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第九話 昇の争奪戦開始?

「それで、今日は何を買うの?」

 昇はうんざりとしながらも、しかたなく準備が整ったシエラ達と出かけ様としていた。

「着替えとか大きな物とかは昨日買ってさっき搬送されてきたから、今日は小物。小さい引き出しとか、レターケースとか」

「そんなのが必要なの?」

「必要」

「え〜」

 シエラの答えに昇は不満の声を上げる。

 まあ、昇の気持ちも分からなくはない。昨日散々買い物に付き合わされたあげく、初めての戦闘までこなしたのだがら。

 はぁ、今日ぐらいはゆっくりと休みたかったんだけどな。

 だが結局、シエラとミリアに引っ張られて買い物に付き合わされることとなった。

「そういえば、今日彩香さんはどうしたの」

「母さんは仕事だよ」

「ああ、そうなんだ」

「それよりもミリア、なんでお義母様のことを名前で呼ぶの?」

「だって、おばさんなんて呼んだら、すごく怖そうじゃない」

 その意見には同意だ。僕ほどじゃないけど、ミリアにとっては凄く怖い目に遭うことは間違いない。

「だから昇、いざという時は私を守ってね」

 無理です。

 ドサクサ紛れに昇と腕を組んだミリアだが、すぐにシエラが二人の間に割り込み、二人を引き剥がした。

「ドサクサ紛れに昇と腕を組まない。それは妻である私の特権」

「う〜、いつそんなことが決まったんだよ」

「天地開闢以来」

 そんな昔から決まってたんですか。

「じゃあいいもん、私はこっちにするから」

 そう言ってミリアはシエラと逆の昇の腕と組む。

「だから昇と腕を組むのを禁止」

「いやだよ〜」

 そのまま睨み合う二人に挟まれながら昇は遠い目をしていた。

 ……あの〜、そろそろ行きませんか。

 結局その後は二人とも少し騒いだ後、昇は両手に花の状態で出かけることになった。



 う〜ん、なんだろうな。この変な感じは。……というか、つい最近まで女の子と腕を組んで歩く事なんてまったく無かったからな。なんか、落ち着かない。

 現在昇は両腕をシエラとミリアが組んで手まで繋いでいる。

 なんだろう、このまま商店街まで行ったら睨まれそうなんですけど。

 そう思うと昇は改めてシエラとミリアを見る。

 確かに二人とも僕よりも年下に見えるけど、確実に言えることは二人とも可愛いという事だ。そんな二人と手を繋いで歩いてるんだから、僕はいったいどんな目で見られるんだろう。

 そんなことを心配しながら歩き続ける昇達だが、突如後ろから昇を呼ぶ声が聞こえてきた

「いた、昇!」

 その声に顔だけを振り向ける昇の目に幼馴染の武久琴未たけひさことみの姿と見知らぬ少女が映った。

「琴未? と誰?」

 琴未の隣には琴未と同じ巫女装束を着た少女が同じように走っていた。だが、その少女は息の上がっている琴未とは違い、かなり余裕がありそうな表情で平然と昇達に向かって走ってくる。

