表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
31/38

キス*チュードク2 4-3


だけどなにも聞かない。

聞いたところでなにかを試されるに

決まってる。

カイは自分の言ってることが

相手に伝わらないと

いきなり試してくるんだ。

だからそれが怖い…。

「 今日、どこか行かない? 」

ちゃっかり朝食をカイの家で

食べていると、

カイがそんなことを言ってきた。

あたしの愛猫のソラも

ちゃっかりご飯を食べている。

だけどあたしのご飯を食べる手は

止まる。

ソラがキャットフードを食べている

音だけが響く。

「 …… 」

はたして、

カイと外に出歩いていいのか?

もし他の生徒に

カイと一緒にいるところを見られたら?

そんなこと考えたら

軽く答えられない。

結局答えてしまった。

『 いいよ 』って。

「 ね、どこ行く? 」

あたしの隣には楽しそうな

カイの姿が。

そういう誰かが楽しそうにしているのは

好きだ。

だけどまわりの視線が気になる。

もし生徒たちに見つかったりしたら…

「 どうしたの? 」

顔を傾けてあたしを覗いてきた。

まずい…答えなければいけなくなる。

まあ、いいか。

これはカイにも言っておかなきゃ

いけないことだし。

「 もし、他の生徒たちに見つかったり

したら? 」

カイはどうするの?

なんて言うの?

それ次第で先生を辞めさせられたり

するんじゃないの?

カイは、う~ん…と軽く考えて

「幼なじみって言えばいいでしょ 」

軽く答えた。

「 いや、幼なじみって言えるほど

古い付き合いでもないでしょ 」

カイの語尾をまねして言った。

「 あれ? そうだっけ?

咲夜といた時間は長いように

感じていたけど 」

とぼけるように答えるカイは

ほんとうにそう思っているのか疑問だ。

「 そうだよ 」

古い付き合いでもないよ。

あたしが小5のときに会ったときの

カイは高一。

それで高三を卒業したとともに

カイはあたしのまえからいなくなったんだから。

たったの二年間しか一緒にいなかった。

それを幼なじみと言えるのか

いや、言えないだろう。

のど乾いたときにちょうど近くにお店があって、そこに入った。

あたしはメロンソーダを

カイはブラックコーヒーを

…って

「 それ、苦くない? 」

いかにも苦そうなコーヒーだ。

「 飲んでみる? 」

飲んでいたコーヒーカップ

差し出してきた。

その中を覗いてみると

色が黒い…。

「 いらないよ。

わざわざそんなに苦そうなもの

飲みたくない 」

「 そう、お子ちゃまだね 」

笑いながらコーヒーカップを

皿に置き直す。

そんなカイの言葉に反抗する気なんて

ない。

カイの言うこと一つ一つに

返してられないから。

あ、あ、あれ…?

「 葵。 なにこの子

知ってる人? 」

メロンソーダをストローをくわえて

飲んでいると

あたしの横に通り過ぎようとしていたのは

葵先輩。

二人組の女。

屋上で見た女とは違うとわかる。

じゃなくて

この状況はさすがにまずいんじゃ……。

「 あれ?

もしかして くりゅう先生ですか?

なんで一緒に…?

この子どう見ても生徒、ですよね? 」

女の一人がいらない質問をしてきた。

葵先輩にじっと見られているのは

わかるが、いまはそれどころじゃない。

( どうするの!? )

助けを求めるようにカイを見つめる。

「 この子ね、僕の担当の英語のテストで

赤点とっちゃってさ。

だから次はちゃんと点数とってもらわなくちゃいけないから

教えてあげることになったんだ。

幼なじみの仲で 」

さ、さすがカイ。

笑顔でスラスラと嘘が……って

それ、当たってるんですけど…。

なんでカイがそんなこと知ってるんだ。

あたし、なにも言ってないのに。

「 へ~そうなんですか!

それは良いですね 」

『 幼なじみの仲で 』を強調されて

言われたのが効果あったのか、

そこに話がいった。

「 いいな~なんかそういうの。

ね、葵 」

「 …! 」

びくっと体が揺れてしまう。

葵先輩…なんて答えるのか。

まだ痛い視線があたしに刺さっている

気がするんだ。

だけど葵先輩のほうを向けないし、

顔を見れない。

なんて言うのか…。

なんて……

「 そうだね。

先生、英語、ちゃんと教えてあげて

くださいね。

じゃ、俺はこれで 」

「 …… 」

それだけ言うと葵先輩は行ってしまった。

そのあとを追って

二人組の女もいなくなった。

なんかあっけないというか

寂しいというか。

「 咲夜。 危なかったね 」

楽しそうに笑うカイ。

楽しそうに言うことなのか

これは。

「 そう、だね 」

脱力して

テーブルにゆっくり突っ伏した。

「 大丈夫? 」

「 ん、大丈夫…なのかな…… 」

頭上から心配してくれるカイの声が

した。

その言葉にどっちなのかわからない

回答をすると

頭がポンポンとされた。

これ、けっこう落ち着くし

心地いい。

眠くなる……

…って、寝ちゃいけない…!

「 カイ。 もうここから出よう 」

同じ店に葵先輩がいるというだけで

気まずい。

それにね…なんか強い視線が感じるんだ。

「 わかった。 そうしよっか 」

その一言で店から出た。

それからはいろんなところを周り、

他愛もない話をして

時間が過ぎていった。

『 今度は計画してからデートしようね 』

などと言われてしまった。

少しは自分が学校の先生ということを

自覚してほしい。

そしてあたしは生徒だってことも。

それとなぜかあたしの愛猫のソラが

とられてしまった。

『 ソラに会いたかったら

僕のところに来れば会えるよ 』

なんて…

ソラはあたしの猫なのに。

これじゃあまるでソラが

人じちならぬ猫じちだ。

あたし…家に一人じゃん。

誰もいない家は実に悲しい。

ソラがいたときはこんなにも

寂しくなかった気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