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Kiss*チュードク  作者: MIA
Kiss*チュードク
10/38

5-2

「で、なんだ俺たちまでがこんなことしなきゃなんねーんだ」


 恐い顔を、一層に恐くした恐い人。


「いいでしょ。恐い人には酷いことをいっぱい

 言われたから、これで許してあげる」


 恐い人の顔は、なにかイラつきと複雑そうな表情がまじっているようだ。


「よかったね。恭弥」


 その隣で見ていた吉田くんが、言ってきた。

 すると「ああ゛」と、不機嫌まるだしな恐い人が。

 ガッポーズをとっていたところにこの2人が来て、すごく丁度よかった。


 まさに運命。


 あとは主役の雲雀くんが集まれば…。




 そして、雲雀くんが来てからすぐ“遊び”をはじめるため、外にでる。

 雲雀くんは、あたしたちの行動に全く理解できないまま外に連れ出された。

 最初は、まず無難に鬼ごっこをして次はこおり鬼をすることになった。


 そこで一つ、あたしに考えがある。

 あたしが鬼となって、雲雀くんを捕まえて氷らせる。

 そこで、捕まっていないシュウ先輩が雲雀くんを助ける。


 …と、まあ地味なものだけど

 小さなことからコツコツとやっていけば、問題なし…と聞いたことがある。

 あたしの作戦はこれで終了。

 早く少しでもシュウ先輩と雲雀くんの仲が良くなればいいな。


「ちょ……はあ、待ってよ…」


 あたしの作戦はすぐに崩れた。

 だって全然 捕まえられないんだもん!


「鬼ごっこ等をやってる中、待ってて言われて待つ人なんて、いると思う? 」


 雲雀くんは、余裕な表情であたしから距離をとっている。

 あたしは作戦通り鬼になった。

 そこまではいいけど、まさか雲雀くんがこんなに速いとは思ってもみなかった。


 だっていつも読書しかしてないから、てっきりこういうものは苦手だと思ってた。

 …けど、違うんだね。


「もう…いい加減に捕まってよ」

「 やだ 」


 まるで駄々をこねる子供のようだ。


「なんで おればかり狙うの? 」


 その言葉にぎくっと体を固める。

 えー…っと…とごまかすように言ってから、思いついたことを言う。


「雲雀くんを捕まえたい、から? 」

「バカみたい」


 うん、わかってる。

 無理な言い訳だった。

 そのバカという発言も、違う意味でぐさっと突き刺さった。

 もう、開き直ってやる。


「いいから捕まってっ…と」


 捕まえようとしても、ぱっとよけられた。


「よけないでよ! 」

「だからこの遊びはこういう遊びだから」


 いつもより いきいきとした表情の雲雀くん。

 でも今はそんなことに気にしてられない。

 だって…


「あたしの作戦が…」

「作戦? 」


 自分でも知らないうちに口にでていた。

 不思議そうに見られてるし…。


「なんでもない」




 生徒会室。

 みんなが帰ったと思われる中。

 ソファに座り、はあー、と肺から二酸化炭素を一気に出す。


 もう疲れた…

 だめだ…。女子が男子とかけっこの遊びで同等なわけがない。

 こおり鬼の次は、かげ鬼をやって…もう疲れた。


 でも、シュウ先輩と雲雀くんの、影を踏みあっているところをみたときどっちも楽しそうだった。

 まあ…よかった、かな。


 あと、あたしが思っちゃいけないことだけどよくみんなこんな幼稚の遊びをやったな。

 最初は抵抗していたみんな。

 だけど、説得するように言ったら仕方なくやり始めて。

 やってるときはみんな楽しそうだった。


 今日はよく眠れそう…。




 どこかで意識が途切れた気がする。

 暗闇の中から薄く光が見える。

 その光は意識が戻るとともに、鮮明になって、景色が見えて…


 よく眠れ……た?

 え!?

 寝てた、の…?


 意識を完全に取り戻すと、いまの状況はどういうことかわかるために、頭を左右にふる。

 すると、なにかが目にとまった。

 よく見ると、それは…

 “なにか”ではなく“だれか”だった。


 視線が合った相手は…


「シュウ 先輩…」


 シュウ先輩だった。

 ソファに座ってこちらを見ているシュウ先輩。

 その表情は優しいものだった。


「寝ちゃってたんだね」


 自分の行動に恥ずかしくなる。

 だから他の話題はないかと探すが、それより先に気になったことが…いや、気にならなきゃおかしいことが。


「シュウ先輩は、どうしてここに? 」


 そう言うと、シュウ先輩は眼鏡のふちを直すしぐさをしてソファから立ち上がる。


「忘れもの、したから」


 ニコッと微笑んだと思ったら、あたしのほうに歩いてくる。


「忘れ物? 」


 目の前に止まったシュウ先輩を、必然的に見上げる形になった。


「そう。忘れもの」


 顔の横に手が通ったと思ったら、もう目の前は…


「 … 」


 シュウ先輩。

 いまの状況…ちゃんと理解した。

 シュウ先輩があたしにキスしてる。

 だけどすぐに離れてしまう。


「 … 」


 シュウ先輩と目が合うと、よくわからなくなってくる。

 なんでシュウ先輩。キスなんて…

 あたし、今はなにも頼まなかったよね。


 そんなふうに悩んでいるのが通じたのか、シュウ先輩が口を開く。


「お礼のキス」


 ただ、一言だけ

 そう言った。

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