8-3
「自分でもおかしいなってわかってる。でも、とめらんないんだよね」
あたしの肩に、シュウ先輩の腕がまわる。
「シュウ先ぱっ… 」
顔が近づいてきたと思ったときにはもう遅い。
キスされて、されて、息が苦しくなる。
抵抗しようとまずは片手でシュウ先輩の胸板を
おそうとするが、肩からするりとおりてきた手がまるで 『抵抗するな 』というかのように握られてまた元通りの場所に戻される。
もう片方の手でも試してみたがそれは意味ないものへとかわった。
身動きがとれずにただ、シュウ先輩が飽きてくれるのを待つ。
その間にも苦しくて抵抗してるが、それは抵抗というものにならず。
シュウ先輩の綺麗な顔。
握られている手から伝わる熱。
近すぎる距離。
なにもかもがあたしの鼓動を速くする。
「 …ん……… 」
やっと長いキスから解放されて息を荒くする。
こんなに長いものは初めてで呼吸の乱れをどう整えるのかわからない。
そんなあたしに対してシュウ先輩は息一つ乱していない。
こいうことに慣れているんじゃないかと勘違いする。
やっと息が整ってきた。
「シュウ先輩…どうして… 」
どうしてこんなことするんですか?
そう聞こうとしけど最後まで言葉がでない。
「 俺、咲夜にハマったみたい 」
真顔で言うシュウ先輩。
そこで気づいた。
気づくには遅かったのかもしれない。
いや、いま気づくべきではなかったかもしれない。
シュウ先輩の顔に眼鏡がないことを。
「シュウ先輩、眼鏡は…? 」
やっぱりいま聞くべきではなかったみたい。
シュウ先輩、驚いている。
だけど、その表情はすぐになくなり微かに笑った。
「まえに君が『キスするときに眼鏡って邪魔じゃないですか? 』なんて聞いてきたことがあったから、取ったんだ」
そう言って外した眼鏡を見せてくれた。
………いつのまに。
本当にいつのまに外したのかわからなかった。
そんなことまで覚えているなんて
「シュウ先輩。ほんとうにあたしにハマったんですね」
からかうように笑いながらに言った。
シュウ先輩は頷き
「もっと早くにハマっていればなって、少しの後悔 」
「少しだけですか」
少しだけとは、少し落ち込む。
「うん、少し。咲夜に会えなくなったらすごく後悔すると思う」
「会えなくなるなんてないですよ。雲雀くんに頼んで家にお邪魔しますから」
まあ、雲雀くんがそんなお願い聞いてくれるかわからないけど。
「あ、そうだ。メアドとか交換しません? 」
葵先輩たちとは交換してたけどシュウ先輩とはしてなかった。
あと雲雀くんとも。
「別にいいよ。だけど一つ条件がある」
眼鏡をかけなおしながらに言ってくる。
「…? なんですか? 」
「一週間以上なにも送ってこなかったら メアド、変えるから」
真顔で言われる。
ここは笑って言われたほうが軽い気持ちでいられるんだけど。
どうやら本気のようだ。
「わかりました」
「あと…」
「まだあるんですか? 」
一つだけって言ったのに…。
「電話してくるなら一人のときにしてね。妬くから」
シュウ先輩って、妬くことなんてあるんだと思いながらに、はい、と返事をした。
自分の家についてさっそシュウ先輩にメールを送った。
『ご卒業おめでとうございます』
という堅苦しい文と
『次、会うときは三年生になったらにしましょう』
勝手に決めた文。
なぜ三年生かというと、なんとなくだ。
すぐ会うのはもったいない気がする。
シュウ先輩には悪いけど他にもシュウ先輩みたいな人たちがいるから。
あたしにハマっている人たちが……。
もちろん、ハルとか恭弥とかじゃない。
ましてや雲雀くんなんて一番ありえない。
ずっとまえからの…なんていうのかな?
キスフレンドってやつ。
その人たちがいるからシュウ先輩が特別ってわけでもないんだ。
次 入ってくる新メンバーがどんな人か楽しみ。
メンバーって言っても一人だろうけど。
みんな自分のことを『俺』と言う俺っ子だから、僕っ子がいいなあ。
生徒会の一人ぐらいは『僕ね』とか言う、かわいい子がいてもいい気がする。
かわいい子の相手をしたことないけど、背が低かったりしたら…おもしろ。
来年もいい年でありますように。




