第八十五話 お師匠様は神出鬼没
中央公園から南側に行くと閑静な住宅街が広がっている。昇達はその路地裏の更に分り難い場所までやって来て、やっと一息付いた。
精界を脱出してからというもの、人通りが少ない道を選んで進んできたが、さすがに精霊武具のまま走るわけにも行かないので精霊武具は精界を脱出した直後に解除していた。
だから今の昇達は普段着である。そんな昇達は物陰に隠れるかのように荒い息を整えていた。ダメージが大きかったミリアや琴未は立つ事すら出来ないようだ。そんな中で閃華は辺りを警戒し、シエラはモニターを出現させて何かをやっているようだった。
「それでいったい、何があったの?」
まだ少しだけ呼吸が整っていない昇が閃華に尋ねる。昇はフレトの相手をしていたから精霊達が完全契約を行っていた事をまだ知らなかった。
そんな昇に閃華は口に人差し指を指してみせる。どうやらまだ喋るなということらしい。確かに呼吸はまだ正常に戻っていないが、それ以上に閃華がそこまで警戒する事態に陥っていた事を昇はこの時にようやく気付いた。
それからしばらく昇達はそこで休憩していると昇はやっと平常の状態に戻った。先程の戦闘で疲れは残っているものの、大したダメージを負っていなかった昇だけに回復は早いようだ。
そんな昇に今度は閃華から話しかけてきた。
「どうやら追っては来ないようじゃな。さて、いろいろと面倒な事になってきておってのう」
「その話しには私も混ぜてくださいね」
突然上から声がすると、それは昇達の前に舞い降りてきた。
「与凪、やっと来た」
シエラが降りてきた者の正体を明かす。どうやら先程から与凪と連絡を取っていたようだ。
これで全員が揃ったと言えるのだが、昇はそれ以上に与凪の格好に気に取られていた。
与凪は普段着ではなく、グレーの上着に胸当てをしており、タイトのミニスカートをはいている。靴は革靴のようで手には手袋の上に手甲をはめており、その手には白い弓が握られていた。
セミロングの髪をなびかせながら始めて見る与凪の姿に昇は思わず見とれてしまった。そんな昇の視線に気付いたのだろう。与凪は自らの胸に手を当てるともう一方の手で弓を昇の前に差し出して見せてきた。
「そういえば私の精霊武具を見せるのは始めてだったわよね。これは私の精霊武具ファインレインボウ<霧雨の弓>よ。まあ、武器も防具も見たとおり攻撃的じゃないからね。だから私はサポート専門なのよ」
わざわざそのような事を付け加える与凪。けど昇はまったく違う事を思っていた。
確かに与凪さんも美少女と言えるほどだ。それがこんな精霊武具姿になると……なんか森尾先生が惚れるのも分るような気がする。
そんな事を考える昇。確かに与凪も精霊であるからには容姿は整っている。優しい目元にセミロングの髪などは良く似合っていると言えるだろう。そんな与凪が突然目の前に現れて契約を申し込んできたんだ。これは昇でなくても即答してしまいそうだ。
そんな与凪の姿を目の前に閃華はわざわざ咳払いすると話し始めた。
「さて、どうやら気付いておるのはシエラだけみたいじゃからな。最初は完全契約から説明するとするかのう」
それから閃華の説明が始まった。まずは完全契約がどういうものかという事、それからフレトと契約している精霊が全員、完全契約をしている事。だからこそその場での戦いを避けて逃げに出た事。そしてこれから完全契約に対して自分達が立ち向かわないといけない事を話した。
「なにしろ相手は完全契約じゃからのう。個人の力では完全にあちらが上じゃ。こちらがどう足掻いても勝てんじゃろ。じゃからこそ、あやつらは最初から個人戦に持って行ったようじゃな」
そんな感想を述べる閃華。閃華がそう思うにしてもちゃんとした理由があった。
「翼の属性をもっておるシエラ達は自ずと空中戦になるじゃろ。半蔵の能力を知っている私も自分の傍から皆を離れさせた事じゃし。あのラクトリーという精霊が完全にミリアと琴未を分断しおった。そうなると契約者同士の戦いは必然となるようじゃな」
偶然に必然を重ね合わせえた状況になったと言えるだろう。その事は否めなくとも、相手はこちらを合流させる事はさせる気は無かったし、出来なかっただろう。なにしろ完全契約だから、相手を振り切って合流するのは至難の業だ。
「つまり相手は最初から個人戦に持って行く予定だったと、そういう事ですか?」
与凪が確認すると閃華は頷いてみせる。
こちらの情報が漏れていたとは思えない。だから当初の計画なら半蔵の能力で戦力の分散から個人戦に持って行こうとフレト達もしていた。けれども両者とも予定外な事が続きながらもフレト達の思惑通りになってしまった事は確かだろう。
