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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
8/38

4-2

 帰り道。

 隣に歩く竜司くんは、なんかおかしい。

 喋りも歩き方もガチガチ。


「竜司くん」

「なっ、なにっ? 」


 やっぱりおかしい。


「あのとき、なんか言われたの? 」


 竜司くんの体がビクッと揺れた。

 そして、人通りが少なく暗い道でなぜか止まってしまった。


「竜司くん? 」


 呼んでも返事がない。

 そんな竜司くんは、こちらに体ごと向け一歩、足を進めて近づいてきた。


「…? 」


 なにがしたいのかよくわからない。

 そして、また一歩、一歩と近づいてこられてなんとなく危ない気がしてきた。


「竜司くん…? 」


 そう言いながらも、近づいてこられた分だけ後ろに下がる。

 そして、また一歩。

 それを見て、後ろにまた一歩下がるが、トンっと背中にひんやりとしたものがあたる。


 …やばいです


 コンクリートの壁で、もう後ろには下がれない。

 そこに、また一歩近づいてきた。

 すると、ダンっと後ろの壁に手がつかれ逃げ道がなくなる。


 …これは、そういう状況か


 冷静に判断しているようで、冷静に判断できていない。


「咲夜ちゃん…」


 竜司くんの顔をみると、瞳は揺れていた。

 どうやら理性は保っているようだ。


「そこでなにしてるの? 」


 誰か、男子の声が聞こえた。

 これは、あたしたちに向けられているものなの?

 竜司くんが壁になっていて、その人の姿が見えない。


「ちょっとー聞いてますかー」


 その人が近づいてくる。

 トントントンっと、どんどん足音が聞こえてくる。

 近くで足音が止まる音がすると、ひょいっと空いている隙間から顔を覗かれた。


「って、咲夜ちゃん!? 」


 …吉田くんだ。

 なんでここに?

「ちょっとどいて」と竜司くんがどかされて、あたしは解放される。


「なに、なんで?こいつ誰?それよりなにもされなかった? 」


 いろんな質問をされて、なにから返せばいいのかわからない。


「この人は竜司くんで、なにもされなかったよ」

「ふ~ん」


 ちゃんと質問に返したのに、興味なさそうに答えられた。

 それより、竜司くんをじーっと見ている…睨んでいるというほうが正しい。


「なんでこんなとこで一緒にいるの? 」


 竜司くんを睨みながら、あたしに質問をする吉田くんは…いつもと違う気がする。


「家まで送ってくれるって言われて…」

「そっか、だったらキミ、帰っていいよ。咲夜ちゃんは おれが送るから」


 だんだんと吉田くんの態度が悪くなっていくのがわかる。


 俯いていると「咲夜ちゃん」と名前を呼ばれる。

 顔をあげると、こちらを向いている吉田くん。

 これからお説教をくらうみたいだ。


「こんな暗い夜に男なんかについていったらどうなるのかわかってるの? 」

「ごめんなさい…」


 頭を下げて謝ると、それ以上は言われなかった。


 少しの沈黙。

 吉田くんは、ふう…と溜め息をついて


「おれはね、謝ってほしいわけじゃないんだよ。咲夜ちゃんに、もしものことがあったら心配なんだ」


 顔をあげて吉田くんをみると、真剣そうで安心したような表情をしていた。


「でも、あれはわたしがいけないんだよ。あたしがキスしていいよって言ったから」


 そこで目を少し見開かれる。

 驚かれるのは無理ない…よね。


「だめだよ。そういうこと言っちゃ」


 冷静に返された。


「でも、あたし…キスされるのとか嫌いじゃないんだよね」


 そういうと、吉田くんは少し固まった。

 そして、片手で自分の顔を隠すように覆った。


「そういうこと、言わないで」

「どうして…? 」


 吉田くんの言動がわからない。

 顔を隠していた手をどかされると、複雑そうな表情があたしをみる。


「だって、おれだって男なんだよ?そんなこと言われると、キス…したくなる」

「えっ…」

「だって、こんな誰もいなくて暗い道で…もう絶好のチャンスじゃん。だから、そういうこと言わないで。襲われたくなかったら」


 なんか衝撃的なことをいっぱい聞いてしまった。

 …男の子って、そういうものなんだ。


「キス、してくれないの? 」

「ちょっ、咲夜ちゃん。話聞いてる? 」


 困ったような顔をされるけど、あたしも困ってる。


「だって…」

「おれに これ以上、刺激を与えないで。ほんと、マジでやばいから」


 あたしだってやばいよ…。

 全然キスしてなくて。


「キスしてよ」


 そう言って目を見つめると、視線をばっとそらされる。

 そして、今度は横に向いて腕で顔を隠される。


「だめだよ。おれは、そんな軽々とできない」

「なんで…」

「好きな子に軽々とできないよ」

「え…」


 苦しそうに言われる。

 でも、吉田くんの言ってることは…


「あの恐い人と、逆なんだね」


 顔を隠していた腕がゆっくりとどかされた。


「そうなの? 」

「うん。『キスはフツー、好きなやつとするもんだろ』って」


 そのときのことを思い出して、少しだけいやな気持ちになった。


「そうなんだ。恭弥が…ね」


 家まで送ってもらった。

 だけどキスはもらえなかった。

 ベッドに横になると目をつぶって睡魔に襲われるのをまつ。

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