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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
14/38

7-1

 保健室にいるあたし。

 あともう一人、ここに休みにきているものがいる。


「恭弥のせいでこれまでの間、キスできませんでした」


 ベッドに座って恭弥をまっすぐ見る。


「…なにが言いたい?


 向かいのベッドで寝ている恭弥は、顔だけを向け怪訝そうに見た。


「だからキスして」

「やだ」

「なんで? 」

「お前となんてできるか」


 布団をかぶりなおして本格的に寝ようとしている。

 好きなやつとしかキスできないってやつか。

 ハルといい恭弥といい、なんて意味のないものを貫き通そうとするのか。


「 恭弥 」


 ベッドに手をつけて、恭弥の耳元で呼ぶ。


「ちょ、お前、耳元で呼ぶな」

「だって普通に呼んでも無視するだろうし」


 恭弥を上から見ている態勢だ。

 なんかいいかも。

 まるであたしの手元にいるみたいな感覚。


「恭弥って、好きな人いるの? 」

「は? 」

「だってまえに『キスは好きなやつとするもんだろ』なんて言ってたんだから、いるんだよね? 」


 差も当然かのように言う。

 だってあんなこと言っといて、好きな人がいないなんて言ったら…、なんなんだよ、としか思わない。

 恭弥、難しい顔してるけどまさか…ね。


「 いない 」

「な、なんですと? 」

「だから いない」


 それであんなお説教みたいのをして、そしてあたしに悪影響をおよばせてそれでいないって…。


「はあー」


 溜め息しかでない。

 恭弥から離れて、もといたベッドに力をあずけるように座った。


「なんだよ? 」

 

 恭弥はベッドからむくっと起き上がると、あたしに聞いてくる。


「なんでも」


 不思議そうな顔をしている恭弥。

 だけどあたしは答えない。


「 もしかして好きなやつがいてほしかったとか? 」

「うん」


 そう答えると恭弥は、頭をかくようにして、はあ…と溜め息を吐いて


「…まえはいた」


 小さく呟いた。

 それは聞きとれるか とれないぐらいの声で。


「なんて言った? 」

「だから、好きなやつ、まえはいた」

「へえー」


 興味心身な反応をすると、恭弥は気恥ずかしそうに下をむく。

 それがわかるとやっぱり相手が気になるわけで…


「その好きな人って、誰? 」

「 ………… 」

「恭弥? 」


 下を向いて黙ってしまった。


「恭弥ー? 」


 恭弥のいるベッドの上にのって、顔を覗いた。

 すると、恭弥の瞳がゆれた。


「なんだよ…」

「なんだよじゃないよ。恭弥の好きな人は誰?って聞いたんだけど」


 また、考え込むように黙ってしまう。

 だけど言わなければいけないこの空気に 決心した様子。


「朝比奈…咲夜…」

「なに? 」


 フルネームで呼ばれ、少し不思議に思いながらも答えた。

 だけど、あたしの返しに不満だったのか顔をしかめる。


「ちげーよ。好き‘だった’やつはお前」


 顔の近くで指を差されて、より目になってしまう。

 そういえば名前なんて呼ばれたのは初めてだな。

 …いや、ちょっとまって


「あたしなの? なんで?だったらキス…」

「だから、好き‘だった’やつって言ってんだろ」


 最後まで言わずにあたしの言おうとしたことがわかったのか、途中でとめられてしまった。

 好きなやつにはキスするけど、好き‘だった’やつは例外だと…。


 そんなのおかしいよ。

 おかしいでしょ。


「それって、同じことじゃん」

「同じじゃない」

「 … 」


 真面目な顔で、真っ直ぐ見るような瞳で、真面目に言っているという声質で…そんなこと言われたらなにも言えることがないじゃないか。

 いじけるように顔を下に向ける。


 そんなあたしを見た恭弥が、頭上で軽く笑った気がした。

 だから顔をあげて抗議しようとした。

 したけど…


「なに? キスするか? 」


 ニヤッとした恭弥の顔が至近距離にあった。

 なにかをたくらんでいるような表情。

 だけど、あたしの答えは…


「 冗談だよ 」

「ちょっ、いま答えようと思ってたのに」


 ぷっ…と、笑われて顔が離れていく。

 肯定しようと思っていたのに…。

 なんで、こうやって冗談 言うかな。

 それと、バラすのは相手が答えたあとでしょ。 普通。


「もーいいもん」

「はっ、ちょ…」


 からかわれたことに少し腹が立って、顔を勢いよく近づけた。

 恭弥はよける術もなく、ただあたしにキスされる。

 だけどすぐに離されて。


「お前…」


 唇を拭うようにしながら、あのときと同ようにすごい恐いオーラを放たれながらに睨まれてる…。

 けど、ここで恐がったとしてもただ恭弥がつけあがるだけ。


 どうせまた胸ぐらを掴まれるだけだろうし、いくら恭弥だからといって女子には手をださないと思うから…大丈夫だろう。


「恭弥が わ…悪いんだよ…?だから…あたしは、キスしただけ…で、あって……」


 大丈夫ではなかった。


 じーっと睨まれながらに顔が近づけられて、逆にあたしは顔を離しながら恐い顔をしている恭弥に言った。


 だけど離しているとこで距離はかわらない。

 だって恭弥がそのぶん近づいてくるから。


「な、なに? 」


 ついにあたしは恐くなって話しかける。

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