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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

大事なものを傷つけた、それだけだ…

作者: 飛空霊


練習に書いてみたものです!

感想やアドバイスなどをもらえるとすごいありがたいです!

よろしくお願いします!


2019年10月7日改稿



ある日、騎士として巡回任務から終えた俺は国王に呼ばれたため王城の中にある王の間に来ていた。


「お呼びでしょうか、陛下。」


そして今、王の前にいる。


「うむ、お主を呼んだのは他でもない。お主が犯した罪についてだ。」

「!?…陛下、私が一体いつ、罪を犯したのでしょうか。」

「あくまでしらをきるつもりか…」

「シラを切るなどしていません!陛下、私はこの国のため、陛下のためにと尽くしてきはしましたが、陛下やこの国に害するようなことをしたことなど一度もございません!」

「調べはすでに付いている、いい加減白状したらどうだ?」

「…調べとは一体なんのことですか!」

「とぼけても無駄だ!貴様は我を殺害し、王の座を奪おうと企てておったことはすでにわかっておる!」


王様を殺害?王の座を奪う?一体なんのことだ。

まったく身に覚えのないことに困惑する。


「陛下、先ほども言いました通り陛下やこの国に尽くしてきました!私は王の命を、そして王の座を奪おうとなどしようとも、ましてや企てたことなどありません。何かの間違えではないのですか!」

「しつこいぞ、すでに証拠も上がっている。言い訳をしても無駄だ!」


そう言った後王の横から宰相が前に出て来た。


「あなたには失望しましたよ。あなたがまさかこんなことを企んでいたなんて…。」


そう言うと宰相は紙の束を取り出し俺の前に投げる。

投げられた紙の束に目をやると、王の暗殺計画と見出しが書かれている。その下にシンフォードと俺の名前が書かれていた。

まったく身の覚えのない代物である。


「私の名前が記入されていますがこれは私が書いたものではございません!」

「何を言うかと思えば…これはあなたの家から見つかったもの、これ以上言い訳をしても無駄ですよ!」


何がどうなっているんだ、そう思いながら自分じゃないと言うしか出来ない状況だ。


「所詮は平民から出た近衛騎士か。なんと欲深い。」

「だから平民から近衛騎士にするのは間違いだったのです陛下。」

「お主の言う通りだったな宰相よ…貴様の顔をなど二度と見たくない!衛兵よ、こやつを捉え即刻地下牢に入れておけ!」


控えていた騎士たちが入ってきて俺を捉えようとしてくる。


「何かの間違えです、私の話を聞いてください!陛下!」


俺は話を聞いてもらおうと必死だったが王の横にいた近衛騎士たちが俺の両脇を掴み引っ張っていく。

そして去り際に王が蔑むような表情を俺に向けていた。

俺はその表情を見ながら引きずられるようにして王の間から運ばれた。

そしてそのまま引きずられながら地下牢まで運ばれ、地下の牢屋に入れられる。


「一体なにがどうなっているんだ…」


訳も分からずただうなだれるしかなかった。

そしてそれから私は毎日のように拷問され、白状するように言われる。

しかし、やってもいないことをやったなどと言うわけもない、ただひたすら拷問に耐えながらもやっていないと言い続けるしかなかった。

1週間が経過した頃だった、いつものように兵士たちがやって来て拷問されるんだろうと思っていたがいつもと様子がおかしい。

なんだろうかと思い顔を上げる。

そこにはなぜか婚約者であるユリエラが立っていた。しかも縄に縛られた状態で…


「シン……。」

「ユ、ユリエラが、なんで、こんなところに…」


自然と口に出していたのだろう、俺が思っていたことに対し、その横にいる兵士が答える。


「なぜここにいるかって?お前が白状しないから、変わり喋ってもらおうって考えよ。婚約者同士なら共犯の可能性や共犯でなくても何か知っていることもありえるし話だからな。」

