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第一最終話 先生は見守っていてください

 罪悪感がどうのこうのと言いつつも、根っこがフリーダムなスケルトンくんを捕まえて鞭で打つ日々。

 後の千年の民ために今の一年の民を殺した大罪人である自分自身への贖罪の旅……で、あったはずがなぜこんなことに?

 まず先生が検索、「寝取られ号」で近づき、我が友T・A・M・S・D<タクティカルアーマードマッスルスーツD型>君の力を借りてスケルトンくんをポイポイとバックに捕まえて楽しい尋問の時間です。

「尋ねよう、ミハイル・ヤロスラヴィチ。これから貴様等はこの塩を塗りこんだ鞭で滅びさるわけだが、選ばせてやる。俺と、彼女、どちらに殺されたい?」

 カッコイイ鎧を着た俺と、赤い髪をして可愛い少女服に身を包んだ麗しの姪っ子の二択だ。

 姪っ子には未だ正式な名は無い。

 とりあえず「メイ」とだけ呼んでいる。

 正式な名は姪っ子に勝てる素敵なご主人様が名を付ける予定だ。

 その前には俺とジークフリート兄様が立ち塞がっているのだが。

 とりあえず、goodfull先生に勝てることが最低条件な。


「さぁ選べ、偉大なる英雄にして大罪人ミハイル・ヤロスラヴィチよ、どちらに滅ぼされたいかを!!」

 スケルトンくんは皆揃って「メイ」を指差しました。

「え~、う~ん、君の亡くなった妻、そして息子達の顔を思い出して、それから選択してほしい。ミハイル・ヤロスラヴィチ、君は優秀なる軍人であったはずだ!! 名誉ある軍人であったはずだ!! さぁ、どちらに滅ぼされたいかを選べっ!!」

 スケルトンくんは皆揃って「メイ」を指差しました。

 お前等さぁ、罪悪感って言葉の意味わかってんの?

 俺が塩の鞭でペシンペシンと叩いていると、ある日メイが「自分もやりたーい♪」と飛び込んできて以来、二択となった。

 そして一人にして俺達全員ソウルメイトなミハイルくん、もう存在しないはずの下半身に忠実に従いメイばかりを指名しやがるのだ。

 あぁ、もうこいつ等から医療サービスによるモルヒネ似の効果を止めてやろうかしら?

 メイが鞭で叩く度に「あひ~~~~~~ん、あひ~~~~~~~ん」という声が響く。

 三万年、そう、三万年の月日を罪悪感と共に生きてきた軍人ミハイルの最後……これくらいの後褒美は……我慢できるかぁぁぁぁぁぁ!!

 お前等! それでも軍人か!! 元妻帯者で息子達も居たんだろ!! 世界のどこかで悲しんでるぞ!!

「あひ~~~~~ん、あひ~~~~~ん、あひ~~~~……?」

 くっくっく、だがしかし、ことがそう上手く行くと思うなよ?

 メイはな、飽きっぽいのだ。

 4~5体も成仏させると塩鞭をポイしてしまうのだ。

「さて諸君……私は君達の友として、戦友として、君達を成仏させるという約束をしてしまったのだよ」

 ぺしーんぺしーんと鞭を鳴らしてミハイルくん達の前へ。

「残念だったねぇ、あの子はもう飽きてしまったようだ。では、仕方が無い。私が続きを受け持とうではないか、くっくっくっく……はーっはっはっはっはっは!!」

 ミハイル君たちの群れが顔を蒼褪める。

 いや、真っ白だけど、雰囲気的に。

 天国を知るためには、まず地獄を知らなければならない。

 地獄を知るためには、まず天国を知らなければならない。

 絶望の前には希望が必要なのさ、ふぇふぇふぇ。

 ふっふっふっふっふ、君に残された男としての矜持、その全てを今から破壊しつくしてやろう!!


 ぺし-ん! ぺし-ん! ぺし-ん! ぺし-ん! ぺし-ん! ぺし-ん! ぺし-ん! ぺし-ん!

