異世界
目が覚めると見慣れた部屋…
玉座の間である。
俺の居城 ダンジョン名 オリジン にある4つの塔 永久の光 真実の鏡 深淵の常闇 そして今俺のいる塔 無限の宇宙が俺のメインダンジョンである。
さらにこれら以外に氷 聖 炎 森 地 天 海 邪 無の9つのダンジョンを配置している。
これら全てのダンジョンは俺が居なくてもメインシステム ガイアにより順次自動調整されるという素晴らしい出来だ。
…そう、素晴らしい…これがゲームの中なのなら。
「如何なさいましたか?」
俺の目の前で傅く超絶美形が三人…よく見知った顔である。ソルディア ルナ エンド 永久の光 真実の鏡 深淵の常闇 それぞれの塔のボス、つまり俺の部下だ。
三人ともランクオーバーの化け物達だ。
ラビリンスワールドはレベル制のゲームだ。
1〜100レベルまで存在し、100レベルの状態で特殊なクエストをこなすとランクが上がり、また1から…そしてランク10のレベル100に到達し、クエストクリアすると晴れてランクオーバーとなる。
他の俺のダンジョンのボス達は皆ランク10のレベル100だ。だがランク10のレベル100とランクオーバーでは戦闘力の桁が違う。
まぁ、あまりに強くしすぎると俺が暇になるからクエストをクリアしてないだけではあるが…
ダンジョンマスター側は世界の西から、冒険者は東から始める。ダンジョンマスター側のストーリークリアは西側の完全制圧だった。
とうの昔にクリアしたんだけどな。
さて、話がずれてしまった。
つまり現在俺はピンチなのだ。
当然俺のランクはランクオーバー…だがこいつらが俺を裏切った時勝てるか?と聞かれたら疑問に思うだろう。
そしておそらくヤれば勝てるとは思う。
ゲームの中ではな。
…ゲームだから出来たのだ。
そう、これは紛れもなく現実なのだ。
主人の顔色を気遣い声をかけるなどということはない。
今俺は紛れもなくラビリンスワールドの世界に存在しているのだ。
当然ログアウトは出来ない。メニューは開けるがオプション関係が全てなくなっているのだ。
「お前達、今日のところは下がれ。俺は少し休む。」
「「「はっ!」」」
最高級の素材で最高質の技術を使って作られたオーバーランク級のダンジョン…踏むのを躊躇う程の決めの細かい絨毯、まるで宝石のようなシャンデリア…
何気無く飾ってある調度品はどれも途方もなく高価な代物だ。
「はぁ、どうすりゃいいんだよ…」
ついつい溜息が出てしまう。
自身の支配領はダンジョンマスターの権限で常に把握できる。
その機能を使用して少しこの世界について調べてみた。
このダンジョンを中心にこの世界の半分を俺のダンジョンが占め、丁度俺のダンジョンを区切るように広大な山がぐるりとそびえ立っている。
この山は次回のアップデートで取り除かれる筈だったのだが未だ健在している。
ダンジョンマスターの最終目標は世界征服で、アップデート毎に随時支配可能領域が増えていくのだ。
…これ以上ダンジョンを創るのは不可能のようだな…
これで一通り確認は済んだか?
はぁ、頭が痛い。
そもそもダンジョン作成系のゲームで部下の反乱など設定されていない。
だが、ここは現実だ。何が起こるか分からない…
一体一なら問題は無い…だがボス全てが裏切ったら…
あぁ、いやな想像をしてしまう…
「メニュー」
俺はメニューのお知らせの欄を開いた。
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・エラー発生 システムが上書きされました。
・システム制限が全て解除されました。
・複数のアカウントが存在、エラーが発生したためアカウントを統合しました。
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一つ目はとりあえず放置だ。
二つ目…システム制限の解除?詳細を見てみるとダンジョン支配領域の制限やダメージ、死に戻りなどのシステムが無くなったらしい。
三つ目…俺は忘れていたが、本来なら冒険者用のアカウントがあったのだ。
何らかの原因で俺はこの世界に自分のアカウントとして存在している。
その過程でアカウントが二つあると俺が2人になってしまうからだろう。
これは早急に確認が必要だな。
メニューを操作し、ステータスを確認する。
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レイズ
ランク オーバー
レベル 10000
種族 人族
クラス 魔神 武神
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オーバーランクは最大レベルが決まっておらず、ゲームのシステム上10000までであったのが、多分システム制限がはずれただ。
つまりレベルキャップも解放されている