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第八話 クリーク! クリーク! クリーク! クリーク!

 クリーク! クリーク! クリーク! クリーク! クリーク! 一心不乱の大戦争っ!!

 最近、自分がドイツ人だと忘れそうなので掛け声として発声練習をしておきました。

 この地では常時、先生のアクティブなgoodfull翻訳機能を用いているので、自分が何人であるかを忘れてしまいそうなのです。

 ……「寝取られ号」の名称、翻訳されてないだろうな?

『大丈夫です、ご安心ください』

 安心しました。

 では、これから一心不乱の大戦争を始めたいとおもいま~す♪ わーい、パチパチパチパチ~♪

 自らの手でこの世から消しておいてなんなのですが……マクシミリアン陛下とマリア王女の仇、俺が忘れるわけ無いだろう?



 まずはアーサー王に恋文を書くように勧めます。

 「勧め」と書いて「強制」と呼ぶ不思議な漢字を使って。

 魔法使いのマーリンのじっちゃんが合流し、一万三千歳児に二人がかりで勧めました。

 アーサーくん、ねぇねぇ、今どんな気持ち? ねぇねぇ、今どんな気持ち?

 なんだか、とても気の会うじっちゃんです。

 文面は、

「拝啓 お元気ですか、愛しのシャルルマーニュさま。一万と三千年に渡る貴方の恋心に私はやっと気が付きました。愚かな私をお許しください。つきましては、決戦にて貴方さまの愛に報いたいと思います。貴方さまが御勝利なされたなら、どうぞ私を好きにしてください。私のドラゴンと、友も付き添いに連れて参りますがお許しくださいね? 決戦の地はカーン。私の軍勢は一万五千になります。お住まいのパリより少々遠くなりますがお許しくださいませ。 愛しのシャルルマーニュさまであればお許しいただけますよね? 私の軍は少数ですから、どうか、あまり大勢は連れて来ないでいただけると助かります。 では、ハイランドから愛を込めて。シャルル様を愛するアーサーより」

 うん、名文だ。

 書かせるまでにマーリンのじっちゃんと俺の二人がかりで十時間ほど掛かりました、一万三千歳児を泣かせながら書き上げました。

 ちなみにこのマーリンのじっちゃんに聞いたところ、幻想世界ではある程度以上の強固な魔力を持つものは老いによる死から逃れるのだそうです。ドラゴンやエルフ、ドワーフに巨人達がそれにあたるそうです。

 そして「ワシもじゃ!」と自分を指差したので、サムズアップと笑顔で応えると実に満足げな笑顔をしてくれました。

 そこで「湖の乙女も乙女の顔してるだけなんですね?」と聞いたところ、サムズアップと笑顔で応えてくれました。

 やっぱり笑顔は世界を平和にする最終兵器ですね。

 では、この恋文をドラゴン速達便で送って私達は戦場に向かいましょう。

 約束どおり、一万五千の兵員で。


 まず、カーンの地では現地の人々から熱烈な大歓迎を受けました。

 ですから「寝取られ号」とアーサー王の愛ドラゴン「ドゥースタリオン」の二頭の炎会芸で歓迎に応えておきました。

 カーンそのものには街があり、民衆たちは敵ではないため、ちょっと離れた海を背にして陣を張りましす。

 背水の陣、それは攻撃力を最大限に高める!! と言われつつ、実質的には包囲殲滅されるための陣。

 こうしてドラゴンが二頭も出てきた以上、魔法騎兵による退き射ちの戦術は使えないため、魔王シャルルマーニュ自らがご出陣なされる他ありません。と、いう情報が伝わる前に速達便が届くと共に十五万の軍を編成し既に出発済みでした。

 愛は人を動かすものですね。

 しかし、大勢は連れないでと言ったのに、つれない人です。

 まぁ、フランク帝国軍、総兵力600万のうちの15万、四十分の一ですから十分に少ない方でしょうか?