「!!ユリエラは関係ないだろ!それに可能性だけでお前は拷問しようと言うのか!」

「俺は上から命令されれば誰だって拷問してやるさ。」


それだけ言うと兵士はユリエラを十字架にはりつけ始める。

このままではユリエラが拷問の餌食になってしまう。

そう考え、兵士のターゲットを自分に向けるようにと、兵士に叫ぶが、見向きもされない。


「クソッ…ユリエラに手を出してみろ、お前のことは絶対に許さん!」

「おぉ怖い怖い、だけどその状態で何ができるんだっての。ケッケッケ。」


そう言って俺を見ながら笑う兵士。

そして懐から鞭を取り出す。


「おい、やめろ…やめてくれ!!」

「やなこった。」


下卑た笑みを浮かべながら鞭を思い切り振りかぶり、そしてユリエラのお腹めがけ思い切りたたく。


「クッ…」

「ほう、叫ばないとは大層強いお嬢さんだな、これは拷問のやりがいがある。」


鞭に叩かれる音が牢屋内に響く。

ユリエラは叩かれても叫ばず、グッとその痛みに耐えている。

それが兵士に気に入られより一層に強く鞭で叩かれる。

それでもユリエラは叫ばない、それどころか兵士を睨みつけている。

目の前で最愛の人が苦しめられているのに、ただ叫ぶことしか出来なかった。

何発か叩かれた後兵士は叩くことをやめ、ユリエラに問いかける。


「お嬢さんよう。あいつみたいにだんまりしてないで素直に喋ったらどうだ?そしたら叩かれずにさっさと帰れるんだぞ?なら話した方がいいんじゃねぇの?無駄に我慢したってなんの得にもなりはしねーのによ。」


下卑た笑みを崩さないまま兵士は言った。


「…私は、シンを、信じ、る…シンが…やって、ないって、言う、なら、シンは…やって、ない…」


痛みに耐えながら兵士に答えるユリエラ。


「ユ、ユリエラ…」

「…シン…だから、やってもいないことを認めちゃダメよ…絶対に折れないで!」


ユリエラは俺を見ながら力強く発した。

身に覚えのない罪で囚われ、痛めつけられている最中、絶望するわけでもなく、ましてや我が身可愛さに媚びることもなく、自分のことをひたすらに信じてくれている。

ユリエラのその言葉に、その気持ちに、自然と涙が溢れでる。

シンの中に様々な感情が蘇ってくる。

愛情、感謝、悔しみ、そしてこんな目にあわされたこと、何よりユリエラにした仕打ちへの怒り。


「それは大した愛情だな、羨ましい限りだな!」


シンの気持ちなど知るよしもなく、兵士はそれだけ言うと再び鞭でユリエラを叩き始めようとした。

しかし


「鞭で叩くのはつまらんな…叫びすらしない…次はどうしてやろうか……そうだ!」


そう言うと鞭を置き俺の牢屋の前までやってくる。

そして俺に話しかけてきた。


「もうあの女を叩くのはやめにしよう。」


まさかの言葉に驚きはしたが俺はユリエラが解放されるのかと思い安堵した。

しかしそれは淡い期待だと痛感する。

兵士はいつものように下卑た笑みを浮かべながら


「叩くのやめて今からお前の目の前であの女をめちゃくちゃにしてやる事にしよう。」


俺の思考回路が一瞬止まる。

今この男はなんて言ったんだ、ユリエラのことをめちゃくちゃにすると言ったのか?

ユリエラも流石に動揺を隠せないでいる。


「お、やっぱ女にはそれが一番効果覿面だな、ヘッヘッヘ」

「…いや、それだけはやめて!」

「やめろ!!これ以上彼女に手をだすな!!!」


しかし


「やめてと言われてやめるわけねーだろうが、ヘッ」


そう言ってユリエラはと近づいていく兵士。

そしてユリエラの前に立ち服に手をかけようとする。

いくらやめろと叫ぼうがこの兵士はやめようとはしない。

理不尽な仕打ちを受けるのが自分だけならまだいい、だが愛する人がその仕打ちを受けるのを前にしてなにもできずただ見てることしかできないなんて…

そんなの我慢ならない!!

