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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
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キス*チュードク2 2-1

 夏休みにはいる直前。ひとつ、あたしが提案したものがある。それは


「花火大会? 」

「そう、花火大会。ね、行こうよ 」


 難しそうな顔をしている恭弥。たぶん、なんでそんなとこにみんなで行かなきゃいけないんだと思っているんだろう。恭弥の思ってることや、言おうとしてることなんてわかる。いつも嫌味とか反対意見しかださないんだ。恭弥はこれ以上言っても無駄だな。そう思い、隣にいる葵先輩に顔を向けた。


「葵先輩はどう思いますか? 」


 いい答えを期待してじっと見ると、葵先輩は微かに笑った。期待どおりの答えを返してくれるようだ。


「いいと思うな。咲夜ちゃんの浴衣姿みたいし」


 意味ありげな目で見られる。浴衣姿か…


「それはあたしに着れと言ってるんですか? 」


 そう聞くと


「 もちろん 」


 と嬉しそうに笑われた。そして当日。みんなで来たはいいが…なに? この状況。女子に囲まれているみんながあたしの目の前にいる。


「わたしと一緒にまわりませんか? 」

「ごめんね。一緒にまわる人は決まってるんだ」


 優しく断る葵先輩。さすが葵先輩。女子たちは残念そうに不満の声をだす。それに比べて


「マジ、うるせえ… 」


 女子に囲まれているイラつき度マックスの恭弥と


「 ……… 」


 無言な雲雀くん。そして


「ごめんね、おれも無理なんだ」


  明るく返すハル。だけど意外なのが


「 …… 」


 無言で遠くを見ているりぃくんの姿。りぃくんもハルと同じように明るく返すと思ってたんだけどなあ。意外な一面を見た。何分経っただろうか。じーっと見ていることに疲れてきた。…てか、さ、なんなのほんとこんなにも集まるものなの?人に迷惑がかかるほどの女子たちの集まり。そりゃさ、みんなかっこいいよ。かっこいいと思うけど……。そこで溜め息ひとつ。もう、バカらしくなってきた。この人だかりが消え去るのを待つのに。もう一人で満喫してやる。


 こうして、この場から離れた。もうさ、せっかくみんなで来た意味がないじゃん。なんなの? あの女子たちは。こちらの用事も考えずに。人がたくさんいてスムーズに歩ける隙間などあまりないが、少しのイラつきで早歩きになってしまう。だってあたしがせっかく誘ったのに。こんなことになるなら誘わなかっ……あ……


 誰かの肩にぶつかり視界がぐらついた。なにも考える暇などなくそのままバタッと地べたに転ぶ。いた……地面に手をつけ、顔面は強打せずにすんだ。けど、痛い…。地面に打った足と手が痛い。誰なの、肩にぶつかった人…。 でも、そんなことはどうでもいい。あたしも周りを見ずに歩いてたから悪いし。慣れない下駄など履いていたからこんなことになってしまった。それにもうその人はいないだろう。知らんふりして屋台を回っているはずだ。そう思った。そう思っていた。


 けど、あたしの視界には明らかに自分に差し伸べられている手が映った。なにかと顔を上げるとそこには


「すみません。大丈夫ですか? 」


 一瞬、自分の息が止まるのがわかった。だってそこには……。頭によぎった人がいた。けれどいや、勘違いかもしれない。そう思うことにした。その人の顔をじっと見ていて、差し伸べられているままの手。その手を自然にとった。違う、自然にとれた。この人がそうさせているんだと思う。


「ごめんね、ほんと」


 謝る彼をじっと見る。知らずに見てしまう。だって、あたしの知っている人にそっくりなんだもん……。けれど相手はあたしを知らなみたいだから勘違いと思ったままにすることにした。それから心配する彼に大丈夫だと言うと安心したようにした。そしてそこで別れた。今はまだその場所に立ちつくしている。さっきの彼と会ったところに。あの人……頭の中で脳を働かせる。あの人のことを知っている自分がいて、だけど知らない自分もいる。なに…この複雑なもの…


「あ、お前こんなとこにいたのかよ。探したぞ 」


 恭弥の声が聞こえた気がする。それからみんなのところに連れ出されてそして大きな音が響いていた。たぶんそれは花火だ。なにもかもがぼやけて聞こえていて。ただ、打ち上げられる花火を見ていた。

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