「なるほど、確かにそうなると逃げるしか手は無いですね」
そう言ってわざわざ溜息を付いてみせる与凪だが、その顔には軽く微笑が出ていた。
「私まで引っ張り出される時は何事も無いと思ってんですけどね。まさかこんな形で役に立つとは思いませんでしたよ」
「私も与凪を使う事になるとは思っていなかった。けど、思い付きが大当たりを引いた事は確実」
「思い付きだったんですか!」
シエラの言葉に過剰に反応する与凪。普段傍観者だけにいじられる事に慣れていないのかもしれない。
そんな与凪に昇は気付かれないように笑うと今後の事を話し始めた。
「それでこれからどうしよう。相手が完全契約なら個人戦だと完全に勝ち目が無いって事でしょ。そんな人達を相手にどうやって」
昇としてはどうやってそんな人達を相手に戦えば良いのか分からなくなってきているのだろう。だからこそ迷いが生じるのだが、そんな昇に閃華は勢い良く昇を指差した。
「それは昇、お前が考えるじゃ!」
「結局僕ですか!」
そんな漫才のような会話に先程までの重い雰囲気が一気に吹き飛んだ。けれども閃華としては冗談を半分、残りの半分を本気で言っている。
こういう状況を打破すべき能力を昇は持っている。絶対的な不利な状況、そんな状況でも希望を探し出せる能力を昇は持っている。だからこそ閃華も昇を契約者として選んだ。決して面白半分で契約したワケではない。そこまでの資質を見抜いたからこその契約だった。
まあ、そう見えなかったのは閃華の性格に寄る所が大きいだろうが、今はそんな事よりも今後の方策である。
まずはそれを考えるべきだと昇が考えていると誰かのお腹が大きな音を立って鳴った。
「ミリアが空腹を訴えてる」
「すでに夕飯は済ましてきておるんじゃがのう」
シエラと閃華がそのような感想を次々に口にする。その肝心のミリアはダメージがまだ抜けきっていないのか、地面に伏せっているままだ。シエラが確認すると気を失っているらしい。どうやらかなり手痛くやられたようだ。
そんなミリアに昇は笑いを込めた溜息を付くと、今度は琴未の方へと目を向けた。琴未は地面に座っているものの先程から一言も喋ってない。どうやらかなり沈んでいる。昇にはそう見えた。
だからこそ昇はわざわざ琴未の横に腰を下ろした。
「琴未、大丈夫?」
「……うん……平気」
どう見ても平気では無いだろう。今回の事は琴未にとっては完全に負けと言えるべき勝敗だ。悔しいのも分るような気がする。けれどもそれはしかたない事だと昇は思っていた。
「琴未、今回のはしょうがないよ。なにしろ完全契約なんて、そんな強さで個人戦に持ってかれたらに逃げるしか手が無いよ。だって完全契約なんだし、いくら琴未のエレメンタルでも完全契約と同じ強さなんて手にれられる」
「違うわよ!」
昇の言葉を遮り琴未が大声を上げる。その事で全員の視線が琴未に集まり、当の琴未は膝を深く抱えて顔を伏せる。
「今回の戦い……完全に遊ばれてたし、負けてた。それは強さだけじゃない、巫女としても、その役割としても完全に叩きのめされた。今の私は……もう巫女でも何でもない、普通の女の子でしかない」
確かに今回の戦いでは琴未は完全に翻弄されていた。それだけではない、咲耶の言ったとおり巫女とは本来神に仕えるものであり、その神の言葉を伝えたり力を借りたりするのが本業とも言えるべき職業だ。
そんな巫女を完璧に再現したのが咲耶と言えるだろう。そんな咲耶と自分を比べてみるとどうしても劣って見えてしまう。琴未は剣術では確かに強さを持っている。エレメントでの属性も強力な部類だろう。
けれども今回の戦いでは強さでも完璧に負けていた。なにしろ雷の属性は完璧に封じ込められていたし、遠距離戦を仕掛けてくる咲耶に近づく事もほとんど出来なかった。閃華の助けが入らなかったら完膚なきまで叩きのめされていただろう。
それが分っているだけに琴未の負けたという自覚は強かった。
「巫女としても、戦力としても昇の力にはもうなれない。完全に負けた私はもう、昇の役には立てない、そう思うと……」
それからは言葉に出来ないのだろう。ただ琴未の嗚咽だけが小さく聞こえてくるだけだ。
そんな琴未の隣に今度は閃華が座り、肩に手を掛けて琴未を抱き寄せる。
「ただ一回負けただけじゃ。よいか琴未、本当に負けたと言う事は次に勝つ事を諦めた時に負けたということじゃよ。じゃから今は次に勝つために何をすべきか考えるんじゃ。大丈夫じゃ、なにしろ琴未は私が選んだ契約者じゃからのう」
「……閃華」
閃華の胸に顔を埋めて完全に泣き出してしまった琴未。そんな光景に誰も言葉を発する者はいなかった。
