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カイヤナイトのイヤリング②

「うわぁ」

「これはすごいな」

セレスタとジェードに今日の話をしたら、見てみたいと言うからランのイヤリングを見せたのだけれど、案の定、二人が目を丸くする。


 今夜はマダム特製の鶏肉のトマト煮とモルガさんの店の白パン、私も一応サラダを作った。

暖かくなってきたとは言え夜はまだ肌寒いので、温かなトマト煮がおいしいし、何よりマダムのトマト煮は鶏肉も野菜もホロホロになるまで煮込まれていて、これにモルガさんの店のフワフワの白パンが合わさると、本当にしあわせ~って味になるんだよね。

私の様子を心配してちょくちょく顔をだしてくれるセレスタとジェードと一緒にごはんをすることも多いのだけれど、マダムのトマト煮は二人も大好きみたい。


「で、どうするんだい?」

「考えたんですけど、同じ材料で宝飾合成してもらえませんか?」

私の言葉にマダムは首を振る。

「言っただろ。同じ材料を使っても、同じアクセサリーはできないよ」

そう、宝飾合成で創られるアクセサリーは完全に一点モノ。

でも……

「同じ材料を使って作れば、同じ宝石はできませんか? 同じとはいかなくても似たような形でできれば、石だけ外して修理に使えると思うんです」


「えっ? ホタルさん、それはちょっと」

マダムより先にセレスタが困ったような顔で私を見る。

「おい、それは」

ジェードも同じような顔で声をあげる。

えっ? 何? 私、なんか変なこと言った?

マダムを見るとマダムも眉間に皺を寄せ、渋い顔をしている。


「ホタル、私が創るアクセサリーは植物から創る。しかも一点モノだ」

眉間に皺を寄せたままそう言うマダムに私はうなずく。

もちろん、わかっている。だから同じものができるとは思っていない。

そんな私を見てマダムが更に眉間の皺を深くする。


「ホタル、お前は自分がせっかく創るアクセサリーを他のアクセサリーの修理の材料にしたいなんて言われたらどう思う?」

「しかも、それは世界に一つしかなくて、同じものは二度と創れないとしたら?」

「あっ……」

ジェードとセレスタの言葉に私はハッとする。

私、マダムになんて失礼なことを……


「別に自分が創ったからなんてことはどうでもいいんだよ。ただ、私の場合は植物を材料にする。命をもらって創っているんだ。どれ一つ、おろそかにはできないんだよ」

「マダム、ごめんなさい」

そうか。この世界のアクセサリーはそう言うものだった。

今までいた世界の大量生産されたものとは違う。思いや命の籠ったものなんだ。

自分の考えのなさに情けなくなる。


「わかってくれりゃいいんだ。まぁ、今回はランのパーティーのためだからね、特別だよ」

マダムはそう言うと眉間の皺を解いて、仕方ないと言いたげに笑ってくれた。

「ありがとうございます」

そんなマダムに私は深々と頭を下げた。

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