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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
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キス*チュードク2 1-4

 それから一ヶ月が経ち。


「あれ? りぃくん いない」


 生徒会室に来たはいいが立夏くんこと、りぃくんの姿がなかった。

 いつもいるのに…。

 少しの落ち込み。


「なに? その人に なにかよう? 」


 ただ一人、ここにいたのが雲雀くんだ。やはり両手で本を支えながらにこちらを見た。


「ん~…ようってほどのようじゃないけど…」


 ドアを閉めながらに言った。

 頭なでなでしたいし、されたいしキスも…ね。

 ソファへと歩き出そうとしたところ後ろのドアが開く気配がした。りぃくんかなと期待しながら振り向くと


「お前、なにドアの前にいるんだ? 」


 あたしの探していた人ではなかった。


「なんだ、恭弥か… 」


 いかにも残念そうに言うと恭弥は顔をしかめながら


「なんだよ? 俺じゃ悪いかよ」

「 悪い 」

「はあ? 」


 つい思ったことが口をすべらした。

 恐い顔をしている恭弥だけど、もう慣れた。慣れなきゃ やっていけないって。

 というより、恭弥はいつもそういう顔してるから。なんて言ったら恭弥怒るんだろうなあ……じゃなくて。


「りぃくん 知らない? 」

「りぃくん? …ああ、立夏か。しらね」


 恭弥も知らないか…。

 まあ、知っていたらおかしいか。

 他にどこか行きそうな場所は…保健室?


「あたし、ちょっと保健室行ってくる 」


 急ぐようにこの場から出て行った。




 保健室に来た。

 けどそこには誰もいない。

 ……屋上?

 そう思い行ってみたけど誰もいなく。

 図書室

 いない。

 教室?

 そんなわけないかと思いながらも、これで最後にしようと行ってみることにした。


 教室のまえに来た。

 ガララッと少し静かめに開けるとそこには求めていたりぃくんの姿があった。

 けれどりぃくんは、窓のほうに顔を向けて机に突っ伏している。

 どうしたんだろう…と思いながらに近づいて


「 りぃくん 」


 名前を呼んだが応答なし。


「 りぃくん? 」


 顔を覗くようにして見るとりぃくんの かわいい顔が更にかわいくなることをしていた。寝てる…。

 それはただ寝ているだけのことだがこの無防備な姿になぜかキュン。ずっと見てたいなあ…なんて思いながら、りぃくんの前にあるイスに座った。

 そして、りぃくんが突っ伏している机にひじをおき頬杖をついてずっと見ていられる態勢をとった。

 りぃくんは規則正しい呼吸と共に肩が小さく上下している。つまりかわいいということ。かわいいって言うとりぃくんは怒るようになった。

 怒られても、りぃくんがかわいいことには変わりないんだから仕方ない。

 ほんとうにかわいい…。寝ているりぃくんの頭に手を伸ばす。髪の毛を触ると触り心地がいい。一本一本が絹のようですくい取るようにすると、サラサラと綺麗に手元からおちていく。

 そんな小さな行動を繰り返していた。


「 先輩…… 」


 起きちゃったか。

 髪の毛を触っていた手を 仕方なくとめる。だが


「 …りぃくん? 」

「 …… 」


 そのまま動かないりぃくんを不思議に思い、名前を呼ぶがさっきと同様 応答なし。


「 りぃくん 」

「 …… 」


 もう一度呼んでみたがやはり応答なし。

 これはもしかして…と思い近づいてりぃくんの顔をよく見ると寝ていた。目を閉じているりぃくん。

 なんだ、そっかと応答なしの理由がわかった。

 ん? ちょっとまってじゃあ、さっきのは寝言?先輩って、誰だろう…。

 などと考えてみたがそんな自分に笑ってしまった。

 だって りぃくんからしてはみんなが先輩だからね。少しだけ 自分かな? なんて思ってしまった。

 そういえば りぃくんに名前で呼ばれたことない。りぃくんは他のみんなのことも『先輩』としか呼んでいない。なんでだろう…なんか あるのかな。

 その理由がわかるわけでもなくただ ぼーっと 寝ているりぃくんを見続けた。


「 ……ん… 」


 今度こそはちゃんと起きたようだ。

 むくっと体が動いて頭が少し上に浮いた。

 たぶん目を開けて最初に視界に映るのは窓越しに見える空だろう。そしてゆっくり周りを見渡そうとしていたりぃくんが気づいたようだ。あたしの存在に。


「あれ? 先輩…? 」


 驚いているような表情。

 まだ眠そうなのに一瞬、目を見開いていた。

 そのあとはここにあたしがいる理由を話し。かわいかったよなんて言ったらやはり少し不機嫌になった。けれどそれより気になることがあるんだが…


  「りぃくん。誰の夢、 みてたの? 」


  さっき言葉にしていた『先輩』のこと。 寝ているにも関わらず 口にしていた人。 そのことを聞くと 一瞬、固まる りぃくん。 その姿を見て 少しの不安。 これって…聞いちゃいけないこと…? 心の中で疑問に思うも、 表情を変えずにりぃくんの答えを 待っているという雰囲気をだす。 そんなあたしのに りぃくんは息を吸うように軽く 肩を上下にすると


