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なんか違う

「――――って! 題名と全然話合ってないじゃん!」


「萩香うるさい」


 私は叫ばずにはいられなかった。たとえ髪を金色に染め派手な化粧をしクッキーをくわえる少女が椅子に足を広げて座っていたとしても。そして彼女が私を睨んでいたとしても。うるさいと言ってきたとしても。

 私はこの理不尽な展開に黙っていられるわけがなかった。


「だって、ここはいじめの世界なんだよ? そういう設定で私はこの教室に入ってきたわけじゃん。そしたら依琉が平然とした顔でチューハイ飲んでるし! 私がぶちまけたけど!」


「お前さっきから何言ってんの?」


 呆れられた。まあたしかにそうだな。私はさっきから意味不明な事しか言っていない。

 私の目の前に座っているもはや制服と呼べない状態の制服を着ているこの女の子、三浦依琉は私が知っている中で一番の不良だと思う。

 帰りにどうやって手に入れたのか知らないけど缶に入ったチューハイ(もちろんアルコール入り)飲んでるし、普通にお菓子持ちこむし、髪染めてるし化粧してるしコンビニの前で不良仲間と戯れるし、とにかくこの子おかしい。

 入学初日に私が依琉が飲んでいたチューハイを奪い取ってぶちまけたことによって何故か仲良くなったから、私の必死の説得でチューハイを飲むことはやめてくれたんだけど、その他は全く効き目がなかった。

 まあ、他は別にチューハイ飲むのに比べればそこまで問題ないかなーと思っているからいいとして。


「萩香ってなんか天然だよなー」


「天然って言うなし!」


 私は頬をふくらませながらそう言った。依琉は笑いながら私の顔を見つめる。


「変顔も得意だよな」


「……依琉、殴ろうか」


「ごめん嘘」


 このように、依琉はなぜだか私とこんなに仲良くしてくれる。私にもよく意味が分からないんだけど、依琉曰く「まさかチューハイをぶちまけるとは思わなかった」だそうで。うーん、全く分からない。

 チューハイぶちまけたから友だちになったって何? その勇気がすごいと思ったってこと? ……へえ、そうですか。


「まあまあ、二人ともケンカすんなよ~」


 おっとりとした口調とは裏腹に恐ろしいほどのギャルメイクをした少女が、私と依琉の間に割って入ってきた。

 彼女の名前は今村いまむら杏珠あんじゅ。依琉と同じく不良らしいけど、そのメイク以外に目立ったことは特にない。もう一度言っておく。メイク以外・・・・・では、ないだけである。

 そのメイクは本当に、驚くべきものだ。私も初めて見たときは目を丸くしてその場に硬直したし、一度メイクを落としているところを見たことがあるけど、杏珠だとは思わなかった。

 そういえば、依琉がメイクを落としているところは見たことないなあ。


「ケンカなんかしてないし! これだからやなんだよ、おせっかい杏珠」


 クッキーを頬張りながら机に肘をついて依琉がそう言うと、杏珠が顔色を変えた。


「なんか言ったああぁ~?」


「うわっ、嘘っ、嘘だからあああぁぁっ!」


 あぁ、依琉、こめかみぐりぐりやられてる。あそこ、ぐりぐりされるとめちゃくちゃ痛いんだよね。

 しばらくしてから解放された依琉はげっそりとしていた。ドンマイ。

未成年のみんな。

チューハイとか飲んじゃダメですよ。

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