罪深き温かフォンダンショコラ。
「お待たせ致しました。こちら温かフォンダンショコラでございます。どうぞ。」
温かくとろけるチョコレートケーキの横には、ひんや〜り冷たいバニラアイスクリームがちょこんと添えてある。
あぁ、君はなぜにこの私の心をがっしり掴んで放さないのか。
君のその甘さはまるで罪だな。
メープルシロップほど甘々にはならず、かといって薬のごとく苦くもない。
食べ過ぎると甘くなり、手を止めると恋しくなる。
君のその甘さは罪なのよ。
君のその冷たさと温かさも、まるで罪。
その温かさで優しく私を包み込み、私はいつしか瞳を閉じる。
瞳をもう一度開けば今度は冷たーいバニラアイスで私を突き放すのだ。
だから私はまたあの温かい優しさが恋しくなり、再び君にそっと口づけをするの。
君はその温かいチョコレートと冷たいバニラアイスで私の心を掴んで放さない。
だから私はどうしようもなく君が愛しい。
たまにはね、甘くて優しい味のショートケーキがきらきらして見えたりもするし、ビターで大人のガトーショコラに惹かれることもあるけれど、やっぱり私には君がベターなのよ。
君しかいない。
私には、やっぱり君しかダメなんです。
温かフォンダンショコラ〜バニラアイスクリーム添え〜
あぁ、なんて素敵な響きなのでしょう。
あぁ、もしもいまシェイクスピアとお話ができるのならば、私はきっと
「Love is sweet sorrow.」について熱く熱く語ることでしょう。
「恋する心は甘美の苦しみ。」
あぁ、なんて素敵な言葉でしょう。
きっと半日は語れるわ。
時代をこえて、性別をこえた彼と私の恋バナね。
君はちょっぴり妬いたりするかな?
だけど大丈夫。
だってきっと彼はカカオマス90パーセント以上でできたチョコレートブラウニーだと思うの。
だからやっぱり温かフォンダンショコラの君には、どうやったって適いません。
甘くて苦い、温かくて冷たい、私の大好きで仕方ない君。
とりあえず…
「すみません!おかわり下さい♪」