 そうこうしているうちに二人は昇たちの元へ辿り着いた。

「よ、かった。のぼ、る、はぁはぁ、げほっげほっ」

「琴未、無理に喋ろうとするな。ほれ、水じゃ」

 少女は何処から取り出したのかペットボトルに入っている水を琴未に手渡し、琴未はそれを一気に飲み干した。

「ありがとう閃華。さて昇、説明してもらいましょうか」

「えっ、なにを?」

「その子達の事よ」

 琴未は勢い良くシエラ達を指差し、明らかな敵意を示す。

「えっ、えっと、彼女達は…」

「よい、昇とやら、事情は飲み込めた。だからこれ以上は話すことはないぞ」

「へっ」

「琴未、どうやら私の予想どおりのようじゃな」

「じゃあ、この子達」

「うむ、精霊じゃ」

「なっ、何でそのことを!」

「それはあの閃華という彼女も精霊だからよ」

「シエラ」

 シエラは昇と並ぶと閃華達を見詰め返す。最初に敵意を示したのはあちらなのだから、こちらも敵意を込めて見詰め返した。

 だが昇は何かを思いつくように手を叩くと琴未に尋ねた。

「ちょっと待って、琴未が精霊と一緒にいるって事は、琴未も契約をしたの」

「いやーーーっ! 昇お願いだからその事だけは言わないでーーーっ! 私の、私の始めてがーーーっ!」

「……えっと、琴未?」

 悶絶する琴未を目の前にどうする事も出来ずに見詰めてるだけの昇だが、いつの間にか昇の後ろに回りこんだ閃華が昇の肩に手を置く。

「昇とやら、後生じゃからこれ以上はその事に触れんでくれ」

「えっ、あっ、うん」

 それだけを言い残して閃華は未だに悶絶している琴未を介抱しに向かい。シエラは琴未の事を尋ねてきた。

「昇、あの悶絶してる女はなんなの?」

「えっと、琴未といって幼馴染なんだ」

「へぇ〜、琴未って言うんだ」

「そうじゃ、将来昇の妻になる者じゃ」

「閃華―――っ! いきなりなに言ってるのよ!」

 閃華の言葉に自分を取り戻した。そして閃華の胸倉を掴むと思いっきり引き寄せる。

「閃華ね! そんなことを昇の前で言ったらどうなると思ってるのよ!」

「さあのう、頭の中で想像してみてはどうじゃ」

「……」


 ─注意 ここからは琴未の妄想であり本編とまったく関係ありません─


「えっ、琴未はそんなことを思ってたの!」

「ち、違う、それは閃華が勝手に……」

「なに言ってるの琴未、僕の傍にいてくれるのは琴未しかいないんだよ」

「でも、昇はその精霊と契約を……」

「琴未が傍にいてくれるならすぐに契約を破棄するよ」

「昇、本当に?」

「当たり前じゃないか、なんでもっと早く言ってくれなかったんだ。そうすれば精霊となんか契約しなかったのに」

「昇」

「琴未、これからは僕の傍いて欲しい。いや、僕は琴未をもう離さない!」

「ああっ、昇、もっと強く抱きしめて」



 自分自身を抱きしめながら悶絶する琴未を見て、シエラはすでに呆れおり、ミリアにいたってはもう興味は無いのか昇の腕を振りながら早く行こうと行動の意思を示していた。

「昇、ずいぶんと変わった幼馴染がいたのね」

「いや、僕もあんな琴未は始めて見るんだけど」

「まあ、それだけ琴未はそなたへの思いを溜め込んでいたという事じゃな」

「……閃華っていったけ、なんであなたまで普通にこっちにいるの」

「そんなの決まっておろう。今の琴未と同類に見られたくないからじゃ」

 いや、なんとなくその気持ちは分かるけど、琴未をこのまま放っておいていいのかな?

「閃華さん。まったく話が見えないから、そろそろ琴未を何とかしてくれる」

「私の事は閃華と呼び捨てでよい。それよりも私としてはもう少し悶絶しておる琴未を見てみたいんじゃが」

 いやいや、さすがに街中だし、このままというわけにもいかないんじゃ。

「とにかく、琴未を現実に引き戻さないと」

「というか昇、そなたは未だに琴未が悶絶している訳が分からんのか?」

「えっ?」

「はぁ、その様子では分かっておらんようじゃのう。琴未も琴未じゃが昇も相当の朴念仁ぼくねんじんじゃな」

 えっと、朴念仁ってなんですか。

 不思議そうな顔をする昇を無視して閃華は琴未の元へ向かうと、静かに耳打ちをする。その途端に琴未は現実に戻り、改めてシエラ達を指差した。

「忘れてたわ。とりあえず昇にくっ付いてる精霊達、今すぐ昇から離れなさい。そして罪を償っておとなしく消えなさい」

「……えっと、琴未、まったく話が分からないんだけど」

「昇は黙ってて、これは私の戦いなの!」

 いや、戦いってなんの?

