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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無敵BGMをもらって転生したらファンタジー世界だった

作者: 上上手取

昔書いてお蔵入りしたのを読み返しているとなんかいけそうなのでちょっと手直しして投稿

 俺は死んだ。神様に会った。特典をくれるというから無敵BGMをリクエストしてみた。

 そして足元に空いた穴に落とされて俺は転生した。





 はろはろー。わたしエピトーリカ・ジョゼット・ランド(以下略 ジョゼットって呼んでね。

 ……まさかのTS転生だよ。誰得だよ! アレか無敵BGMリクエストしたからか?


 ――山に山に山に芝刈りに!Hey!


 オサレドレス着て踊るように敵を倒せとそういうことか? 俺は普通に無双がしたかっただけなのに……TSなんてしたくなかったよ……


 それよりも絶望したのがここが正統派ファンタジー世界だということだ。銃がねーんだよ! お、俺の理想のハードボイルドがー!

 魔法で代用すればいい? 無詠唱なんて小洒落たものはこの世界にはねーんだよ! 杖を持ちながらいちいち糞長い呪文を唱えて発動させる。それがこの世界の魔法なんだよ!



 オワタ。俺の野望はオワタ。



 オワタといえば俺の今の地位。伯爵家の3女。どう考えても政略結婚の駒です。やーだーよー。男と結婚なんてやーだーよー。同い年の第2王子がいるなんて聞こえません!!


 はぁー……もう家を出るしかないな。ここの豪勢な暮らしには後ろ髪を引かれるがちょっと過剰すぎるきらいがあるしね。あと不意に口走ってしまう俺の男言葉を矯正しようとマナーの授業がだんだん厳しくなってくるのにももう耐えられない!! 特典が開放される10歳になったらこんな家出て行ってやる!!





 ぐーてんもーげん? 10歳の誕生日の夜、現在運搬され中……

 脱走に成功というわけではなく絶賛さらわれ中です。あーなんだろうね? 誕生パーティーに来てくれた王子様と仲良く話してたから嫉妬されたとか? だってお嬢様方より男の子とのほうが話が合うんだからしかたがないじゃないか!! 話してたのだって色恋沙汰とかじゃなくて単なるバカ話だぜ?


 予定していたのとは違うがまぁいい。家を出ることには成功しているんだ。何も問題はない。……たとえ俺のまわりを下卑た笑みを浮かべた小汚い男達が取り囲んでいて俺が薄布でできた夜着一枚でいたとしてもだ。っていうかこいつらみんなロリコンかよ! いや、ファンタジー世界だから合法か? いや、誘拐してる地点で犯罪者だな。


 ふっふっふ、だが時期が悪かったな。今日は10歳の誕生日! 特典の無敵BGMが開放される日なのだ!! お前たちには都合のいい実験台になってもらおう!!!


 俺は頭のなかに浮かぶ感覚に従い無敵BGMをONにする!





 てってってーれてってっててーれてってってーれてってっててーれ(某配管工が星を取った時の音楽)





 マ○オかよ! ヤン○ーニじゃねーのかよ!! 確かに曲は指定しなかったけどさ!!! そこは俺の意思を汲んでくれよ!!!!


