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俺は地球に帰りたい~努力はチートに入りますか?~  作者: hearo
東方に彷徨う冒険者
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第139話 新人訓練・アース商会の場合

商会設立のめどが立ち、職員の雇用が一通り終わったのは、旧名イバイヤ・ドーレことジェネ―ル・トレコーポ氏を雇用してから3日目の事である。


「そう言うわけで、今日は皆さん転職とレベル上げです」


商人であったジェネールさん以外に、男性7名、女性2名のアース商会(仮)。

適正に合わせて転職し、王都近くの森までレベル上げの遠征だ。王都を出た所に集合し、これから森までランニングである。


「……レベル上げは良いのですが、なぜ冒険者ギルドの副ギルド長殿まで?」


顔に青あざとコブを作ったジュネールさんが首をかしげる。


「弊社の後援ですからね」


「無茶なレベル上げをするというので監督だ」


王都ヒンメルの冒険者ギルドの副長の一人で、ハーフドワーフのドンケル氏。俺が良く利用する支店の実質的なトップである。ちなみに職業は2次職である狂戦士の後半。戦士の上位職で、割と珍しい。


「今回はギルドにわざわざ許可を取って、封魔弾による高レベルモンスターの討伐の視察も兼ねています。レベル1の素人でも簡単に魔物を狩れるなら、一般職や非冒険者はレベルを上げてしまうメリットおも多いと説得しました」


実は、第一陣は先日貧民街の元患者たちで行っている。その時も同行していたが、今回も安全対策での同行だ。


「まあ、気にしないで行きましょう。ジュネールさんは商人を50にして、その後は戦士に成ってもらいます。他の方々も、今の職を50まで稼ぐつもりで行きますよ」


「まさかこの年で戦闘職に成れと言われるとは思いませんでしたよ」


ジュネールは今商人の31レベル。商人は魔物を倒す以外でレベルが上がらないので、実は結構高い方だ。

それ以外の職員は、剣士が2、槍兵が1、戦士が1、魔術師が1、付与魔術師が2、運搬者が2となっている。


「とりあえず森の近くまで走りましょうか」


行軍(マーチ)の腕輪は全員に配布している。ステータスを加算で上げるマジックアイテムもだ。

武器は全員、永続付与(オーラ)で作った差し棒モドキである。それぞれに付与されている魔術に応じて、炎のロッドとか氷のロッドとか呼んでいる。

走らせて分かったが、皆さん体力不足だな。ジェネ―ルさんは34歳で最年長。皆それより若いのに同じようにバテバテだ。

それでも小一時間で農地を抜けて、森のすそ野にまでたどり着く。


「手順はこのあいだと同じようにか?」


「はい。穴を掘って捕らえた魔物を放り込みます」


サクサク行こう。収納空間(インベントリ)を付与したスコップで地面を掘り返し、深さ3メートル、直径1メートルくらいの穴を掘る。

魔力探信(マナ・サーチ)で見つけた魔物を束縛糸(バインド)で拘束。錬金術師(アルケミスト)のスキルで枷を付けて地面に転がしていく。野生の魔物で10Gちょっとくらいの反応だな。中身は食料や薬草の類かな。