負けたという考えは琴未だけのものでは無い。シエラですらそう考えているほどだ。直接戦闘には参加していない与凪でさえ、今回は昇達の負けだと思っている。
それほど全員の敗北感は強かった。それはもちろん昇でさえも。
けれどもここで立ち止まる昇達では無い。特に琴未などは立ち直りが早かった。
泣いていたのは少しだけですぐに琴未は顔を上げた。そして涙を拭かないままにこう告げる。
「強く……強くなりたい! 巫女としての役割だけじゃない、昇の力になるために強くなりたい!」
そう宣言する琴未に閃華は微笑むと優しく琴未の頭を撫で始めた。
「なら考えるんじゃ。どうすれば良いか、どうすべきなのか。それでも分らなければ分りそうな者に聞けばよい。琴未の周りに居るのは私達だけではないじゃろ。案外と意外なところからヒントが出てくる可能性があるもんじゃよ」
そう言われても琴未としてはどうすれば良いのか分らないのだろう。ただ閃華の顔を見詰めるだけだ。
「じゃから強くなれ琴未。自分が思った強さを得るためにのう」
「……うん!」
力強く頷く琴未に昇達は短い間だけだけど微笑を向けた。それから昇は天を仰ぐ。
……僕達は……完全に負けた。でも、ここで歩みを止めちゃダメなんだ。ここから逆転できる手を見つけ出さないといけないんだ。今はまだ分からないけど、時間はあまりないけど考えないと、あの人達の……完全契約に打ち勝つ道を。
そう決意する昇。そんな昇の姿をシエラは優しい瞳で見ていた。何かを思い出すかのように、だからこそ大丈夫だと感じる。昇なら何とかしてくれるとシエラは信じているから。
「ただいま~」
一応家に帰ってきた昇達だが、時間はすでに日付が変わるまで数時間しかない。彩香などはもう寝ているかもしれない。だから返事が無くてもあまり気にすることは無かった。
閃華が確認するとすでに寝ているようだ。それを聞くとミリアもそれなりに気を使っているのだろう。声の大きさを抑えながも騒ぎ出した。
「お腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いたお腹空いた」
「何度も言わなくても分ってる。だからこうして夜食を作ろうとしてる」
ミリアが訴える前にシエラはすでにキッチンへと入っていた。先程ミリアが気を失いながらも空腹を訴えてからこうなる展開は分っていたのだろう。だからこそ、その準備にはいる。
シエラがやるならと琴未までも手伝いに入る。その事にシエラは何かを言い掛けたがやめた。これは自分の役目では無いと思ったのだろう。だからこそ琴未の好きにさせる事にした。
騒ぐミリアを横目に二人は夜食作りへと励んだ。さすがにこの時間だ手の込んだ物は作れないから簡単に済ませられる料理をテーブルに並べるとようやく全員が夜食へとありついた。
「夜食の時だけは元気になるんだね」
夜食をかき込むミリアに昇はそんな感想を口にした。確かにミリアが受けたダメージは大きかったものの、今はではそんな事をすっかり忘れたかのように元気に夜食にありついていた。
「あの子は昔から食事の時だけは元気になりますからね~」
「へぇ~、そうだったんですか」
というか、ミリアがこの時だけは元気になるのは昔からだったんだ。
「どんなに厳しい訓練をしていても、食事となると何事も無かったように思いっきり食べてましたよ」
「そうだったんですか……って!」
ようやく異変に気付いた昇が立ち上がると隣で普通に夜食を頂いているラクトリーを指差す。
「いったい、どこからいつの間に入ってきたんですか」
「つい先程、入口から入ってきましたよ」
つまり玄関からちゃんと入ってきたという事だろうと昇は解釈すると全員を一通り見回す。けれども全員首を横に振るだけだ。つまり誰一人としてラクトリーを招き入れていない事になる。
「入口って一体何処ですか?」
「ほら、そこにあるじゃないですか」
普通に窓を指差すラクトリー。確かにここの窓は庭に出られる程の大きな窓だ。普通に洗濯物を持って行ったりと通用口になってるのも確かだが、普通はこれを入口とは言わない。もちろん昇もそう思っている。
そこは玄関じゃなくて窓ですよ。だから出入り口でも入口とはいいませんよ。
「一応中に向かって声を掛けたんですけど返事がなくて、なので勝手に上がらせてもらいました」
というか、そこから誰か来るなんて誰も思ってませんよ。しかもカーテンで外の様子なんて分らないし。
「そうしたら丁度夜食の最中だったので、食材を一人分たして私のも作ってもらっちゃいました」
いつの間にそんな事をしてたんですか! というかシエラ達は気付いてなかったの?
