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問題発生。
シュウ先輩が珍しくソファに座っている。
そのソファは一人専用のソファ。
しかし、それは問題ではなくて…
問題は、あたしの向かいのソファに座っている2人だ。
1人はにこにことして、もう1人はイラついているというオーラが全開。
「そういうことで、この2人は生徒会の一員になる」
は?
いやいや、意味不明だから。
「よろしくねー咲夜ちゃん! 」
「 …なんで俺までこんなこと……」
なんではこっちのセリフだよ。
なんであなたたちが生徒会に?
てか、生徒会に入りたいなんて…
ん? まって。
「シュウ先輩。生徒会の役職って、もうないですよね? 」
シュウ先輩が生徒会長
葵先輩が副会長
雲雀くんが会計
そしてあたしが書記
もうこれ以上の役職はないと思うが…
「それは考えたんだが…」
眼鏡のふちをなおす仕草をする。
好きな仕草。好きな仕草だけど…
この話に全く理解できない。
「常任委員、議長。この2つが丁度あったんだ」
「だからってこんな急に、新しい人をいれる必要があるんですか? 」
ああ…あたしのいまの学校生活が崩れる。
1人のほうは、別に良いけど。
もう1人のほうが…いやだ。
「この先 文化祭もあることだし、役職を多くしても変わりはないからね」
「 … 」
そんなに生徒会は楽に入れるところだったのか…。こんなこと学校中生徒の女子たちが知っていたら…絶対に奪いあいになるよね。
まあ、あたしの場所は譲らないけど。
ソファに座っていると、生徒会に新しく入ったメンバーの1人。
吉田陽斗があたしのまえまで来る。
「ねえ、ねえ、咲夜ちゃん。記念に写真とらない? 」
「…とらない」
「えーなんで!? 」
なぜ驚く。
そんなに驚くんだったら聞かないでほしい。
あのとき、この人の携帯の中に入っていた幼い頃の写真をみたけど…まさかまだ写真ばかりとっているのかな。
「ねっ、とろうよ」
「…わかった」
携帯を右手に持って首を傾げたこの人に、仕方なくのることにした。
なんかこの人のお願いって…逆らえなさそう。
生徒会に新メンバーができた日の夜。
ベッドに横になって携帯をいじっていると、通知メールが届く。
なにかと思いそれを開くと…
あの吉田陽斗だ。
件名は
『ひさしぶり』
と、意外とシンプルだった。
考えてみればひさしぶり。
あのよくわからなかったメール以来だ。
「咲夜ちゃんと同じ生徒会に入れて嬉しい」
書かれている内容を無意識に口にだして読む。
「今日、記念にとった写真だよ? 」
まさかと思いながら、矢印が下に向いている記号にしたがって画面をスクロールする。
「 … 」
本当に今日とった写真が貼られていた。
2枚あって、1枚目はあたしと写真好きな人が写っている写真。
もう1枚は生徒会のメンバー全員が写っている写真。
「まあ…悪くはないかな。1枚目は必要ないけど」
そう言いながらに笑みがこぼれる。
こういうのは…いいかもね。
あたしもたまには写真とったりしようかな。
早朝、起きたときに家で飼っている猫の写真をとった。
愛くるしいあたしの猫。
そのあとは、いつもよりもいい気分で学校に向かった。
教室に入るとあの人の姿があった。
やっぱり女子たちに囲まれている。
隣にもかっこいい恐い人がいるからね。
構わずにその人の座っている席までいき、相手に見えるところに止まる。
「おはよう」
「お、おはよう」
その人は、あたしを見ると驚きながらも挨拶を返した。
それは当然のこと。
挨拶したのはこれが初めてだから。
周りにいる女子たちはあたしが思ったとおり、変な視線向けてくる。
そんなの関係ない。
この人たちみたいに、気に入られたいとかそんな気持ちなんてないから。
どうせ生徒会室でも会うことにもなるだろうし。なんか幼なじみみたいだし。
放課後、生徒会室。
なぜか、同じクラスの新しく生徒会に入った二人と一緒に生徒会室に来た。
「咲夜ちゃん。今日はどうしたの? 」
「なんとなくだよ」
さっそく今日、挨拶をしてきた理由を聞かれたがこれしか答えられない。
「昨日の送られてきた写真みてさ、今日は猫の写真を 撮ってみたんだよ 」
携帯をいじってその写真を見つけると、携帯画面を見せた。
すると「わあ~、かわいいね」と笑顔で言われた。
そうだよ。かわいいんだよ。
「恭弥もほら、見てみなよ」
恐い人は呼ばれるとめんどくさそうに携帯画面を覗いてきた。
だけど、なにも言わずに見るのをやめた。
かわいいとか、お世辞でもないのか。
お世辞は嫌いだけど。
「急な話になっちゃうけどさ」
あたしの隣にいる恐くないほうの人が話をはじめる。
「咲夜ちゃんは小さい頃に好きになった人をずっと好きのままの人って、どう思う?」
ほんとうに急だな。
「どうって…」
なぜそんなことが聞かれるのかはよくわからないけど、真面目そうな顔をしている。
ふざけて聞いているわけではないようだ。
少し考えてから思ったことを口にする。
「一途な人なんだって思うかな」
「そういうことじゃなくて、咲夜ちゃんがどう思うかってこと」
少しあたしのほうに近づいてきた。
ちゃんと答えたんだけどな…。
これはあたし自身の気持ちを言えってことか…
じゃあ思っていることを言おう。
「あり得ないと思うよ。そんなこと。小さい頃の‘好き’なんてただの遊びみたいなものだっていうしね」
聞いてきた相手は「そうだよね」と呟いた。
それより小さい頃の記憶なんてけっこう忘れるものだしね。
「だけどさ、もしいたらどう思う? 」
懲りずにまた同じようなことを聞いてくる。
なんなんだ…
「そしたら見てみたいものだね」
これでこの話は終わるだろうと思っていたら、なぜか強い視線が感じられる。
その強い視線を放っているのは、この人しかいない。
「な…なに? 」
「おれ、咲夜ちゃんのことが好きなんだ」
「 … 」
いや、いきなり好きと言われても…困る。
小さい頃の記憶とか覚えてないし。
そんなありえない話があっていいのか?
「咲夜ちゃんは覚えてないって言ってるけど、おれは覚えてるから。だから遊びとかじゃないよ? 」