 突如響き渡る音に周りの男達は何人か外を警戒しに行ったけどこの場所の雰囲気は変わっていない。鳴り響くコミカルなBGMを除いて。


「どうやら助けを呼ぶ魔道具を使ったみてぇだが助けが来るのとあんたが壊れるの、どっちが早いだろうな」


 そう言っていやらしく笑う男達。

 あははー神様に願ったことが何もかも思いどおりに行かないでやんの。なんかもうどうでも良くなっちゃったなー。

 俺を取り囲む男達をひとしきり眺めた後、


 ――私これからいやらしいことされちゃうんだ。薄い本みたいに――


 そう考えると同時に下腹部が鈍い痛みに襲われ俺は思わずうずくまる。


「ヒャッハー! 今更怖がったってあんたの未来は変わんねーよ!!」


 俺がうずくまったのを恐怖したと勘違いしたのか男の一人が俺に乱暴に掴みかかろうとして


 ――ポコッ――


 やたらコミカルな音を立て斜め前方へ跳ね上がったかと思うとそのまま地面へ叩きつけ……られずに地面へ吸い込まれていった。


 あーそうか。そりゃこのBGMだとこうなるわなー

 痛みで回らない頭でそんな取り留めもないことを考える。男達は何が起こったのかわからず警戒して私を取り囲んだままだ。そうこうしていると外がドタバタと慌ただしくなり


「ジョゼット! 助けに来たよ!」


 あら王子様。まるで物語のヒロインを助けるヒーローみたい。素敵! 濡れちゃう! 抱いて!

 ……あれ? なんか股間に違和感が……疑問に思って自分の股間を見やると……ち、血だー!!!


 あまりのショックに私はそのまま気絶した。





 ぼんじゅー。気がついたら家に帰されてました。脱走計画は失敗です。

 意識が戻った後処女かどうかの確認とかあって……うん思い出したくない。


 あの時私の体に何が起こったのかというと……女になっちゃいました。てへぺろ。

 いやいやいやらしい意味じゃないよ。子供を産める体になったってことだよ。

 ついでに言うと精神が引っ張られているらしく前ほど女の体に違和感がない……大問題だよ! 子供を産める体になっただけでこうなんだから男と無理矢理にでも致してしまったら身も心も女になっちゃうんじゃないか? 未知の恐怖にガクブルですよ。


 それも問題だけど差し迫った問題が私を助けてくれた第2王子様(王子が直接突入してくるってやばくね?)が今回の件は自分に責任があると行って私を正妻に迎え入れると言い出したことだ。

 いやお互いまだ10歳だよね? 普通こういうのは婚約だよね? なんてのが通じないのがこのファンタジー世界。子が産める準備が整えばそれはもう大人と同じなのだ。


 確かに今回の件は嫉妬で暴走した貴族のご令嬢(20歳前後だった。ショタねらいかよ!)が背後にいたんだけどだからといって王子様に責任を押し付けるのはねぇ……なんて言ってもうちの家族は聞きやしない。そもそも今回「ジョゼット。ジョゼット? いますか?」ヒィッ! なんであなたがここにいるの!


 そう言って扉を開けて入ってくる王子様。ちょ、今までなんだかんだ理由をつけて避けていたのに直接乗り込んでくるとか。後なんで入れるのよ! 鍵はどうしたの? 疑問に思いながらも私は隠れるようにベッドに潜り込む。しまったこれじゃぁ逃げ場がない!


 王子様はそのまま私の潜るベッドまで近づくと私を口説き始めた。


 ――最初は男口調で話しやすい女の子として興味をもったこと

 ――自分を王子として見ず気が付けば気さくに話せる友としてみていたこと

 ――そんな中ふと見せる私の女らしさに(そんなのあったか?)段々惹かれていったこと

 ――私がさらわれたと聞いてまわりの静止も聞かずに飛び出していったこと

 ――男達に囲まれ怯える私を見て(怯えてたっけ?)今までにない怒りを抱いたこと

 ――そうして自分のほんとうの気持ちに気づいたこと


「だから……愛しています……ジョゼット、いえエピトーリカ」


 シーツを剥ぎ取り私の目を見つめてそう宣言する王子様。


 その顔は今まで見てきたものとは違いやたらキラキラと輝いて見えて……


 あーもう! 胸のドキドキが止まらない! 男に惚れるとかっっっ!


 特典も願ったのと違ったし! 記憶を持ったまま転生なんてするもんじゃありませんね!!!

一年半くらい前はこんな軽いノリでスラスラと書けてたんだけどなー(現状から目を逸らしつつ)


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