シエラに確認するが首を横に振るだけだ、どうやら完全に気付いていなかったらしい。一体どんな手口を使った事やら。神出鬼没とはこういう事を言うのでは無いのかと昇は思った。
「それでラクトリーさんはなんでここに居るんですか?」
当然の質問をぶつける昇。そしてラクトリーも当然のように返事を返してきた。
「その話は夜食が終わった後でいいでしょ~」
いや、そんな甘えたような声で言われても困るんですけど。
「だって喋りながら食事をするのはお行儀が悪いでしょ。だから話は夜食が終わった後でね」
まあ、その通りなんですけど……あなた敵ですよね。さっきまでミリアと戦闘してましたよね。それがなんで今は和やかな雰囲気になっているんですか! それにミリアだって突然ラクトリーさんが現れればビックリ……。
昇はミリアがラクトリーの存在を知ってまた怯えていると思っていたのだが、ミリアは食事に集中しているようで、それどこではないようだ。
……もう好きにしてください。
とうとう諦めた昇。もうこうなっては諦めるしかないとすでに悟っている。これも経験から学んだ物の一つだろう……本人の意思とは関係なく。
ようやく夜食が済んだミリア以外だが、ミリアは食べたりのかおかわりをせがむが、今の状況でこれ以上夜食を続ける気分には誰しもなれなかった。それはラクトリーも同じなのだろう。
ラクトリーはおもむろに立ち上がるとミリアの後ろに立って、どこからか取り出した『おしおき用』と書かれたスリッパでミリアの頭を思いっきり引っ叩いた。
その事で一度はテーブルに突っ伏すミリアだが、すぐに後ろを振り向くとそのまま固まってしまう。
「お、おっ、お師匠様───────────────────っ」
やっぱり今までラクトリーの存在に気付いていなかったのだろう。ラクトリーの存在を確認すると大声を上げてすぐ傍に居るシエラの後ろに隠れてしまった。
そんなミリアにラクトリーは溜息を付く。
「まったく、食事をしている時は相変わらずの集中力ですね。その集中力を他に持って行ければどれだけ役に立つ事やら」
そんな評価を下すラクトリーにその場に居る全員は思わず頷いてしまった。
「裏切り者───っ」
いきなりそんな事を叫ぶミリア。どうやらラクトリーの評価に全員が同意した事がよほど不満だったらしい。
「さて、それではそろそろ本題に入りましょうか」
ミリアの叫びを無視してラクトリーはそんな事を言いだした。こうして見るとミリアの性格は少なからずもラクトリーの影響を受けているのでは、と昇は思わずにはいられなかった。
そんなラクトリーが昇ではなくシエラに視線を送った。
「けどその前に、お茶をいれてくださいね」
……もうどう突っ込んで良いのか僕にはわかりませんよ。
完全に諦めた昇は大きな溜息を付き、このままでは話しが進まないと判断したシエラはミリアを振りほどくと、しかたなく全員分のお茶を用意して本題に入る準備に取り掛かるのだった。
「さて、それではまず私達の目的から聞いてもらいましょう」
軽くお茶をすすったラクトリーは急に真剣な顔付きになるとそんな事を言い出した。どうやらやっとここに来た目的を話す気らしい。
その前に閃華が手を上げて質問をぶつけるのだった。
「その前にどうしてお主がここにおるのか説明して欲しいのじゃがのう」
確かにその通りだ。ラクトリーがここに来た理由をまだ昇達は聞いていない。ラクトリーもうっかりしていたのだろう。というか、夜食だったのですっかり忘れていたのだろう。ようやくその事から話し始めた。
「今回私は使者としてここに来させてもらいました。契約者同士が同じ場所にいると先程ような事になりかねませんから、だから私が使者として話し合いに出向いてきたというわけです」
「つまり和平を結ぶ気は少なからずともある問う事じゃな」
閃華が問いただすとラクトリーは頷いた。
「ええ、けれども契約者同士が同じ場所に居ると先程のように争奪戦の影響で好戦的になります。それを避けるために私一人出来たのです」
一度でも精霊と契約して争奪戦を受け入れれば、精霊王の力によって好戦的に思考が傾く傾向にある。これは紛れも無い事実だ。けれども、これが適用されるのは争奪戦に参加を決意した者だけで、与凪達のように争奪戦に興味を示さない者には適用されない。