 認識の違いってありますよね。大魔王様にとっては15万は少ない数でしょうし、確実に勝てると思われたのでしょう。

 もしも、敵の軍勢が一万五千よりも多くても退けばいいだけの話ですから問題はありません。

 大魔王様はドラゴンに立ち向かえますしね。


 そんなこんなで大魔王様が到着なさるまで海に向かって太公望。

 考えてみれば、初めての磯釣りでした。

 館の皆、どうしてるかな……クルージング、できなかったな……。

 当時の僕はグローセ王国が海に面していないとは思わなかったよ。

 そしてマーリンのじっちゃんも参加、ノリが良いですね。

 もしくはマーリンと言うその名が全てを表現していたのかもしれません。

 結果は、僕:坊主 マーリン:爆釣。奴が嘲笑ってきたので喧嘩になりました。


 しっかし、大魔王様なんだからル○ラとか使ってくださいよホント。時間は有限なんですから。


 そして五日後、魔王様がカーンの地へ御着きになったので、まずは双方使者を交わします。

 決戦の前にご一緒の夕食でもいかがか? と、じつに紳士的な申し出があったのですが一万三千歳児が嫌だと泣き喚いたので中止になりました。イギリスはジェントルメェンの国じゃなかったのか?

 せっかくのフランス料理なのに、もったいない。


 決戦は正午、我等が構える陣は北側に。

 アーサー王が先陣に立って剣を掲げます。

 一万三千年、勝利を約束してくれなかった剣ですね。

 そして、その後ろに続くはアダマンダイトのフル装備をした一万五千の勇士たち。

 なんだか、その黒い集団に、黒カマキリさんを思い出して、涙が出そうになりました。ぐっすし。

 それから、足甲も用意したはずなのに、なぜ毛脛は出ているの?

 そんなに毛脛は重要なの?

 二頭のドラゴンは左翼と右翼の両端に凛々しくきりっと姿を見せていました。

 一方、魔王シャルルマーニュの軍勢は南側に陣を張りました。

 こちらが北の海を背にしている以上、必然的にそうなるわけですが。

 主戦力は馬に跨った魔法騎兵。

 アーサー王の在り方に応じたのか、シャルルマーニュも陣頭に立ち、お互いを向かい合う形となりました。

 そして約束に従い太陽が中天に輝く頃、双方の名乗りとお互いの口上を語りあい、戦争が始まります。

 わくわくの瞬間まで後少し。


 海を背にし、南の太陽を前にして、争いを挑むアーサー王のハイランド王国軍一万五千と二頭のドラゴン。

 迎え撃つは、南の太陽を背にして、これを待ち構える魔法騎兵団十五万と魔王シャルルマーニュ。

 俺? 俺は、アーサー王の陣のさらに北で高みの見物をしておりました。

 開戦まではあと少し、クリーク! クリーク! クリーク! 一心不乱の大戦争を。



 闘いたい奴は闘えば良い。この場所に、殺しに来たんだ殺される覚悟も出来てるだろ?



 そういえば、ニースでの戦いらしきものが終わったのは昨日のことでした。

 山脈を隠密機動で踏破する蟲群種とは違い、人間の軍隊の監視など簡単なもの。

 カマキリさんは操られないからこそ強いんですよ?


 アルプス連合王国はモンブランより東を領土として主張しました。

 なので、ヒルヒルは、モンブランの南西にあたる山からバチカン法皇国への監視の網を張っておりました。

 アルプス連合王国領を避けてフランク帝国領に入るのるなら、必ずここを通らなければいけませんから。

 聖騎士団全軍150万、そしてカマキリさんが赤と黒をあわせて20万。

 ヒルヒルは300万の兵を揃えていましたが、侵略されてから報復にでていたならば敗北したかもしれません。

 カマキリさん達が増殖してしまえば数の有利が無くなってしまうからです。

 なので、ちゃーんと教えておきました。

 増える前に殺せ、見的必殺じゃなければ敗北しますよ? って。


「しかし、奴等は馬鹿かなにかなのかのぅ? カールを思い出すわ。それとも、なにかの奇策なのじゃろうか?」

 馬鹿で思い出されるとは失敬な!

