それでも君が好き
恋愛書くの難しい!!もっと描写を凝った方が良かったかな……
──この世界は歪だ。善の中にも悪があり、悪の中にも善がある。矛盾だらけで、絡み合い過ぎて修復が不可能な程度に歪だ。
──でも。なら、この世界に産まれた俺自身もまた歪な存在なのだろう。
「ねね?ユーファ?私の事……好き?」
「当たり前だろ。大好きさ」
「良かった、嬉しい。えへへ」
可憐で、無垢で。愛らしい笑顔を浮かべるリアナは、恥じらいながらも手を握り、宝石のように綺麗な瞳で見つめていた。
ああ、とても綺麗だ。
「とても綺麗だよ」
「……うん」
その一言は静かでありながらも、甘くて魅力的だった。今にも抱きしめたいと、そう思える程に。
俺はそれぐらい今でも君が好きなんだろう。
「く、苦しいよ。ユーファ」
「だって、お前がそんな表情をするから」
「なら、もっと強く抱き締めて。好きな分だけ抱き締めて」
「──ああ」
俺が君を護る。そう約束したのはいつだっただろうか。この剣が命を奪うだけでは無い事を教えてくれた。俺に意味を与えてくれた、たった一人の女性。
そして、愛してくれたたった一人の女性。だから俺は心に誓った──刻んだ。何が何でも、何が起きても、君の傍を離れないと。
「リアナ」
「なあに?ユーファ」
「俺は騎士だ」
「うん。知ってるよ?貴方は領主様の御氏族だもの」
「護るべきモノが沢山あってしまう」
「そうだよね。私自身も理解しているつもり」
「けれど、その何よりもお前を優先して護りたいんだ──だから、その」
「もう。どうしたの?そんなタジタジになって」
頭を撫でながらリアナは言う。
「ずっと、一緒に居たいんだ」
「私と貴方は何があっても離れられない鎖で繋がれているの。大丈夫だよ」
「なら……一緒に住んで欲しい」
「つまり、この家を出るって事?」
「ああ。お前にこんな古臭い家は似合わない」
「嬉しい」
今まで見た事ない幸せそうな笑顔。嬉しくて零れる涙を俺は、初めて目の当たりにした。でも、確かにこんなボロ臭い一軒家じゃ華も廃るよね。
「──あ、でも。貴方のお父様に気に入られるか不安」
「大丈夫だよ。絶対、父上も気に入ってくれる」
「……そうかな」
「そうだとも!!」
「それなら良かったッ。ねね、ユーファ?」
「どうした?」
「嬉しすぎたらお腹が減ってきちゃった」
あざとく笑うリアナ。
「そうだな。飯にしようか!!」
ベッドから起き上がると、リアナは辺りを見渡し何かを探している仕草をとっていた。きっと俺がプレゼントしたエプロンを探しているのだろう。
「リアナ」
「ん?ちょっと待ってね?今、エプロンを」
「はい。これ」
「え?」と、紙袋を手に取るリアナは虚を衝かれた表情を浮かべていた。
「俺からのプレゼントだよ。あけてみて?」
「う、うん」と、立派に包装された紙袋を丁寧に剥がし。終えたと同時に両手で口を塞いだ。
「……ッ」
「そのエプロンを着て、作ってくれないか?」
「ありがとうッ。大事にするね?」
「ああ。だから、これは棄てていいよな?」
使い古されたエプロンを見て、別段迷う素振りもなくリアナは頷いた。
「どうかな?」
エプロンを纏い、一回転して魅せる。とても可憐。それ以上の褒め言葉が俺には見つからなかった。
見蕩れるとは正にこの事を言うのだろう。
「とても似合うよ。あんなエプロンよりも」
読んでいただきありがとうございました。もし宜しければ感想や評価を頂けたら幸いです。
ついでに、連載小説──無属性も読んでいただけたらなあと思います。
宣伝みたいになってしまいましたが……宣伝しなきゃ伸びる気がしないので……