっ!」と、押しに押してミレーヌにも納得させる。
家に戻ると、クリスとミレーヌは事情分らぬシズールを強引に連れ去って着替えさせた。
やがて、4人の着替えとお菓子の準備が終わり、お披露目の時間となった。
小さくて可愛いクリスティーナ。そして同じく銀髪で儚げなイメージのあるオリヴィア。
巨乳のシズールとミレーヌが左右に分かれて僕の座る椅子の前に並ぶ。
「ご主人さま。今日のお菓子は、イチゴのケーキとイチゴのジャムが入ったお紅茶でございます。」
ミレーヌがそう言うと、シズールが甲斐甲斐しく紅茶を注いでくれる。その様子を見て疾風のローガンの目も緩もうというもの。孫娘の可愛い姿と共に友達と一緒に楽しく過ごしている姿を見れる日が来るとは疾風のローガンも想像できなかったに違いない。
クリスは、メイド服が着れて大はしゃぎで喜んでスカートをヒラヒラさせてクルクルその場で廻って見せる。本人は全く気が付いていないが、太ももどころかパンツまで見えているのに・・・・。
こらこら~。だめだぞ~、そんなはしたない事をしたらぁ~?
僕が満面の笑みでクリスを見ていると、ふとオリヴィアが目に入った。
真っ赤な顔して俯いている。
ああ、こりゃ、可愛い衣装を着れた感動に酔っちゃってるな・・・・・・。
無理もない。今まで肉体の支配権はクリスにあったのだから実際にこういう服を着れたのは、ホムンクルスのボディを得てからのことだからね。
「似合ってるぞ。オリヴィア、滅茶苦茶可愛いよ。」
僕がそう言うとオリヴィアは必死に「ばばばば、バカ野郎っ! か、可愛いなんて言うなっ!!」って照れていたけど、その内・・・・「本当?・・・・ジュリアン様からみて、私・・・・可愛い‥‥?」と、照れながら聞くもんだから、僕は思わず抱きしめて「もちろんだよっ!! 僕の可愛いオリヴィアっ!!」と言うのだった。そのあと、他の3人からも抱っこをおねだりされたのだが、僕は忘れない。オリヴィアが小さく「ジュリアン様、・・・・大好きっ」ってデレたことをっ!!
う~んっ!!ツンデレっていうんだよねっ!!
こういうのっ、最高っ!!