「…もしかして僕、 口にしてた? 」


  少し複雑そうに 恥ずかしそうに微笑んだ。


「ねえ、誰の夢? 」


  そんなりぃくんに 問い詰めるように聞く。 じーっと見てると、気まずそうに口を 開こうとするりぃくん。 頭を手でおさえながら


「……先輩の夢 」


  と…だけど、 答えになっていない。 りぃくんにとっての先輩なんて いっぱいいるし いまのりぃくんは ここの学校生徒、大半を『先輩』と呼んでいると思う。 あたしを 名前で呼ばないりぃくん。 同い年の人のことは なんて呼んでいるんだろう…。


「先輩って、誰? 」


  他のことに気がいきつつも 誰なのかと問い詰める。 するとなにを思ってか なぜかあたしをじっと見る。 その目からは なにを考えているのかわからない。


「先輩… 」


  そう つぶやいて


「それって…わざと聞いてる? 」


  困ったような笑みをする。 だけど


「…? 」


  なんのことかわからない。


「 先輩 」

「 なに? 」

「 先輩 」

「…なに? 」


  なんなんだ…。 いきなり呼んできたと思ったら 連呼して。 今日の りぃくん、よくわからない。 次の言葉を待っていると なにも言葉を発してこない。 りぃくんをじっと見るが、 りぃくんもあたしをじっと見ていて… ただ見つめあっている状況。 そんな状況を絶とうと 口を開こうとした。


「 っ…… 」


  した……けど


「 ……… 」


  なにも声がでない。 だって急にこんな状態になって 頭がついていかない。 ただ呼吸だけをする。 りぃくんもこんな状態になった あたしに驚いているのか 声をかけてこない。


「…先輩、大丈夫? 」


  そこでやっと声がかかり、 りぃくんがイスから立ち上がって あたしの横に来たのがわかった。


「ごめん、僕のせいでこんなことに…。 大丈夫? どこか痛くない? 」


  心配そうに聞いてくるのがわかる。 そこでやっと落ち着いてきた。


「大丈夫だよ? なんかびっくりしたけど 」


  ただびっくりしただけ。 笑顔で返してりぃくんの顔を見ると まだ心配そう。 自分がいけないと思っているんだろう。


「りぃくん、ほんとに大丈夫だよ」


  そんなりぃくんを安心させようと 言葉を発したが、まだ 納得のいっていない様子。 これ以上言ってもだめだなと 思い、こうなった成り行きを 確認しようと後ろを見た。 ああ…なるほど。 そこで理解した。 あたしの目に映ったのは 前に倒れている机。 背中に激痛がはしったのは 勢いよく後ろにさがって その机がぶつかったからだとわかった。


「先輩…」


 倒れている机を見ていると りぃくんが呼んできた。 振り向いて見てみると、 やっぱりその表情は落ち込んで いるように見える。 両膝を床につけて あたしと同じ目線で。 もう…なんでかな… こんなことでそこまで 心配されると…


「りぃくん、かわいっ 」


  かわいすぎじゃないか。


「えっ? 」


  おもいっきり抱きついた。 りぃくんは間の抜けた声をだしながらも、勢いよく抱きついたあたしを 両手で支えてくれた。


「りぃくん、心配しすぎだぞ 」


  抱きついたまま顔だけを あげてりぃくんを見て言った。


「そうかな? 」

「そう」


  すぐに答えると、 心配そうな表情をしていたりぃくんは 微笑んだ。 それから少しりぃくんの 顔を見ていると


「 先輩… 」


  熱を帯びた瞳で つぶやかれる。 りぃくんの手があたしの頬に 触れる。


「先輩。僕の夢に出てきたのは 先輩だよ 」


  だからその先輩が………って…


「もしかして、あたしのこと? …じゃないよね 」


  視線を横に外した。 だってそれが間違ってたら あたし、自惚れていることになるし。 それに…


「先輩って、意外と鈍感だよね」

「 … 」


  あたしが…鈍感?


「鈍感じゃないよ」


  自分のことそう思ったことなんて 一度もない。 なのにりぃくんは。


「鈍感だよ。 僕の夢の中にでた人が先輩だって 言ってるのに、わかってないんだもん」


  先輩、先輩、先輩って…


「だから、その『先輩』が わからないの! 」


  年下にバカにされてるし。 なぜか腹が立って間近で叫ぶと 抱きついているのがバカバカしくなり、 立ち上がって離れようとした。 けど


「先輩。離れないでよ」


  手首を掴まれた。


「 … 」


  だからその場に座るしかなくなった。 下を向いていてりぃくんの顔は 見えないけど、 たぶん満足げに笑っていると思う。


「 先輩 」


  ……なんか『先輩』って言われるのが 嫌になってきた。


「りぃくん…。 もう、さ、名前で呼んでくれないかな?」

「 名前……? 」


  不思議そうな顔をする。 が、なんとしてでも呼ばせたい。


『 “ 咲夜 ” って、 呼んでよ 』

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