 そりゃあ出会いの場では馬鹿を演じましたけど! バーミンガム宮殿は存在しませんでしたけどっ!!

 くぅぅ、胸が……胸が痛む。コレは……恋?

『いえ、羞恥心です』

 わかってるよぉぉぉぉぉぉぉ!!


 三国志には空城の計があるように、奇想天外な策は色々あります。

 油断はならないのですが、どうにも理解が及ばなかったのでしょう。俺も理解できない。

 細長い海辺のそばの道を、総勢170万の軍勢が縦に並んでニースへのピクニックを楽しんでいました。

 ニースかぁ、これはバカンス目的だね!


「いや、先頭に立つ赤いカマキリのことを知らねば、確かに痛い目を見たやも知れぬな。ぬぅぅ、カールめ、やってくれるのぅ。借りばかり増えおる。西ハープスブルグでもそうじゃった。民の心を折り、民の犠牲と我が軍の犠牲を諸共として最小に抑え、結果として最も命の犠牲の少ない道を選びよった。あれは魔王かなにかなのじゃろうか? いや、魔王は皇帝陛下であったわ。まぁ、背の方はちょっとものたりぬがのぅ」

 はい、魔王はヒルヒルのお父さんですよ。

 そして、遠隔地でのっぺりーの男爵の心の傷を抉らないでください。


 まず、赤のロッソカヴァリエーレが先頭に立ち、次に黒のネロカヴァリエーレが続き、その後に聖騎士団、そして聖騎士団の中央付近を司令官となる枢機卿二人が並び進んでおりました。

 赤カマキリさんと黒カマキリさんをロッソだネロだと呼ぶのはこれが最後でしょうから、せっかくなのでカヴァリエーレ<騎士>と呼んであげましょう。

 彼等の方針では、まずロッソとネロの両カヴァリエーレにニースの民衆を浄化させて軍団の規模を大きくするつもりなのでしょう。

 聖騎士の替えは利きませんが、蟲の替えなら利きますから。……カマキリさんに謝れっ!!

 でも、それなら同行しないで両カヴァリエーレを先行させれば良いのにね?

 <虫>のラウロくんが寂しん坊だったのでしょうか?

「まぁよいか、使わせてくれるというのなら、使わせてもらおうぞ」

 まず最初にあたるのは風の魔法の使い手達。

 バカチンの行軍は蟲を先頭にしているのだから人はまだ気付きません。

 彼等がロッソカヴァリエーレの前に出現すると本能から人や亜人を狂わせる催眠性のガスを噴出しました。

 ロッソカヴァリエーレはメ○パニを唱えた! だが、ヒルヒルはマ○カンタを唱えた!!

 風の魔法はニースから東に続く道沿いへと流れ、催眠性のガスが聖騎士団へ向かうように誘導されます。


 次に現われたのは土の<魔法>の使い手達。

 逆さ八の字、末広がりならぬ末しぼまりの塁壁。

 それは虎口、お前は虎だ、虎、虎、虎っ!!

 末絞りの道に、ロッソカヴァリエーレくんとネロカヴァリエーレくんがごっつんこ♪

 ロッソちゃんどいて、その人間殺せない!!

 ネロ君がお怒りですが、ロッソちゃんはもっとお怒りでした。

 必殺のはずのガス攻撃が効果を見せないので顔を赤くして更にガスを噴出するロッソちゃん。もともと赤いですけど。

 だいじょうぶだよロッソちゃん、君の攻撃は効いてる効いてる。後方で。


 やっぱり、聖騎士団というのは<剣>や<槍>や<弓>の加護持ちなんだろうね。

 駄目じゃない、毒耐性装備しとかないと。

 ABC兵器のC、ケミカル兵器は恐ろしいですね。

 十万匹のガスが、後方百五十万匹の聖騎士団員に向かって吹き付けております。

 ネロが十万、ロッソが十万、まぁ、そろえたくなる気持ちは解らんでもない。

 十万匹分の催眠性ガスって凄いですねぇ。

 一匹辺り30人分として300万人も狂わせられるんですから。


 あ、僕、この映像見たことある。

 ゾンビ映画だ。おや? 聖騎士団団長ロンバルティくんの様子がおかしいぞ?

