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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
11/38

6-1

 朝。

 今日はなんとなく屋上に来た。

 初めての屋上の景色は最悪なものだった。


「葵~今度はわたし」

「はいはい」

「葵、こっち」

「わかってるよ」


 男一人と女二人。

 男子はフェンスに寄りかかって、女子二人と絡みつくようにキスをしている。

 こんなことをする人がいるなんて思ってなかった。


 普通の人から見たらあたしも異常だと思うけど、この光景のほうが異常だ。

 屋上なんて来なければ良かった。

 そしたらこんな光景を見なくてすんだのに。


 なにも思わずに、じーっと見てると男子と目があってしまった。


「 … 」


 けっこう気まずいぞ。

 こんなところ見られたくなかっただろうし、見てはいけないものを見てしまった感じだ。

 男子が女子にキスをする行動を止めて、まだあたしを見ている。


 そんな男子に、女子は不満そうに男子のことを見上げている。

 たぶん、上目遣いで、だ。


 これ以上ここにいたら邪魔になるから、屋上をあとにして別の場所に向かうことにした。




 やっぱり、あたしの居場所は保険室。

 ベッドに座ってただ、ぼけーっとしている。

 今日は誰も来ない。

 

 このごろあたしはおかしいようだ。

 あの恐い人に言われた言葉のせいでほんと、だめだ。

 キスしたいはずなのに、したくないというか…あとに罪悪感が残る。


 だけど、シュウ先輩にされたときは罪悪感がなかった。

 なんでだろ。


 なんかおかしいよ。

 だんだんあたしが…


 そこでガラッと保険室のドアが開いた。


 現れたのはさっき屋上にいた男子だ。


「葵先輩。なにしに来たんですか? 」

「咲夜ちゃんに会いにきた」


 あたしの座っているベッドまで来て、普通にとなりに座る。

 来られたのは良いけど。

 なにか話をするってわけでもないのか。


「葵先輩って、他の人にもあんなことしてるんですね」


 沈黙なのも嫌だからと思い、聞いたことだが

 嫌味に聞こえるようなものを言ってしまった。


「咲夜ちゃんもそうでしょ? 」


 これは仕返し?


「まあ、人それぞれですね。同じことをしているあたしはどうこう言えないです」


 ほんとうは今、困り中なんだけど。

 キス…ってなんなんだろうって思ってしまっている。

 あの恐い人が原因だけど、吉田くんに

 説教されたのも原因かも。


「来てくれたところ悪いんですけど、もう教室に戻りますね」


 これ以上、なにも考えたくない。


 みんなが生徒会室に集まるようになってきたごろ、文化祭がはじまろうとしていた。

 もう、決まった出し物の話をしている。


 同じクラスのあたしと恭弥とハルは、喫茶店をやることになってる。

 シュウ先輩のとこは演劇。

 葵先輩のとこはホストクラブらしい。


 あとは読書中の雲雀くんだけだ。

 みんなの視線が集まる。


 その視線に気づき、めんどくさそうに口を開く。

 ただ一言。


「おれのとこはお化け屋敷」


 あたしの苦手なものを言った。


「お化け屋敷か…。咲夜ちゃん、一緒に行かない? 」


 ハルに聞かれるが、それは嫌だ。

 ハルと行くのが嫌なわけじゃないけど、お化け屋敷が…ね。


「あたしは…行かない。自分のクラスのことがあるし」


 ただの言い訳。

 ハルは残念そうに諦めた。


 ハルをハルと呼ぶようになったのは


『吉田くんじゃなくて、陽斗でいいよ。てか、ハルでいいよ』


 と言われてからだ。

 あたしが小さい頃は、そう呼んでいたらしい。


「つーか、苦手なだけじゃん? 」


 この恐い人を恭弥と呼ぶようになったのは『ちゃんと名前で呼べ』と…いわゆる強制で。

 それよりばれてる。


「苦手じゃないし」

「そう言うなら入って来いよ、一人で」

「いやだよ」


 このなにかを企んでいるような笑み、見透かされているんじゃないかと思ってしまう。

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