その時だった「ブチッ」と俺の何かが切れる。そして湧き上がる怒りがさらに増え溢れてくる。


俺は力任せに自分の手足についてる枷を壊そうとする。

無理やり動かそうとしているせいか骨がきしむ、ろくなご飯も食べておらず連日に渡る拷問で身体は弱ってるため当たり前ではある、だがそんなことは気にせずさらに力を込める。

すると今度は枷の方が軋み始めた。

もう少しで壊せると思い雄叫びをあげながらさらに力を込める。


「うぉぉぉぉ」


その声に驚いた兵士がこっちを向くと同時に枷が壊れた。

俺はそのまま立ち上がると鉄格子を破壊し、ユリエラの元へ歩いて向かう。

兵士は一瞬驚くがすぐさま俺に向かい剣を向けてくる。


「来るな、それ以上来たらこの女がどうなっても知らないぞ!」


そう言ってユリエラの首元に剣を突きつける。

しかしその言葉が、その行動が、さらに俺の怒りのレベルを上がる。

だがユリエラを傷つけるわけにはいかない。

俺は降伏したことを示すため、両手を上げ、その場にしゃがむ。

それを見て安心したのか兵士が剣を下ろした。

その瞬間、兵士に一気に近づき、鳩尾部分を蹴りとばす。


「な…ぐはっ…」


と言いながら兵士は壁に打ち付けられ、そのまま崩れ落ち気絶した。

まだ兵士への怒りは収まらないがそんなことよりもユリエラの方が大事だ。

俺はユリエラの元へ行き、拘束具を外し、ユリエラの状態を確認する。


「大丈夫かユリエラ!」

「えぇ、大丈夫よ。」


そう言うユリエラだがお腹に何本ものミミズ腫れができていた。

他に怪我や傷がないか確認したが、特には見当たらなかった。

俺は「ちょっと待っててくれ」と言い看守室へ行く。

看守室には拷問のしすぎなどで白状する前に罪人が死んでしまはないよう回復薬がいくつか置いてあることを覚えている。

看守室へ入り回復薬のある棚を探す。

そして無事に見つけ、俺は回復薬を3本手に取りユリエラの元へ戻る。


「ユリエラ、少し染みるぞ。」

「えぇ……くっ、ん…」


そう言ってユリエラのお腹に回復薬をかける。

ユリエラは苦しそうな表情を浮かべるが回復薬がすぐに効き始めたのか、落ち着いた様子になる。

それを確認し、念のためにとユリエラにもう一本回復薬を渡し飲むように伝える。

そして自分も回復薬を飲む。


体力が回復したのを感じ、ユリエラの方を向くとユリエラも多少回復したようだった。

それを見て一安心した後、俺はユリエラの前に立ち頭を下げる。


「すまないユリエラ、俺のせいで君まで巻き込んでしまって。このようなひどい目に合わせてしまって、本当にすまない。」

「シン、私はあなたを信じてる。ここに連れてこられた時、少し説明はされたけどシンがそんなことする人じゃないって知ってるわ。だからあなたのせいじゃない。気にしなくていいわ。それに私はシンに巻き込まれるならどんなことでも本望よ。」

「ユリエラ…本当に…すまない。」


ユリエラの言葉に申し訳なさでいっぱいになる。

するとユリエラは俺の顔を掴み…


「シン!私は本望だって言ったわよね?私はシンに謝ってほしいと思って行動しないわ!私は愛する人とあなたと共にいたいと思って一緒にいるの!寄り添っているの!だからこういう時は、謝ってもらうよりもあなたからの感謝の言葉が聞きたいわ。」


と言った。

その言葉にまたも涙しそうになってしまうが、泣くよりも言うべきことがあると、涙をこらえながら答える。


「…そうか、そうだよな。ユリエラ、俺を信じてくれて、共にいてくれてありがとう!」

「いいえ、どういたしまして。」


俺が笑顔でユリエラに言うと、ユリエラも笑顔で返してくれた。

そして同時に、今回の件に対する王国の対応と、俺に罪をなすりつけた犯人へと怒りが再び湧き上がる。

この怒りを抑えることはできない、そう判断しユリエラに考えていることを告げる。


「ユリエラ、聞いてくれ。俺は今回のことを許すことができない。だから、俺が企てたことだというならそれを実行してやろうと思ってる。つまり俺は罪人になるだろう。だから、ユリエラ。君は逃げろ。」

