追話 助けて! goodfull先生!!
「にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっっっっっ!!」
「げふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」
人間魚雷に対抗するため対ショック用三重装甲のオプションパーツを追加したT・A・M・S<タクティカルアーマードマッスルスーツ>の装甲が突破されるだとぉっ!?
わたくし少々調子に乗りました。
時速200kmを超える「寝取られ号」、一時間ちょっとあればジュネーブからコンスタンツに着いてしまうのですね。
そしてコンスタンツにはシャルロットが居て、ちょいと指示することがあったので降り立ちました。
マリア王女とともに。
他国の王女を連れて国境線を越えるのはどうかと思うのですが、いまさらと言えばいまさらです。
むしろ時速200kmの姐さんの愛から逃げ回っているジーク兄さまはどういう身体能力をしているのか不思議です。
それはさておき、このたびのシャルロットの突撃からのベアハッグ、そして額を使った胸骨を抉る振動攻撃には死と言う文字が見えました。しまった、今ここにはルイーゼ巨乳姉さまが居ないっ!!
「にぃちゃん……死んじゃう……にぃちゃん……死んじゃう」
レッドアラートを吐血と言う血の赤で知らせても止むことのないシャルロットの追撃。
今回は、いつもの愛情表現とは違うっ……これは……嫉妬っ!?
「あまり嫉妬深いと、カール様に嫌われますわよ?」
その一言でベアハッグから解放された俺。
ありがとうマリア王女。
「にーちゃん。その女。誰?」
人を指差すのは止めなさい。
そしてその吊り上がった目も止めてください、お願いします。
「この方は、西ハープスブルク王国の姫君、マリア王女だ。シャルロットも、もうちょっとお上品に……」
「カール様と一夜を共にした仲でございますわ」
「にーちゃぁぁぁぁぁぁん!?」
待ていっ! 誤解じゃないけど誤解だっ!!
「シャルロットさん、落ち着いて聞いてください。にぃちゃんは、たしかに寝室を一晩ともにしましたが、男女のなかといったそういうものではなくてですね……」
「一晩、抱き締めて離されなかったのに、そんな言い方……」
あぁ、便利な涙腺が!
あなたの涙腺は蛇口か何かなのですか!?
「にーちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」
シャルロットさん、あなた王族としての品位が欠片も見られなくなっているのですが。
くっ、知略で敗北したなら、どうするべきか。
俺は今回の戦争でそれを学んだはずだ!!
「にぃちゃんはシャルロットが好きだ!! あぁ大好きだ!! 愛してると言っても良い!! シャルロットは可愛いなぁ!! シャルロットは素敵だなぁ!! いやぁシャルロットのような可愛い妹を持って、にぃちゃんは幸せものだなぁっ!!」
知略で敗北したのなら、力任せに勝てばよい。
素晴らしいブレイクスルー。
我が永遠のライバル、黒カマキリよ貴様との死闘で俺は成長したぜ。
「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、にーちゃん!! 次は無いからねっ!!」
次は「殺」と言う意味なのでしょうか?
「カール様は妹さんが本当にお好きですのね。いずれ、義姉となるかもしれない身として、仲良くいたしましょう?」
マリアさん? そんな話は一切ないはずなのですが?
そうですね「かもしれない」という言い回しって、便利ですね。可能性は、無限大です。
「むむむむむむ、そうね、な・か・よ・く、いたしましょう」
何故だ、何故こうなった?
そしてゲラゲラ笑い転げている「寝取られ号」お前は後で覚えとけよ。
「それで、にーちゃん何をしに戻ってきたの? その女を紹介するためじゃないよね?」
ナチュラルに我が右腕を拘束してシャルロットが尋ねてきた。
そう、今回は用事があったのは事実で、そのために戻ってきたのだ。
そして、その女という名称を止めなさい。いや、止めてください。
「あぁ、群蟲種との戦争が終ったから、もう天候操作を止めて欲しいんだ。これ以上続けると渇水被害が出ちゃうからね」
「そっか、わかったよ。やーめたっと」
そんなんで<加護>の停止行動が終了するのか。
もうなんでもありだな<加護>って奴は。
「では、これで御用事も済んだようですし、お空の散歩を再開いたしましょう? 二人っきりで」
ナチュラルに我が左腕を拘束してマリア王女がニッコリと微笑む。
「あぁっ!?」
シャルロット、その青筋のたった顔とチンピラ声は王族として随分と不味いんじゃないかな?
「では、参りましょう、カール様」
左の腕が引かれる。
「にーちゃんはもう少し、ここで私と一緒に居たいはずだよね?」
右の腕も引かれる。
すでに悪い予感しかしないっ!?
左腕を引くマリア王女の体がマナの光に輝いております。
右腕を引くシャルロットには<加護>の力が込められております。
頑張れ!! 我が友、T・A・M・S!! 君には14万馬力と言う力がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす!!」
助けて! goodfull先生!!
『不可能です。私に男女関係を整理するサービスは御座いません』
Q1:END NEXT:Q2
人と昆虫の争いであれば心はすっきりしますよね。
スターシップなトルーパーズなのです。イヤッホォゥ!!
でも、人と人の争いは……以降、お察しください。