 ワケが分からず呆然とする昇だがシエラ達は違っていた。なにしろ宣戦布告されたのだからそれなりの対応をする。

「罪を償えって、私は犯罪を侵したつもりは無い」

「そうだそうだ。私だって何もやってないもん」

「うるさいうるさいうるさい! 昇の唇を私から奪っておきながらその言い草が許せないのよ」

 シエラからしてみれば勝手極まりないことだが、シエラは不敵な笑みを浮かべる。

「……うらやましい」

「うっ」

 シエラが呟いた言葉に琴未は怯んでしまった。だがシエラはそこに畳み掛ける。

「そっか、うらやましいんだ。だからそんなに怒ってる。ちなみに最初に昇の唇を奪ったのは私。どう、うらやましい、うらやましい」

 不敵な笑みを浮かべながらシエラは琴未に詰め寄る。だがここで琴未がハッキリと自分の気持ちを言えるなら、すでに自分の気持ちを昇に告げているだろう。それが出来ないから、今まで二人は幼馴染でそれ以上でも、それ以下にもならなかった。

「琴未、ここで怯んではいかん。ここで負けてしまえば昇はあの精霊たちに取られてしまうんじゃぞ。なにしろ契約をした精霊は一生、契約者からは離れることは出来ん。そのうえ、生もうとすれば人間の子供すら生める。今ここで決着をつけねば後悔することとなるぞ」

「そうなの?」

 昇の問いにシエラは黙って首を縦に振り、今度はシエラが口を開く。

「だから器の争奪戦を利用して思い人に近づいて、そのまま結婚して幸せな一生を望む精霊もいるわ。まあ、悪いことではないから誰も何も言わないけど、そういった精霊は積極的に争奪戦には参加しない。むしろ避けようとする」

「だが、お主らは違うのであろう。その様子じゃと、今のところは昇から一生はなれる気は無いみたいじゃな」

「当たり前」

「そんなの決まってるよ」

 はっきりと言い切る二人を見て閃華は軽く笑うと、その顔のまま琴未に顔を向ける。

「琴未の思い人はそうとうモテるらしいのう」

 いや、そんなことはないけど。だって僕、今まで誰からも好きだとか言われたことないし、そんな気配もまったくないけど。

「当たり前でしょ。私が今までどれだけ苦労して昇に変な虫が付かないようにしてきたと思ってんのよ。毎朝昇より早く登校して下駄箱をチェック、そして手紙とかが入ってたら全て破り捨てたし、昇に告白しそうな子を見つけたら散々脅したんだから」

「えっ」

「それだけじゃないわ。少しでも昇に好意を持ちそうになった子には、ありもしない昇の変なうわさを流したり、諦めさせたんだから」

 えっと、つまり僕が今まで女の子と縁が無かったのは全部琴未の仕業。けど、なんでそんなことを?

 琴未の行動の意味が分からないのか昇は考え込み、それを見た閃華は再び笑いながら琴未に告げる。

「琴未も琴未じゃが、この昇もかなりの朴念仁じゃな」

 いや、だから朴念仁ってなんですか?

「まあよい、これではっきりしたからのう。琴未、どうやら昇には争奪戦から外れてもらうしかないようじゃな」

「どうやらそうみたいね」

「琴未?」

「昇は下がってて、ここまで喧嘩を売られたらもう退けない」

「昇は絶対に渡さないんだから」

「えっと、シエラ、ミリア、どういうこと?」

「くっくっく、本当に面白い御仁じゃのう」

 いい加減に自体が把握できない昇に、さすがに呆れきった視線を向けるシエラ達と琴未、そして閃華はそうとう面白かったのか、声にならないほど笑っていた。

「まあいいわ。丁度二対二だし、昇を賭けて決着をつけましょう」

「二対二? なに言ってるの、そっちの精霊は一人、こっちは二人よ。それともあなたも戦闘系の特殊能力を持ってるというの」

「ええそうよ。私の能力を見せてあげる」

 琴未は手を前に出すと声高らかに叫ぶ。

「雷閃刀<雷が走る刀>」

 前に出した琴未の手が一気に放電すると刀の形を形成、次に琴未自身を包んでいく。そして現れた琴未の姿は軽く放電している刀を持ち、巫女装束はそのままだが胸当て具足、軽装ではあるがたすきがけをしており、その姿はシエラ達と同様に精霊武具を思わせる。