「…わかった、逃げるわ……」


素直に聞き入れられた驚いたが同時に安心し、顔を伏せようとするがユリエラからさらに驚く言葉が放たれる。


「逃げるわ……シンと一緒にね!」


伏せようとした顔を上げユリエラの目をみる。

俺の何の冗談だという表情に対し、ユリエラは真剣だと返すような表情をしている。


「俺は罪人になるんだぞ?それも王の命を奪うという大罪人になるんだぞ?そしたら、普通の生活はできない。それはわかってるのか?」

「あなたに巻き込まれるなら本望だって言ったばかりよ?もう忘れちゃったの?」

「俺じゃ、君を幸せにするとかが叶わなくなるんだ、ついてきても辛いだけだ、いやむしろ今回よりもさらに酷い仕打ちを受けるかもしれないいんだぞ?そんな道に君を連れて行くわけにはいかない!」

「シン、さすがに怒るわよ?誰であろうと私の幸せは私が決める。それが例えシン、あなたであってもそれはできない。そして私が幸せな場所は、あなたと一緒にいることよ。あなたが連れて行かないと言っても私はついて行く。例え姿を消しても必ず見つけてついて行くわ。」


ユリエラの覚悟は本物だとすぐに感じた。

どんな言葉を並べようと彼女は決して納得しないだろう。

どんなに彼女から逃れようと彼女は本当に俺を探しそして見つけ出すだろう。

なぜだが、自然とそう思えてしまうほどの表情だった。

やはり敵わないな…と素直に思う。


「…わかった。ユリエラ、これからも俺のそばにいてくれるか?」

「当たり前よ、むしろ私がそばにいさせて欲しいと願うくらいよ。」

「ありがとうユリエラ、愛してる。」

「どういたしまして、それと私はあなたより愛してるわ。」


そんなことを真正面から言われてしまうと照れてしまう。

照れてることを悟られないように立ち上がり牢屋を出ようとユリエラに手を出す。

ユリエラは少し微笑みながら俺の手を取り立ち上がる。


そこから地下牢を出て俺たちはまっすぐ王がいるだろう王の間向かう。

ここまでの道中にいた兵士や騎士たちには眠ってもらった。

そして王の間の扉を柱の陰から様子を伺う。

扉の前には見張りの騎士が2人いた。

横にいるユリエラの方を向き小声で「行ってくる」と言うと彼女は黙って頷いた。

柱の陰から勢いよく飛び出し2人の騎士向かって行く。

騎士も気づき向かって来るが俺は問答無用で2人をぶっ飛ばす。

吹き飛んだ騎士の1人が扉にぶつかり、そして扉が壊れ王の間への道が開く。


ユリエラの方を向き「さぁ行こうか。」と手を差し出す。

ユリエラは微笑みながら手を取り、「行きましょう。」と答えてくれる。


王の間に入ると陛下と宰相、そして近衛騎士が4人いた。

騎士たちは俺とユリエラの姿を見て一瞬驚くがすぐに「曲者!」と言って切りかかってくる。

俺はユリエラに少し下がるように言った後、騎士に立ち向かう。


さすがは近衛騎士たちだ。王の身を守るために選ばれた精鋭たち、剣速が速く、鋭い。そんな奴が4人に対しこっちは素手で1人。普通に考えれば勝ち目はないだろう。

しかし、

近衛騎士の1人が吹っ飛ぶ。騎士たちは何が起こったかわからず、飛んでいった騎士を見る。

俺はそんなことお構いなしにとよそ見している騎士たちを1人ずつ思い切り蹴り吹き飛ばす。

あっという間に騎士がいなくなり、余裕そうな表情を浮かべていた王と宰相だが、今は顔を青くしている。

そりゃそうなるか、鎧や剣を持った精鋭騎士4人が、素手の相手1人にやられたのだから。


「どうも陛下、それに宰相。顔色が優れてないようですがどうかなさいましたか?」


2人に近づきながら俺は言った。


「き、貴様は。ろ、牢屋にいるはずだろう!な、なぜここにいる!」

「それは陛下に会いにきたに決まってるじゃないですか。」


陛下は驚きながらも質問してくる。

だから俺もそれに答える。


「それにその強さは一体…」

「いや、別に俺はずっとこのままでしたよ?まぁ騎士団長にスカウトされて騎士になってからは、騎士として剣しか使ってきませんでしたが元々俺は武術家ですから。まぁ剣を使うのは苦手で騎士になってからはあまり役に立てませんでしたがね。」