そうした争奪戦の適用者が同じ場所に居ると、お互いに戦う意思が無くとも思考が戦闘的になってしまう。これは争奪戦をスムーズに進めるためのシステムであり、閃華達でさえこれに何かしらの影響を与えることは出来ない。
つまりは争奪戦に参加表明した者同士が同じ場所に居るだけで戦闘が開始されてしまうように思考が移行してしまう。争奪戦戦闘システム。これがある限りは契約者同士が同じ場所に居て和平を結ぶのは難しいだろう。
もちろん例外もある。このシステムは思考を戦闘的に向ける物であって、かならず戦闘させる訳ではない。だから契約者同士が出会っても必ず戦闘になるとは限らないのだ。
好戦的にはなるが必ず戦闘にはならない。これが争奪戦戦闘システムの特徴と言えるだろう。
だからこそラクトリーはそれを避けるために一人出来たのだが、それは大変危険な事である事もよく分かっているはずだ。なにしろラクトリーが敵だったのだから。
「でもよく一人でこれましたね。僕達が今ここであなたを倒そうとしたらどうするつもりだったんですか?」
確かにその可能性はある。なにしろ先程まで敵だったのだからラクトリーが今でも敵である事には変わりない。
そんな昇の質問にラクトリーは微笑むとお茶をすすり優しい口調で答えた。
「私はミリアの師匠ですよ。そのミリアが好んで契約したあなたです。とてもそんな事をするとは思えません。私はミリアがそんな契約者と好んで契約しないと信じてますから」
昇とミリアの契約はミリアからの申し出、というよりかはミリアが勝手に行ったものだ。先程の説明でその事を聞いていたラクトリーは昇の人柄をそのように判断したのだろう。少なくとも、自分の弟子であるミリアがそんな卑怯者と好んで契約する弟子には育てた覚えは無いし、そんな弟子でも無い事はラクトリーが一番良く分かっているのだろう。
ラクトリーは優しい視線を昇に向けると次の事を告げた。
「だから、ミリアが好んで契約したあなただからこそ私もあなたを信じてみようと思った。その答えでは不満ですか」
最後に微笑みで切り返してくるラクトリーに昇は言葉を失ってしまった。さすがにミリアの師匠だけはあるのかもしれない。
昇がそんな事を思っているとソファーの後ろに隠れていたミリアが恐る恐る顔を出してラクトリーに質問をぶつけてきた。
「け、けど、お師匠様。どうしてここが分ったんですか? だって誰も追ってこないって皆言ってたし」
あぁ、そう言われればそうだよね。なんでラクトリーさんはこの場所が分ったんだろう。
昇も同じ事を思っているとラクトリーは静かに立ち上がり、ミリアの傍に行く。思わずソファーに隠れるミリアだが、ラクトリーはミリアの後ろに立つと首根っこを引っ掴み、片手で軽々と持ち上げて自分の顔を付き合わせる。
ラクトリーの顔は笑顔には間違いないのだが、周囲には黒いオーラが出ているのを昇は見たような気がした。それだけの雰囲気をラクトリーは出しているのだろう。そんなラクトリーと面を付き合わせているミリアは泣きそうな、というか、もう泣いている。
そんなミリアにラクトリーは静かに告げるのだった。
「地の属性は相手の精霊反応せえ登録しておけば、自分の力が及ぶ範囲内なら相手を探し出す事が出来ると教えた事がありましたよね。覚えてますか~」
「ももも、もちろんです」
完全に泣きながら答えるミリア。それどころか全身がかなり震えている。どうやらそうとう怖いらしい。
「なら、なんで先程のような質問をするんですかね。答えならすでに分っているのでしょう。それなのに何故質問したのですか?」
「え、えっと、それは、その、ほら、あれですよ、なんというか」
完全に返答に困るミリアにラクトリーの頭に怒りのマークが浮かぶ。その途端、急に庭の地面が盛り上がると鍵の合いている窓を勢い良く開けた。
「忘れたなら、忘れたと言いなさい!」
言葉と一緒にミリアを開いた窓から庭に思いっきり全力投球するラクトリー。投げられたミリアは庭に思いっきり突っ込むと、追い討ちを掛けるように地面が盛り上がり、ミリアを土で埋めてしまった。