「琴未?」

「昇下がって、彼女の能力は戦闘系の最上級」

「えっ」

「そうじゃ、琴未の能力はエレメンタル、精霊と同様の戦闘能力を得ることが出来る能力じゃ」

「それって、そんなに凄いの」

「今の彼女の戦闘能力は私達精霊と同様の力を持っている。普通なら契約者の能力は精霊を補佐をするぐらいの力しかもてない。例え攻撃系でも。昇、昨日の戦いを覚えてる」

「うん」

「確かに最後の攻撃は凄かったけど、戦闘は全てミリアに任せっきりだったの、それは契約者の戦闘能力が精霊に対してはるかに劣るから。でも、彼女の能力はその戦闘能力の差を埋めることが出来る」

「つまり今の琴未は……」

「私達精霊と同等の戦闘能力を持ってるって事、身体能力も含めてかなりの力が上がってるはずよ」

「琴未」

 そんな力を持っていたなんて。琴未にもエレメンタルロードテナーの素質を持ってるってことなのか。だとしたら、琴未とも戦わないといけないのか。

 昔からの幼馴染だからこそ昇は迷うが、シエラとミリアに迷いはない。売られた戦いは買うだけである、昇のために。

「ウイングクレイモア」

「アースシールドハルバード」

 二人とも精霊武具をまとう。そして完全に戦闘態勢に入っていた。

「さて、それじゃあ私もそろそろ行くかのう」

 閃華は高々と手を上に挙げる。

龍水方天戟りゅうすいほうてんげき<水の竜をまとう戟>」

 閃華の手から溢れ出す水は方天戟を形成、水はそのまま閃華を包み消えていく。そして姿を現した閃華は今まで来ていた巫女装束ではなく、チャイナドレスに鎧を付けた姿になっていた。そして方天戟には水の竜がまとい付いている。

 そして今度は手を前に出すと、対峙するシエラ達との丁度真ん中に魔法陣が現れ、光の柱が上り建つ。そして光の柱は広がりドーム状にその範囲を広げて、ある程度広がったところでその動きを止めた。

 青く染まった世界。どうやら閃華の精界のようだ。

「さて、これでお互いに準備は万端じゃな。それじゃあ、そろそろ……」

「ちょっと待って」

 昇は対峙する四人の間に割って入り、双方に向かって両手を広げる。それは明らかに戦闘停止の意思表示であり、悲しげな瞳を琴未に向ける。

「琴未、僕達が戦う理由なんてないよ。だから……やめようよ」

「昇……やっぱりダメ、戦う以外に昇を取り返す手段なんてないからよ」

「僕を取り戻すって、どういうこと?」

「琴未、この朴念仁にはもう本当の気持ちをぶつけるしか手段がないぞ。それともここで諦めて全てを忘れるか。まあ、どちらを選ぶも琴未の自由じゃがな」

「琴未?」

「でも閃華、もしそんなことをしたら、私達今までの関係まで崩れるかもしれないじゃない。そうなっても私は嫌よ」

 今にも泣きそうな表情で雷閃刀を持つ手が震えている琴未を見て、閃華は優しい笑みを浮かべながら琴未の肩に手を置いた。

「琴未、大丈夫じゃ。なにしろ昇の奴は朴念仁じゃからな。だから琴未が心配することは何一つとしてないぞ」

「閃華、それってどういう意味?」

「くっくっくっ、それは試してみればすぐに分かる。さあ琴未、自分の思いを昇にぶつけて勝ち取るがいい、何もかも全てを」

「閃華」

「うむ」

 琴未は力強く頷くと、改めて昇と向き合う。

「昇」

「なっ、なに」

 今まで感じたこのない琴未の気迫に昇は思わずたじろいてしまった。

「私、私ずっと……ずっと昇のことが好きだった」

 ……えっ。

「だから許せない。私から昇を奪ったその精霊達を、だから今ここで決着をつける」

「ちょ、琴未ちょっと待って、それってどういう……」

「だから! 私は昇のことがずっと好きだったの」

「だからこそ、琴未は昇にほかの女が近づくのを阻止していたんじゃぞ。それほど琴未は昇の事を好いておるんじゃよ」

 えっ、えーーーーーーーーーっ! それって琴未が僕のことをずっと好きでいたってこと。じゃあ、僕が今まで女の子と縁が無かったのは琴未の所為。って! 今はそんなことを気にしてる場合じゃない。

「えっと、琴未、そうなの」

 琴未は答えることなく、只顔を赤くして首を縦に振るだけだった。

 ……マジですか。というかこういうときどうすればいいんですか、誰でもいいですから教えてください。

 琴未の思いがけない告白に困惑するばかりの昇だが、突如そんな二人を引き裂くようにシエラが昇の前に立った。

「そこまでにしてくれる。これ以上私の昇を惑わせないで」

「私のって、勝手に昇を自分の者にしないで!」

「昇を思う気持ちなら私もあなたに負けない。私もそれほど昇を愛してる」

 なんですとー!

