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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
12/38

6-2

 文化祭当日。


『早く行ってこいよ』


 喫茶店での休憩中、恭弥に言われた。

 やだと何度も言ってるのにあたしの性格をしってか、挑発的な言葉を言ってきた。


『苦手じゃないならいいじゃん。それとも、まえに言ったことがうそだったとか? 』


 そういうことで現在、お化け屋敷のまえにいる。

 ぼうぜんと立ち尽くしている。


「 ……… 」


 ほんとうに入らなくてはいけないのか?

 この以下にも怖いこんな場所に。


「そこの人、入るのか入らないのかはっきりしてくれない? 」


 ええ、入りますとも。

 入らなくてはいけないんですよ。

 …って


「雲雀くん! 」


 わざわざうるさい人だなと思った人は、机の席に座っている雲雀くんだった。


「なに? 」

「どうしてここに」

「受付」


 机の上に置いてある紙を持ってるシャーペンで、トントンと差した。


「受付って、必要なの? 」


 お化け屋敷で受付して、なんの意味があるのかわからなかった。


「抽選で、この中の誰かの人になにかがあたるって言ってた」

「なにかって、なに? 」

「知らない」


 やっている本人が知らないって、そんなこといいのか。


 まあいいや、早く終わらせよう。

 雲雀くんの席の前まで行くと、シャーペンが渡されて紙の項目欄に名前、学年を書く。


「ほんとうに入るんだ」


 書いていると後ろから見覚えのある声がして、ふりかえってみると葵先輩だった。

 葵先輩は黒い服、いわゆるタキシードを着ていた。

 うん、似合ってる。

 葵先輩のところのホストクラブ、なんか女子たちがうるさそう…。


「大丈夫なの? 」

「大丈夫…ですよ…」


 はは…と笑ってごまかす。


「なんなら俺も一緒に入ってあげようか? 」

「いいんですか!? 」

「いいけど」


 感激したものの、恭弥にあとでなんて言われるかが想像できてしまった。


 絶対に


『一人で入ったんじゃねーのかよ』


 って、対したことねーなって言われる。


 どうしようかと悩んでいる間に、葵先輩は紙に自分の学年と名前を書いている。

 書き終わるとあたしをみて手を差し出してきた。


「怖いと思うから、ね」

「ありが……」


 その手をとろうとするが途中で止める。

 いけない。

 これじゃあ、あとで恭弥に

『一緒に入ってもらったあげくに手までつないだのかよ。お前、どんだけ怖がりなんだよ』

 なんて言われる。


 …なんか恭弥の言うことがわかってきた。


「全然 怖くないから大丈夫です。さっ、入りましょ」


 先頭を切って入っていった。

 笑顔で言っていたつもりだけど引きつっていたかもなあ。


 覗いてみると中は真っ暗なもので、不気味な空気を漂わせている。


「 … 」

「入らないの? 」

「は、入りますよ」


 なんでこんなに強がってしまうのかと、自分に問い詰めたい。

 だめだ…怖いものが苦手なあたしがお化け屋敷なんて…。


「 っ… 」


 もう序盤でこんな、こんな…


「咲夜ちゃん。やっぱり怖いんだね」

「こっ…怖くないです」


 葵先輩をみて否定すると、思わぬほど近いところに顔があった。


「 …… 」


 この状況を確認すると、あたしが葵先輩の腕に絡みつくように密着していた。

 だから少し安心していたんだと納得。


 離そうとすると「このままでいいよ」とあたしが絡みついていない腕の手で止められた。


 それからは髪の長い女がでたり、得体のしれないものがでたりと…生徒が作ったものなのに意外と怖かった。


「 はあ… 」


 出口にたどり着いて溜め息を吐く。


「怖かったね」

「そうですね」

「あれ? 認めるんだね」


 ここまできて、強がりはもうしたくない。

 恭弥の前だけで強がればいいや。


「雲雀くん…なんであんなに怖くできちゃってるの? 」


 雲雀くんの座っている席まで行き、机の上につっぷすようにして見る。


「だいたいがオレの案だ」

「そうなんだ。…雲雀くんが珍しいこと」


 珍しいことはあまりしないほうが自分にもいいし、周りの人にもいいんだよ。

 雲雀くんのことだからそういう系の本を見て、いろいろ追求したんだろうなあ。


「後ろ見て」


 雲雀くんに言われてなんとなく後ろを見た。

 見た…


「 …は…… 」


 そこにはさっきの髪の長い女がいた。

 その女はこちらに歩いてきて、あたしは無意識にその女の人をみて後ずさる。

 だって、なんかあたしのほうに向かってきている気がするから。


 もっと早く後ずさると、あろうことかあたしに向かって走ってきた。

 あたしは反射的に叫んでその場から逃げ出す。

 叫びながらに耳を抑えて猛ダッシュで廊下を走った。

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