どうやら全てラクトリーが地の属性でやったようだ。まあ、確かにこれだけの事をされれば恐怖も覚えると言うものだろう。
完全に意気消沈してシュンとなっているミリアがソファーに戻るとラクトリーは話を元に戻そうとした。
ミリアの身体は一度土に埋められたにも関わらず、土埃一つ付いていない。さすがにミリアの師匠なだけはあるのだろう。地の属性を使ってミリアについている土を全て払ってしまった。
これほどまでに属性を操作できるのだから相当の使い手には間違いないのは確かだ。
そんなラクトリーが話し始めた。
「ではまず、私達の目的ですが、これは皆様のご想像通り精霊王の力です。けれどもマスターはこれを悪用する気はありません。全ては妹のセリス様のためなのです」
そこまで話すとラクトリーは一度お茶をすすって話を中断させる。それからフレトとセリスの関係について話し始めた。
その内容は次の通りである。
グラシアス家はそれなりに名門の家で幾つもの会社を持っています。まあ、名門の金持ちの血筋だと思ってもらって結構です。
マスターはそこの跡継ぎなのですが、妹様のセリス様は幼い頃からの病弱で未だに病名すら分っていない病気を患っていました。
マスターはそんなセリス様を昔から溺愛してました。だからどうにかしてセリス様を助けようと何人もの医者を呼び付けては何とかしようとしたのですが、誰にもどうすることもできなかったのです。
完全なる不治の病。分った事と言えば、少しずつ衰弱して後数年で命数が尽きるとの事でした。
そんな時です。私達がマスターと出会ったは。まあ、私達の事は置いておきましょう。簡単に言いますと気が合ったからその時は四人一緒に行動していた。それだけでございます。
そして私達はセリス様にご執心なマスターの姿だけではなく、グラシアス家の跡取りとしての資質が充分すぎる事に気付かされました。人望、知略、眼力、どれをとっても優秀と言えましょう。まあ、欠点もあるは確かですが、誰しも完璧にはなれないも確かです。
だから私達はマスターに契約を申し出るのと同時に精霊王の力について話しました。精霊王の力は地球の活動を維持するものであり、その力を使えばセリス様の病を治す事も簡単に出来るのではないのかと。
なにしろ精霊王の力は地球を治し、維持し続けているのですから、その力を使えば不治の病といえども治す事が出来るでしょうと。
その話を聞いたマスターはすぐに私達との契約を決断しました。セリス様を治す為ならどのような戦いにも身を投じる覚悟はすでに出来上がっていたのでしょう。それで我ら四人と完全契約をしました。
まあ、私達も長く生き過ぎました。そろそろ最後の主を探していたので、マスターはその器に敵う人物と言えるでしょう。
こうしてマスターは争奪戦に身を投じる事になったのですが、初夏頃でしょうか、私は精霊王の力が動いている事を感じ取ったのです。
何が起こっているのかは分りませんでしたが予想は出来ました。争奪戦中は精霊王の力は無防備です。それを悪用する輩が現れたのだろうと。そう考えるのと同時に別の事を思いつきました。
精霊王の力が動いているなら、これを利用する手は無いと。このまま争奪戦を続けていてはセリス様の命数が先に無くなってしまう可能性があります。けれども、移動された精霊王の力をほんの少しでの使えることが出来るならセリス様を治す事が出来るかもしれないと。
その事をマスターに告げるとすぐに精霊王の力が何処に向かっているか調べるように言われました。そうして調べた結果、精霊王の力は日本にある事を突き止めました。それ以上の事は日本で調べたのですが、その結果として私達はここに辿り着いたわけです。
そこまで一気に喋ったラクトリーは一息つくためにお茶をすする。
「マスターはエレメンタルロードテナーになりたい訳ではないのです。ただセリス様を救いたいだけなのです。そのために精霊王の力を使わせてはもらえないでしょうか? その話をするために私はここに来たのですから」
これでラクトリーの話は終わったのだろう。お茶をすするとまるで昇達の返事を待つかのように黙り込んだ。
そんなラクトリーの話に動揺する昇。
そんな事情があったなんて、だからあんなに必至だったのかな?