 あぁっとここで聖騎士団団長ロンバルティくんが<虫>のラウロくんに襲いかかったぁ!!

 オルダーニくんはぁぁぁぁぁぁ!! 抵抗できませぇぇぇぇぇん!!

 流石は<剣>と<鎧>の特級加護持ち、バーサク状態でもお強いですね。バーサクだから、もっと強くなるのか?

 おぉ、ついにロッソカヴァリエーレとネロカヴァリエーレの両名が<虫>の特級加護の洗脳から抜け出して、赤カマキリさんと黒カマキリさんの目が覚めました。感動です。自分の家族が悪い夢から覚めたようで感動です。

 そして殺し合いを始めました。

 そいえば亜種だから仲悪いんでしたっけ、ロッソちゃんとネロ君は。

 ヒルヒルはその様子を見て、虎口をそっと閉じたのでした。



 前方でなにかが起きていると解っていても、軍隊は規律がありますから逃げられませんよね。

 風の魔法使いさん、あなた良い仕事してるわ。

 ガスを上手く拡散させることなくスーッと遠くまで運んで、150万人全てを飲み込ませるなんて称賛に値します。

 さぁ、バチカン法皇国聖騎士団、全員参加のバトルロワイヤルの開催です。

 オッズとしてはやはり、二つの特級加護を持つロンバルティ君が一番人気の模様。

 次に黒カマキリさん。おしくも赤カマキリさんは硬度の違いから三番人気です。


「……いったい、なんなのじゃこれは」

 敵の事ながら頭が痛いように額を押さえるヒルヒル。

 うん、僕も同感。

 おや、やはり三番人気、赤カマキリさんが真っ先に脱落した模様。

 次に、黒カマキリさんが狙うは、後方の聖騎士ゾンビたちだぁ!

 おぉ、さすがに生き残った加護持ちは等級が高いようで、黒カマキリさんに対抗できてる。

 でも、その後ろから味方だったゾンビに斬られて死んじゃってる。

 このゾンビたちはゾンビ同士仲良く出来ないんでしょうか?

 黒カマキリの軍団がゾンビ集団の中ごろまできたところで登場するはロンバルティくん!!

 <剣>そして<鎧>の特級加護。

 攻守において完璧! 惜しむらくは状態異常耐性が無かったことでしょうか?

 黒カマキリくん達に対して斬・斬・斬!!

 おぉ、ほぼ十万を残す黒カマキリくん達に一歩も退かない、いや、むしろ押し込んでいる!!

 凄いなぁ。さすがはレオ兄様と同じ特級加護。

 おぉぉぉ、素晴らしい、十万体をほぼ切り捨てました。

 あなたが大将! 一等賞!! 景品はヒルヒルの軍団からの一斉魔法攻撃!!

 魔法耐性もあったら良かったのにね?


「はぁ……。この程度のもののために、我は純潔を……。はぁぁ……」

 気持ち、よく解る。

 うん、僕も失望した。

「えー、皆のもの、殲滅せよ。風の使い手は毒を散らせ。では、進撃……」

 物凄くやる気をなくしながらも、順調に、残った者達を処理していきました。

 ヒルヒル、がーんば♪


 若干、山に逃れたカマキリさんに対しては先生がご対処なさいました。

 ただ、ヒルヒルの山狩りは渡り念入りに、三日間に渡って群蟲種を探し続けるほどの頑張りを見せていたので、その徒労にはちょっと悪いことをしたかもしれません。


 ごめんね? ヒルヒル。

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