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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
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キス*チュードク2 4-1

「う… 」


 いま、危機的状況におちいっている。あたしのもっているプリント。これが原因。


「うっわ、30点以下ってマジかよ 」


 教室で、なぜか隣同士になってしまっている恭弥が横から覗いてきた。その『すげーありえねんだけど』という目で見ないでほしい。


「勝手に覗くな!それにこれは英語だから仕方ない! 」


 そう仕方ない。英語なんて意味のないエーとかビーとかがつながっているだけの暗号。そう暗号なんだ。だから解くのは難しいし、むしろ原点から間違っている。日本人が英語? ローマ字?などというものを学ぼうとするのがおかしい。どうせこの中で外国などに行こうなんて思いつくやつらは限られている。だから…


「だからって、ありえないだろ。それ、赤点だから再テスト決定だな 」


 見られないように裏にして机にプリントを押し付けたものを見ながら鼻で笑うように言いやがった。そういえば再テストか…。


「暗記できないよ…」


 再テストしたってどうせ点数なんて変わりやしないけど。


「お前はもっと記憶力をよくしろ」

「よくもないけど、悪くもないと思うんだけどなあ」


 暗記力はともかく、記憶力は人並みにあると思う。てか、英語だけの点数でそんなこと言われたくない。


「小さい頃の記憶でさえ、全然ないやつがそんなことを言うのはおかしいだろ」


 窓の外を見ながら平然とぼん読みで言われている。これはバカにされているのかよくわからないけど


「 今は小さい頃とは違うもん 」


 そう、違う。小さい頃の記憶なんてあるほうがおかしいんだ。ともかく覚えていられるのは小学生から上だと思う。それ以上 小さい頃の記憶なんてあたしには覚えていられるわけない。あたしの答えに恭弥はふ~ん、といかにも興味がなさそうに受け答える。いや、これは答えていると言うのか。


「じゃ、俺とキスしたのはいつ? 」


 おもむろにこちらを向くと小声でそんなことを言ってきた。こんな人のいるところでそんなことを……。“やめて”というジェスチャーをしたが知らんふりをされてしまった。


「なあ、いつ? 」

「 …っ! 」


 耳元でつぶやかれた。なにか求めるような甘い声。それだけで体を強ばらせてしまう。


「 に、二週間まえ? 」


 そう聞くと顔が離れていく。


「はずれ。二週間と3日まえ」

「それ同じじゃん」

「同じじゃない」


 真顔で言われた…。普通の大きさの声で喋ってるけどこれだけは まわりに聞こえても大丈夫だよね。聞こえたとしてもなんの話をしているかわからないはず。


『俺とキスしねえの? 』


 昨日、あの話になったからなのか恭弥がそんなことを言ってきた。この誰もいないという保健室で。そして密室。もちろんあたしは断った。はっきりしないと。だからそれが原因でこんな迫られるように近づかれてるんだ。


「どうしてだよ? 」

「 離して 」


 手首を掴まれて振りほどこうとするが離してはくれず。


「 …! 」

「なあ、どうして? 」


 まただ…。またこの態勢。ベッドの近くにいたせいで押し倒されてしまった。それにカーテンが閉まっている。もし、誰か来てもわかってくれないかもしれない。…ここには誰も来ないってことはわかってるけど。


「お前、なおったんだな。まえはいつでもキスしようとしてきたくせに」


 その言葉になにも言えなくなる。なおったと言われればなおったのか疑問になる。それに完全になおるのか自分でもわからない。


「ほんとうにしなくなったのか?」


 しなくなったといえばしなくなったけど…。もう、優柔不断な自分に飽き飽きする。


「まあ…ほどほどに」

「ほどほどかよ」


 目をそらしながらに答えたら呆れたように笑われた。あたしもこんな自分に笑いたい。でも恭弥なんかに笑われるほどのことじゃないと思う。


「完全になおったわけじゃないもん」


 なんか恭弥の言葉にムッときて横をむきながらむすっと頬をふくらました。


「そう、じゃあ」


 手を押さえつけられた。


「え…? なに? 」


 しなくなったといえばしなくなったけど…。もう、優柔不断な自分に飽き飽きする。

 あせって視線を恭弥にむけるとなにかを たくらんでいるような表情があたしの視界にうつる。


「 ちょっ… 」


 たくらんでいるような顔が無表情になり、あたしの顔に近づいてくる。

 たぶんこれはキスされそうな状況。

 と思ったらもう、唇が重なった。


 いつからだろうこんな恭弥が積極的になったのは。あたしがこうさせたんだね。あたしがこうさせたのにいまはあたしのほうが拒んでる。なんか自由勝手だなあたしって…。恭弥のことを考えいるうちに触れていた唇が離れていく。


「なんで?」


 こんなことするの?こんなにあたしは拒んでいるのに。まえみたいな恭弥はもういないの?じっとみるとそらされずにじっとみられる。


「顔、赤い」

「 うそでしょ? 」

「 ほんと 」


 急にわけわからないことを言われ困惑してしまう。顔が赤くなるなんてそんなことあるはずない…けど頬が熱い気がする。


「治ったとたんに、純粋少女か?」


 挑発てきに笑われる。その表情、嫌いだ。バカにされてるみたいで。


「う…うるさい…。というか、離して」

「無理」

「なんで…」


 こんなにも恭弥は…。


「なおりかけなんだよな?だったら、俺がまえみたいなお前に戻してやる」


 なおそうとがんばっているのになんで…甘い道に連れ戻そうとするの?


「だって、おまえのせいで俺まで中毒になった」


 いま…聞きなれない言葉を聞いた。


「もしかして……キス、の…? 」

「そう、キスの」


 あたしがまえに言ったことだ。キス中毒あたしはそれなんだって言ったことまだ覚えてたんだ。あのときは笑ったくせに。そんなのあるかって。もう恭弥がわからない。


  「だから」


 ニヤリと笑う。


「責任とれ」

「やめて」


 顔を横にむけて少しのを抵抗する。


「…ほんと、お前、変わったな」


 すると恭弥は近づけてきた顔を離して苦しそうな声をだす。変わろうとしてるんだよあたしだって抵抗とかしたくないけど抵抗すると苦しいけど変わろうと…ーカシャッそこで閉まっていたカーテンが開いた。 あたしの視界に映ったのは…カイの姿があった。


「なに、してるのかな? 」


  笑顔でニコッと笑っている。その表情はニセモノだとわかる。これ…表の顔だ……。表では笑って裏ではどんな表情をしているんだろう…。怖いものだとわかる。それと、なぜここにカイが来たのか不明だ。助かった…。だけどこれはやばいものだとわかる。今の状況。……押し倒され中……。

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