4-1
「美姫~合コンしたい」
ベッドに仰向け、携帯を片手に相手が電話にでた瞬間自分の希望を言った。
『えっ、なに急に!? 』
「合コーン」
そりゃこういう反応をするわけで。
でも、絶対に行きたい。
『こんな時間に言われても 人、集まらないよ』
「合コーン」
そんなことは知っているけど、今のあたしはブルーな気持ちで、なにがなんでも行きたい。
「コーン」
『…どうしたの? 咲夜。なんかあった? 』
あたしの異変に気づいたようだ。
さすがあたしの友達。
「なんかあったかと聞かれれば、あった」
あったことを細かく説明したくないから濁らせた。
それを知ってか、美姫はそれ以上聞いてこなかった。
『じゃあ、ま、できるだけやってみるわ』
「ありがとう美姫」
バイバイと言われて、それを返してから電話を切った。
合コン。今日は楽しむぞ。
合コン。美姫は人集めを宣言どおり、やってくれた。
携帯の履歴をたどって集めたらしいから、今日のメンバーは知ってる人ばかりと言っていた。
だが…
「咲夜ちゃん、おれのこと覚えてる? 」
「え、えーと…」
「残念だな、竜司。お前、忘れられてるぞ」
「え、マジで!? 」
あはは…としか笑いようがないこの状況。
誰一人として知ってる人がいない。
これは…楽しめない。
「おれだよ、おれ」
「おれおれ詐欺かよ」
「直人は黙ってろよ」
…なんか見覚えがあるような気がしてきた。
この漫才のようなやり取り。
「あ…」
「思い出した? 」
期待するような目が向けられる。
「あのとき、豪快に転んだ人」
その場が静かになった。
かと、思えば笑い声がとんだ。
「咲夜。そこは忘れてもいいところだよ」
隣にいた美姫に笑いながら言われた。
自分の言ったことに、今更後悔した。
「ご、ごめんなさい」
「いや、別にいいよ。そんなことでも覚えてくれていて嬉しいから」
笑顔で答えられた。
なんでこんな優しい表情が向けられるんだろう。
あたし…なんかだめだ。
楽しめない…。
「美姫…やっぱり帰るね」
周りの人に聞こえないように、小さな声で隣にいる美姫に言った。
だが、それは意味ないものに変わる。
「えーもう帰っちゃうの?咲夜のために集めたのに」
大きな声で言われて、周りの人にも聞こえてしまった。
「咲夜ちゃん。帰っちゃうの? 」
さっき、あたしに優しい表情を向けた人が残念そうに言う。
返事は「うん」とただ頷いた。
「じゃあ、竜司、送ってあげれば? 」
「え、おれ? 」
それは迷惑になっちゃうよ。
「いいよ。あたし、一人で帰れるから」
「咲夜ちゃんは女の子なんだから一人じゃ危ないよ。だから竜司、ずべこべ言わず早く立てよ」
「わかったよ」
そう言うと、竜司と言われた人は立ち上がった。
「じゃあ、行こう? 」
「いいの? 迷惑じゃない? 」
「全然。てか、ちょー嬉しい」
心から思っているんだとわかる表情。
この人はうそをつかなそう。
あたしが席を立つと、竜司くんも立ち上がった。
竜二くんは立ち上がったが、直人という人にぐっと首に腕をまかれる。
その人は竜司くんに、なにかを言っているようだ。
なにを言っているかは聞き取れないが。
「んなことできるかよ!! 」
急に大きな声をだした竜司くん。
なにを言われたのかと気になりじっとみると、竜司くんの顔が真っ赤だった。
首にまかれた腕が離され、解放された竜司くんはあたしとバチっと目があう。
すると、真っ赤な顔がさらに赤くなった。
「ほ、ほ、ほら、い、いこ」
すごく動揺している様子。
直人という人と話していたことが原因かなとその人をみると、笑っていた。