「それじゃあ、まずはロッドの使い方を覚えましょう」


1体づつ、魔物にロッドを当てて魔術を発動させる感覚を掴む。1レベルの状態なら、10G帯なら少しはレベルが上がる。


「次は穴の中で魔物を強化します。私が拘束するので上からつついてください。ジュネールさん、トレボーさんどうぞ」


穴の中で1000G金貨を魔物に突っ込んで、数秒待ってから束縛糸(バインド)を発動。

魔物は金貨を取り込んで姿を変えるが、そこに光の帯が絡みついて動き束縛する。成長しきった魔物はオーク系の何かだ。金貨をベースにすると人型の魔物になり易い。


「とりゃっ!」


気の抜けた掛け声とともにジュネールさんのロッドの先がヒット。

INTを多重強化した凍槍(フリーズ・ランス)が発動して、オークを凍り付かせる。


「それっ!」


そこに魔術師見習いのトレボーさんがロッドをヒットさせると、今度は雷槍(サンダー・ランス)が発動して魔物を焼く。それでオークはドロップ品に変わった。

3000Gの魔物だと、耐久力によっては一撃て倒し切れない。オーク系だと難しいことが多い。

とばりの杖を使って耐久力の低い魔物を召喚するほうが安全かつ楽なのだが、今はそちらは使えない。


「レベルがっ!」


「一気にこんなに!」


3000Gクラスの魔物を倒すと、1次職なら相当レベルが上がるからな。

戦闘職でも一人で5体倒せばレベル50に達する。一般職の商人ならさらに少ない。


そうやってサクサクレベルを上げていく。1週目のレベル上げが終わったら、MPが回復していることを確認して2週目。MPが足りているので、一人で2回攻撃して経験値を回収する。

束縛糸(バインド)を使ってる分、こちらにも経験値が来ていたりするのだろうか?うっかり錬金術師(アルケミスト)が51レベルに成らない事を祈ろう。


「商人が50に達しましたぞ!」


「おめでとうございます。……51以上に成るか試してみますか?」


今のところ、51以上にしているのは付与魔術師(エンチャンター)だけだ。元患者たちで試したところ、この方法3000Gでレベルが上がっていくのは80くらいまで。81は確認できていない。何らかのブレイクスルーが必要なのだろう。


「商人で51のアナウンスはまだ流れていないのでは?」


「人類初ですよ?」


「やめてください。メリットよりリスクの方が大きすぎる」


ここで全世界に名前を売っておくのも手だと思うのだけど……まあ、いいか。


「ステータスボーナスはお渡しした手引書に従って伸ばしてくださいね。特に運搬者(キャリア―)の皆さんはMP重視です」


半日かけて関係者のレベルを必要なところまで上げきる。

付与魔術師(エンチャンター)はレベル70まで、すでに51以上が出ている魔術師二人は52まで、それ以外のメンバーは50まで上げきった。

最後の1時間はずっと付与魔術師(エンチャンター)二人のレベル上げだ。


「身体が軽い……」


「すごいわ。別人になったみたい」


ステータスが全体的に上がる前衛職は、レベルアップの影響を大きく感じるのだろう。


「DEXも上がっていますが、慣れないと力の入れ方を間違えたりします。前衛組は戻ったら別のトレーニングが在りますからね。それから、ジェネ―ルさん以外は、明日からは冒険者ギルドの研修です。そちらはドンケルお願いしますね」


「うむ。諸君は急なレベルアップで全能感に満ち溢れているだろうが、上には上がいる。本来は魔物と戦って少しずつ強くなっていくものだ。だが、いきなり魔物と戦うのも危険なのでな。冒険者ギルドで3日間の研修を受けてもらう。むろん、運搬者(キャリア―)の者もだ」


訓練所で一通りしごいてもらって、最終日は引率含みで魔物狩りに行かせる予定だ。

その際には標準的な装備で、昔レベル上げで戦ったよりも強い魔物と相対することに成るだろう。


「私は良いのですか?」


「ジェネ―ルさんは戦士を取って、その後武装商人に転職です」


他の近接職や魔術師たちは、明日以降に騎士と属性魔術師に転職予定だ。今の職業のままなのは運搬者(キャリア―)の二人だけかな。


「武装商人……」


戦士系と商人を取ると転職できる特殊2次職で、双方のスキルが使えるとともに、戦士系のスキル・ステータスを商人系の職に反映する効果を持つパッシブスキルを習得する。

地方で幅を利かせている商人や、行商で稼いでいる商人にはこの職に就く者もそれなり多い。第二の人生で商人になった冒険者などもこちらを選択したりする。


「まさか自分が成るとは思ってもみませんでした」


「うちの商品は金融と不動産ではないですからね。身の安全も考えたら、武力は在るに越したことは無いです」


ゲームなどだと、トップが一番強いって何の冗談?って展開が良くあるが、余り弱いと寝首をかかれかねない。


「さて、休憩が十分取れたら、また街まで走りますよ。少し遠回りして帰りますか」


行きと違ってレベルが上がったので、皆やる気に満ち溢れている。

・・・・・・ステータスにスタミナという項目は無いのにな。

移動速度は上がったもののの、門にたどり着く頃には皆ヘロヘロに成っていた。

うむ、よきかなよきかな。


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