そう、騎士になる前は武術家として活動していたが、ある武闘大会で優勝した時、見に来ていた前の騎士団長に勧誘された。最初は断ろうと思っていたがユリエラとの生活を考えやはり職についていた方がいいと考え、それを受けた。そして騎士ならば剣を使うべきだろうと思い、危ない時以外は基本的に剣を使っていた。まぁ基本巡回任務しか受けてなかったため、危なくなることもなく、騎士になってからは素手で戦うことはなかった。


「それよりも陛下、身に覚えのない罪を着せられ拷問を受け、さらには証拠もない婚約者のユリエラまで拷問を行うとは。まぁ俺には一様証拠というものがあったからいいとして、ただ俺の婚約者と言う理由で罪人にし、拷問するとはどう言うことですか?」

「罪人の婚約者ならば、その罪に関与してると思うなは当たり前だろ!それを拷問して何が悪い!」

「宰相、あんたは黙っててくれませんか?今俺は陛下に聞いてるんですよ?それともあなたが陛下に変わったのですか?」

「なんて口の聞き方だ!私が誰かわかっているのか!!」

「…黙ってろ。」

「ひっ……。」


俺の質問に首を突っ込んでくる宰相を睨みつけ黙らせる。

そして再び陛下の方を向く。


「さぁ陛下答えてくださいよ。」

「いま、宰相が言った通りだ。」

「つまりは宰相が言ったからその通りにしたと?自分で物事を考えられないアホなんですかね陛下は。」

「貴様、言わせておけば!!」

「だって宰相が言ったからって子供が親に怒られるときの言い訳と一緒じゃないですか!そんな王をアホと言わずなんと言うんですか?」


陛下は睨みつけてくるが俺は気にもせず、後ろに振り返りユリエラの元へ向かう。


「ユリエラは何か言いたいことあるかい?」

「特にないわ、あなたの好きなようにやっていいわよ。私はあなたのそばにいれるならそれで満足だから。」


ユリエラが天使か何かなのかと空気を読まずに考えていると後ろから宰相が「貴様の目的はなんだ!」と聞いてくる。

俺の幸せな考えを邪魔しやがってと思いながらも宰相に向き答える。


「目的ですか?」

「目的なくこんなことするわけないだろう!金か?それとも罪を許せとでも言いにきたか?」

「罪も何も俺はやってませんから、てか俺に罪をなすりつけたのって宰相、あなたでしょ?」

「な、な、な、なにを。そ、そんな、よ、世迷言を!」


幸せな考えを邪魔されたことにイラつき適当なことを言ってみたがまさかの的中。

わかりやすいな宰相。

てかお前が犯人か!と犯人に対する怒りとこんな間抜けな奴にやられた自分に対する情けなさで一杯になる。


「本当か宰相よ!我を騙していたのか!!」

「そんな滅相も無い!貴様、なにを根拠に言ってる!」


適当に言いましたなんて言ってもあれだしなと、考える。そしてあることをひらめく。


「おれが陛下を暗殺しようとしたこと、そしてその証拠を俺の家から見つけ出したのも宰相、あなたですよね?」

「そうだ!私は陛下の身を案じてだな…」

「だとしたら何故俺が暗殺しようしてると思ったのか、そして俺の家から証拠を持ってくることができたのか。」

「そ、そんなのお前のことを見ていれば怪しいことくらいわかる!」

「いつ私を見ていたのですか?」

「お前が巡回任務をしていたのは知っている!その時見ていたのだ!」

「どこで?」

「そんなもの王都内に決まってるだろ!」


その言葉を聞いて俺は自分の無実が主張できる材料が揃ったことを確信した。


「その言葉に嘘はないですか?陛下の前ということを忘れないでくださいよ?」

「嘘などない!」

「だとしたらおかしいんですよね、俺が王都内を巡回してるなんてことはないので。」

「なにを言ってるんだ!貴様が王都を巡回してる証拠もある。騎士団本部に行けば記録もあるはずだ!」

「俺が配属されてる場所は王都巡回をする部署ですが俺は途中参加でしてね、王都内は人手が足りてるという事で王都の周りの巡回をしてるんですよ?だから王都内を巡回したことなど一度もありませんよ?」


