透明な矜持
夜に
しんと輝く
月の孤独を
世界を
ただ背負う
太陽の孤独を
あなたは
他人事だと
笑えるか
一言口にする度に
後悔を恐れるなら
一歩前へ出ることを
躊躇うなら
河原に転がる
無数の石の
幾万年
幾億年
摩耗に耐えた
歳月を
突き放せるか
日陰に生えた
育ち切れぬ樫の若木は
いつか日向を夢見たままで
ひょろひょろと
青白く太陽の影を追う
生きているのだろう
それでも
己なりに
光射すほうへ
顔を向けて
大いなる連なりがある
一つ星テントウですら
連なっている
全ての道標に
わたしたちもまた
連なっている
感知し得ない始まりから
想像出来ない終わりの間に
全ては存在する!
全ては晴れを望む
全ての地上に
影なく
光射す
全くの
晴れの日を
己の影を
消してしまうほどの
光の日を
光の先を
信じることは
無邪気ではなく
透明な孤独
時の打ち寄せる波に
ひたすらに耐える
黒い巌は
頑迷だが
崇高であり
荒々しくも
純粋である
たとえ闇にあって
沈黙していても
感じている
この微かな共感は
熱のない月の気配
太陽の拍動
それは
つまり
全ては
求心性として
それぞれの
それぞれなりの
一粒
光を含んでいる
ということ
惹き合う
二つの
光として
このひと時を
共有しているのだ
生物であれ、無生物であれ、全ての自然物は
きっと、光の方を向きたいのだろう。
形あるものであれ、形なきものであれ、
全てこのひと時に存在するものは、
きっと、光を求めているのだろう。
だからこそ、世界は闇を共有する。
闇の中の全ての沈黙には、
微かであれども一つだけは光を含む。
そして、それこそが死と沈黙を分かつものだろう。