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ケータ(1)
C−1章「ケータ」
申し込みが受理された、とのメールが来ていた。
・・・そうと決まればこいつらを片付けしなくちゃな。
本棚の「コレクション」を無造作に段ボールに詰め込む。この家はぼくのものだし放置していてもいいけど、せっかくなら同好の士に受け継いであげたい。貴重なものなのだから。
ぼくがとくに熱を上げていたのは「ライトノベル」だった。
ライトノベルとは2000年代から2020年代後半にかけて日本にて広まった小説の形態のひとつ。ぼくは「人類がまだ活発だったころの副産物」のコレクターだった。
ただ悲しきかな、そういった物の多くはブームが過ぎると売られるでもなく燃やすなりして処分されてしまう。本のように、適切な管理によって1000年以上の時を超えられる物でさえも。かつて5ドル程度で売られたこれは、200年後の未来では100倍違い値で取引されている。