俺は騎士団長が勧誘されて入ったため途中参加だった。

そのため王都巡回に配属されるも人手が十分ということで王都の周りを巡回することにしたのだ。


「な、なんだと?」

「宰相、お主は嘘を言ったということか?」

「そ、そんなことありません!陛下はあの者に騙されています!貴様も証拠などないだろ!」

「証拠はないが証人ならいますよ?それも複数。」


流石に1人で巡回するといざという時にできることが限られるため、色んな人が交代で俺とペアを組んで巡回してくれていた。

多分その人たちに聞けばわかるだろう。


「つまり悪いのは宰相ってことだろ、我は関係ない、むしろ我も被害者ではないか!」

「へ、陛下…」


王様にそう言われ観念した様子の宰相。

そして宰相を身代わりに自分の身を守ろうとする陛下。


「なにをおっしゃりますか陛下、最終的には陛下がお決めになったこと。陛下にも責任はありますよ?」

「な、我は騙されただけだと…」

「あの時話も聞こうとせず、むしろ侮辱までしただろうが!まぁ俺だけならいいさ、俺は我慢したがお前はユリエラまでも傷つけた!罪人に対する最終決定権は王様であるお前しかできない。つまりユリエラのことに関してもお前は罪人と認めた、証拠などないにも関わらず!」


とうとう俺はブチギレだ。

ブチギレた俺の気迫に王は萎縮してしまった。

すると宰相は顔を伏せた状態で言ってきた。


「それで貴様はどうするつもりだ?」

「どうするって俺が王様を殺して王の座を奪うってあんたが企てたことをじっこうしてやるよ。」


俺の発言に王様は驚くほど。


「まぁ、王の座はいらない。あっても面倒なだけだ。それと殺しはしない。ユリエラを殺人者の妻にするのは嫌だからな。だから全力でぶん殴って蹴る。死にはしないが五体満足ではいられないだろうよ。」


殺しはしないと言った瞬間2人は安心したが最期の五体満足ではいられないと言った瞬間また顔が真っ青になった。


「それじゃあいくぞ、せいぜい歯をくいしばれよ。」


そう言ってまずは宰相の前に立ち思い切り振りかぶり、宰相の顔面を思い切り殴る。

宰相は震えて動けず、俺のパンチをもろに受け吹き飛ぶ。

玉座の後ろにある壁を破りそのまま下に落ちていった。まぁここは二階だし、下は芝生のため死んではいないだろう。


そして次に王様の元へ向かう。

俺が前に立つと諦めているのかつぶやくように言った。


「どうしてこのようなことになったのだろうか…」


俺は右足を後ろに引きながら王様のつぶやきに返す。


「そんなのは決まってる…俺の大事なものを傷つけた、それだけだ…」


直後王様に向かって全力で蹴る。

宰相と同じく壁を破り下に落ちていった。


俺は一息つき、ユリエラの元へ歩いていく。


「お待たせユリエラ、行こうか。」

「えぇ、行きましょうか。」


そうして俺たちは王城から抜け出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後どうなったのか。


王様と宰相は今回のことが世に知れ渡り、国民からの信頼を失い失脚。今は変わりの人が王となり国を運営しているらしい。

なぜ知れ渡ったのかというと、俺は所属してた騎士団にやめますと手紙を残し、なぜやめるのかという理由として今回の件についても書いていた。それも読んだ騎士団の仲間たちが調査してくれ俺が無実だと証明され、今回の事件のことを広め、世間に知れ渡ったらしい。

ホントいい奴らだと今でも思う。


俺とユリエラは最初、指名手配されると思っていたがそんなこともなかった。

今は、今後余生を過ごすいい場所を探すため、旅をしている。

お金は俺の武術大会の優勝賞金の残りや、騎士団の給料あるし、なくなったらどこかの大会に出ればいいしね!

ユリエラと素敵な生活を過ごすため、今日もいろんなところを見にいくぜ!





連載しようか迷っていたのでひとまず短編として出してみました。



読んでいただきありがとうございました!

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