「あひ~~ん! あひ~~ん! あひ~~ん! あひ~~ん! あひ~~ん! あひ~~ん! あひ~~ん!」

 はっはっはっはっは、どうだ? 気持ちがいいだろう。

 そして、悔しいだろう? ビクンビクンしても構わんのだぞ?

 ほ~ら、鳴けぇ! 豚のように鳴けぇ! 媚びた豚のように鳴き喚けぇ!!

 お前は豚だぁ!! 肉の無い豚だぁ!!

 鳴けぇ! 喚けぇ! そして逝けぇ!!


 こうして俺が楽しそうにしているとメイも楽しそうに笑います。

 夜中には時折悪夢に飛び起きますが、そんな時はメイがよしよしと撫でてくれます。

 あぁ、家族の愛って良いなぁ。


 旅立ち前にジークフリート兄様からは「光あるところに影はある。月の下になかろうとも余の目から逃れられるとは思うなよ」と、暖かい励ましの言葉を頂きましたっけ。

 愛娘の鞭使いに今頃、感涙の涙を流してるんじゃないですか?

 たまに私の影から鎌っぽいものが出てきて「うなぎバリア」をぬるりん♪となぞっていくのはその証拠でしょう。


 ヴィルヘルム父様ことジジ馬鹿は旅立ちを阻止しようとした結果、メイから「ジジ嫌い!」の痛恨の一言を受け、玉座で白くなっていました。まぁ、玉座に座る仕事は果たしているのですし問題は無いでしょう。


 レオンハルト兄様は、結局、最後まで近寄らせて貰えませんでしたね。



 そんな愉快痛快な旅の途中、珍しく先生から質問を受けました。

『カール様に質問があります』

 はいはい、なんでしょう?

『なぜ、害獣駆除サービスを使わないのですか? 現在のカール様の行動は効率性において非常に悪いものだと思われます』

 なんでもお見通しの先生なら俺の頭の中のことも理解できるのでは?

『いいえ、ユーザー様が見られたくないと思っている情報については検閲がかかり、私は情報を得ることが出来ません。ただ、私のサービスにご不満をお感じなのではないかと推論した結果、ご質問させていただきました』

 あぁ、先生には知られたくないと無意識のうちに思っていたのですか。

 では、お答えしましょう。

 それは「害獣駆除」サービスだからです。

 先生の認識では彼等はただの「人間外の生命」でしかありませんが、私にとっては「人間」です。

 ですから、人間として扱うために「害獣駆除」サービスの利用を避けているのです。

『名称に、不備がありましたか?』

 いえ、私の気分の問題ですよ。

 まぁ、私の前世の記憶にも関わる問題ですが。

『カール様の前世、こちらも検閲によりブロックされております。サービスの十全な提供のためにお尋ねしてもよろしいですか?』

 えぇ、構いませんよ。

 私、前世ではお寺の坊主だったんですよ。

 毎日毎日、檀家の皆さんからお菓子を頂きまして、喜捨を無駄にするわけにもいかず口に運び続けた結果、メタボリックになって若死にしてしまったんですなぁ。

 はっはっは、善意で人死にが出ると言うのも因果なものです。

 ですから、前世の続きとして毎日、死にそびれの生きそびれなミハイルくん達に引導を渡してやっているわけです。

 これも一つの慈悲ですから。功徳功徳。

 殺生が罪だというのなら、私が全部背負いますよ。今更です。

『信仰を正しく理解することは出来ませんが、推論として回答を得られました。カール様は魂魄情報体の健全なる成長を願っておいでなのですね?』

 はい、おいでなのですよ。

 そもそも神をも超える先生が信仰する対象ってなんになるんだ?

『では、魂魄情報体を成長促進させるサービスを……』

 要りません。

 私達は、自分達で、勝手にゆっくりと歩いていきます。

 だから、先生は見守っていてください。

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