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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
7/38

4-1

「美姫~合コンしたい」


 ベッドに仰向け、携帯を片手に相手が電話にでた瞬間自分の希望を言った。


『えっ、なに急に!? 』

「合コーン」


 そりゃこういう反応をするわけで。

 でも、絶対に行きたい。


『こんな時間に言われても 人、集まらないよ』

「合コーン」


 そんなことは知っているけど、今のあたしはブルーな気持ちで、なにがなんでも行きたい。


「コーン」

『…どうしたの? 咲夜。なんかあった? 』


 あたしの異変に気づいたようだ。

 さすがあたしの友達。


「なんかあったかと聞かれれば、あった」


 あったことを細かく説明したくないから濁らせた。

 それを知ってか、美姫はそれ以上聞いてこなかった。


『じゃあ、ま、できるだけやってみるわ』

「ありがとう美姫」


 バイバイと言われて、それを返してから電話を切った。

 合コン。今日は楽しむぞ。


 合コン。美姫は人集めを宣言どおり、やってくれた。

 携帯の履歴をたどって集めたらしいから、今日のメンバーは知ってる人ばかりと言っていた。

 だが…


「咲夜ちゃん、おれのこと覚えてる? 」

「え、えーと…」

「残念だな、竜司。お前、忘れられてるぞ」

「え、マジで!? 」


 あはは…としか笑いようがないこの状況。

 誰一人として知ってる人がいない。

 これは…楽しめない。


「おれだよ、おれ」

「おれおれ詐欺かよ」

「直人は黙ってろよ」


 …なんか見覚えがあるような気がしてきた。

 この漫才のようなやり取り。


「あ…」

「思い出した? 」


 期待するような目が向けられる。


「あのとき、豪快に転んだ人」


 その場が静かになった。

 かと、思えば笑い声がとんだ。


「咲夜。そこは忘れてもいいところだよ」


 隣にいた美姫に笑いながら言われた。

 自分の言ったことに、今更後悔した。


「ご、ごめんなさい」

「いや、別にいいよ。そんなことでも覚えてくれていて嬉しいから」


 笑顔で答えられた。

 なんでこんな優しい表情が向けられるんだろう。


 あたし…なんかだめだ。

 楽しめない…。


「美姫…やっぱり帰るね」


 周りの人に聞こえないように、小さな声で隣にいる美姫に言った。

 だが、それは意味ないものに変わる。


「えーもう帰っちゃうの?咲夜のために集めたのに」


 大きな声で言われて、周りの人にも聞こえてしまった。


「咲夜ちゃん。帰っちゃうの? 」


 さっき、あたしに優しい表情を向けた人が残念そうに言う。

 返事は「うん」とただ頷いた。


  「じゃあ、竜司、送ってあげれば? 」

「え、おれ? 」


 それは迷惑になっちゃうよ。


「いいよ。あたし、一人で帰れるから」

「咲夜ちゃんは女の子なんだから一人じゃ危ないよ。だから竜司、ずべこべ言わず早く立てよ」

「わかったよ」


 そう言うと、竜司と言われた人は立ち上がった。


「じゃあ、行こう? 」

「いいの? 迷惑じゃない? 」

「全然。てか、ちょー嬉しい」


 心から思っているんだとわかる表情。

 この人はうそをつかなそう。


 あたしが席を立つと、竜司くんも立ち上がった。

 竜二くんは立ち上がったが、直人という人にぐっと首に腕をまかれる。

 その人は竜司くんに、なにかを言っているようだ。

 なにを言っているかは聞き取れないが。


「んなことできるかよ!! 」


 急に大きな声をだした竜司くん。

 なにを言われたのかと気になりじっとみると、竜司くんの顔が真っ赤だった。


 首にまかれた腕が離され、解放された竜司くんはあたしとバチっと目があう。

 すると、真っ赤な顔がさらに赤くなった。


「ほ、ほ、ほら、い、いこ」


 すごく動揺している様子。

 直人という人と話していたことが原因かなとその人をみると、笑っていた。

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