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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
17/38

8-2

これが最後の日。


「今日は、新メンバーが入ってきたときの役職を言っておく」


シュウ先輩がソファに座って、これからの生徒会の話をする。

…なんか悲しいな。

シュウ先輩は悲しくないのかな。


「まず、会長は葵だ」

「はーい。俺、ちゃんとやるよ。シュウ以上に」

「ああ、よろしくな」


葵先輩が笑って答えると、シュウ先輩も微かに笑って言った。


「副会長は雲雀だ」

「 …… 」

( 雲雀くんなんか言おうよ )


じっと見て、テレパシーを使う。

いや、使えないが。

この気持ちを伝えたい。


「 …まあ…いままで通りに…」


伝わった。

じっと見ていたら、こっちに気づいて言ってくれた。

シュウ先輩と生徒会メンバーとしていれるのは最後なんだから、これが最後の言葉なんだよ。


「君らは いままで通り」


君らとは、ハルと恭弥のこと。


「俺も、いままで通り…」

「いままで通りって言っても、なにもやることないけどね」


恭弥の言葉に笑いながら、本当のことを付け足したハル。


「で、最後は… 」


視線がどこかにむく。


「朝比奈は、会計」


視線はあたしでとまった。

シュウ先輩はいつも通りの表情をしているけど、なんか寂しい。


「 … 」


なにか言わなきゃいけないのに黙ってしまう。

さっき雲雀くんになにか言えテレパシー送っていたくせに、自分がだめじゃん…。


「その人に会計なんてできないと思うな」


ぱっと顔をあげると、雲雀くんにじっと見られていたことに気づいた。

これって、助けてくれてる?

あたしも じっと見ると雲雀くんの口が動いた。


《 な ん か い え 》


口パクであのときの恭弥と同じことを言われた。

そっか、これで反抗してそれからは 普通に喋れば良いのか。


「そんなことないもん。ちゃんとできるよ、会計なんて」


それから…


「シュウ先輩。あたしはちゃんとできますから、安心してくださいね」


できるだけの笑顔で言った。

するとシュウ先輩も微かに笑顔をむけてくれる。

泣きそうになる。

なんか…これじゃあ、あたしって寂しがりやみたい…。




「なんで…? 」


あたしのまえにはテーブルの上に並ばれた数々の食べ物。

あのとき、反対されたのに。

なにも聞いていないよ。


「咲夜ちゃんが帰ってからみんなで話し合ったんだ。そしたら雲雀の家のつかえ? みたいなのが準備できるとか言ってたからさ」


だからこのウエートレスみたいな人たちが運んで来ているのか……

って、雲雀くんとシュウ先輩

何者?


それからはいろんなものを食べて。

喋って。

ケーキも食べて。

クラッカー 鳴らしてみて。


楽しいもののはずなのに、これはみんなで計画したものだから、あたしはなにもできていないから仲間はずれの気分だった。




みんながいなくなってもあたしはここにいる。

だって…寂しいんだもん。

こんな気持ちにさせている人もここにいる。


「シュウ先輩…」

「なに? 」


となりにいるシュウ先輩の腕をギュッと抱きしめる。

本当にいなくなっちゃうんだ。


「シュウ先輩の欲しいものとかありますか? 」

「どうしたの? 急に 」


脈絡がない話に、やはり不思議そうになるシュウ先輩。


「だって、今日。シュウ先輩になにもできなかったんですもん。みんなは黙ってあんな計画してて、あたしは…」


なにもやってない。

欲しいものはシュウ先輩に聞けばいいものかと思っていたけど、ちゃんと自分で考えたものを送ったほうがいいのかと今日、考え直した。


考え直したなんて、今更遅いけど。

やっぱりなにかしたい。


「 じゃあ…君からのキス 」

「…冗談ですよね」


まえにも冗談を言われてるからわかってる。

シュウ先輩からキスしようとかなんて言ってこないことを知っている。

シュウ先輩は、ただあたしを有効に使おうとするだけしてくれる。


だから、さ、信じないよ。

信じないけど、キスはする。


「朝比奈。冗談じゃないから」

「 ……だったら、名前で呼んでくださいよ」


冗談でも冗談でなくてもいいから、一度は名前で呼ばれたい。

するとシュウ先輩の顔が近づいてきて


「 咲夜 」


耳元で囁かれて体が、びくっと震える。

そんなあたしの反応を楽しむかのようにクスッと笑ってから


「 咲夜。 キス、して 」


甘えるような声。

耳にかかる熱い吐息。

耳が弱いあたしは もうだめだ。


手に力をぎゅっといれる。

少しだけ力がはいらないのは耳元に受けたダメージのせい。


「…ずるいです。葵先輩は、ずるいです」


そんなこと言われたらしたくなる。

でも冗談だってわかってる。

どうせしようとしたら止めるに決まってる。

けど、顔を近づける。


あたしの耳元にあったシュウ先輩の顔は近くにあって。

すぐにとめられ…


「シュウ先輩…? 」


とめられたりしなかった。

驚きで、触れた唇をすぐに離して先輩を見る。

あたしからしようとすると、いつもとめられていたのに。


「もう終わり? 」


じっと見つめる瞳。


「シュウ先輩…。なんかおかしいですよ… 」


シュウ先輩はこんなんじゃなかった。

こんなに求めてきたりしなかった。

いつもはあたしが求めて、シュウ先輩が

仕方なくするみたいな感じで…。

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