「それなら私だって同じだよ。私も昇が好きだもん」

 ミリアまでも! もういったいどうなってるの。

「くっくっくっ、さて昇、ここにそなたが好きだと言う女が三人もおる。さあ、誰を選ぶかは昇の自由じゃ」

 えっ、えっと、急にそんなことを言われても……どうすればいいの?

 戸惑うばかりの昇だが、シエラ、ミリア、琴未と真剣な眼差しで昇を見詰めている。必ず自分を選ぶと信じて。

 そんな中で只一人、この事態を楽しんでる人物がいた。いや、精霊か、とにかく閃華は面白そうにことの成り行きを見守ろうとしたのだが、いい加減に飽きたのか、琴未の肩に再び手を置いた。

「くっくっくっ、なあ琴未、だから大丈夫じゃと言ったじゃろ」

「これの何処が大丈夫なのよ!」

「まだ分からんのか。この朴念仁の初めて告白された相手が精霊も含めて三人。今まで女に慣れていない昇がこの状況で誰かを選ぶのは無理な話じゃ」

「それって、もしかして」

「うむ、昇がこの場で誰かを選ぶことは不可能。というか本当に誰かを選ぶことが出来るのかが心配じゃがのう。とりあえずこの場は昇を取り返すことだけを考えろ」

「どうやって?」

「精霊は一度負けた時点で契約者との契約を破棄されることとなり、二度と同じ契約者と契約は出来ない」

「つまり、私が今ここでこの二人を倒せば昇のと契約も消えて、もう昇の傍にいられないって事」

「うむ、そういうことじゃ」

「それならそうと最初から言いなさいよ。私のさっきの告白はいったいなんだったのよ」

「事の発端である琴未の思いを先に言っておかないと、勝っても負けても収集がつかんじゃろ」

「……そういうもんなの」

「そういうもんじゃよ。さて、一区切り付いたところでそろそろ始めるとするかのう」

 閃華が方天戟を構えるのを合図に残りの三人も戦闘体勢に入った。

「まったく、とんだ猿芝居に付き合わされたものね」

「まあそういうな、これも大事なことだったんでな。待たせて悪かったのう」

「結局戦うことになるんだね」

「ミリア、何か文句がある」

「シエラ、顔が怖いよ〜」

「はぁ、まあいいわ。とにかく勝ったほうが昇を手に入れる。それでいいわね」

「もちろん」

「っと、その前にそうじゃった」

 何かを思い出したかのように閃華は戦闘態勢を解くと、未だに混乱している昇の手を取り、その場から退避させてから強固な結界を張り、昇の安全を確保する。

「さて、これで気兼ねなくやれるじゃろう」

「わざわざの配慮ありがとう」

 嫌味たっぷりに言うシエラだが、閃華はまったく気にしてないようだ。

「いやいや、当然の配慮じゃ」

「ぐっ」

 何か負けた気がするシエラは、これ以上相手のペースに飲まれないようにクレイモアの翼を大きく羽ばたかせる。

 こうして器の争奪戦ならぬ、昇の争奪戦が開始された。








 えっと、ネット小説ランキングでは現代ファンタジーシリアスで登録してあるのですが、……なんですか、このラブコメ的な展開は、どうしてこうなったのかは私自身不思議でなりません。というか作者の言う事じゃないんですけどね。

 はいそこの方、じゃあ言うなよって突っ込まないように、なんとなく……しんみりとしたい時も有るんですよこれが。つーかもうめんどいので、突っ込みたい人は適当に突っ込んどいてください。

 ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。

 以上、意外とラブコメも書いてると楽しいと思い始めた葵夢幻でした。

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