確かにフレトや精霊達の攻撃には手加減も油断も微塵も無かった。それはそんな背景があったからこそ、あそこまで必至に戦ったのかもしれない。
そう考えると昇の心は揺らぎ始める。
それなら精霊王の力を使わせてもいいんじゃないかな。それで人の命が救えるなら……それは良い事だと思うから。
昇がそう考え始めた時に閃華から口を開いた。
「大体の事情は察したんじゃが、どうやってそれを証明するんじゃ?」
「……」
証明?
閃華の言葉にラクトリーは黙ったままだ。そんな二人に昇は首を傾げる。そんな昇を見かねたのだろう、シエラが二人の間にある確執を説明し始めた。
「確かにラクトリーの話は筋が通ってる。でも、それを証明できない限り嘘という可能性がある。話の内容が内容だけに相手の同情を誘う罠という可能性も否めない。だからラクトリーは今の話が本当であると証明しないといけない」
あっ、そういう事か。
やっと状況を理解する昇。
つまりラクトリーの話しが本当か嘘かの判断は昇達には出来ないという事だ。確かにどちらにしても筋は通ってるし話も良く出来ている。それだけに嘘という可能性を捨てきれない。
けれども昇の心はラクトリーに偏り始めているのも確かだった。
確かにラクトリーさんの話が嘘かもしれないけど、もし本当で時間が無い事だったたら取り返しが付かないことになる。それに……わざわざ日本に来るぐらいだし、もしかしたら時間が無いのかもしれない。
閃華が嘘だと言い出さなければ僕はそのまま信じてたかもしれない。それほどの説得力もあったし……でも本当だとも言い切ってはくれなかった。……そうか、ラクトリーさんもそれを証明する手段を持ってないんだ。それなら筋は通る……そう、筋は通るけど。
ラクトリーの話は信じてやりたい。けれどもそれを証明できないからには信じるわけにはいかない。そしてラクトリーからも何も言ってこない。昇の心は揺れるばかりだった。
いったい何を信じて何を疑えば良いのか分らなくなってきた。けど、心の片隅ではラクトリーの言うとおりであって欲しいとも願っている。
そんな葛藤を昇が続けているとラクトリーは溜息を付いた。
「確かにその通りです。今の私には先程の話を証明する事は出来ません。実際にセリス様に会って貰えれば良いのですけど。なにしろ不治の病で直る見込みが無いからには無理に日本に連れてくるわけにも行きませんから。今は信じてください……としか言いようがありません」
顔に悲しみが出てくるラクトリー。先程までミリアに対しての笑顔など今は見る影も無い。それでもラクトリーは大きく息を吐くとテーブルの上に一枚の紙を置くと静かに立ち上がった。
「私達が泊まっているホテルの場所と部屋の番号です。何かあったらいつでも来てください。私達だけが相手の本拠地だけを知っているのは卑怯ですからね」
それだけ告げると再び窓に向かって静かに空けた。微かに夜風が部屋の中に入ってラクトリーの長い髪をなびかせる。
「今は信じてくださいとしかいえません。どうかそれだけは分ってください。それからミリア」
呼びかけられて思いっきりビックリするミリアは昇の影に隠れる。どうやら昇が一番近くにいたからのようだ。
そんなミリアにラクトリーは微笑む。今度は黒いオーラが出る事無く、本当に優しい微笑をミリアに向ける。
「良き契約者と出会いましたね。もう私が心配する事は無いのかもしれません。こんな事を私が言う資格はありませんが、どうかミリアをよろしくお願いします。それがミリアの師匠としての最後の仕事だと思ってください。それでは……」
ラクトリーはそのまま外へ出ると姿が消えた。どうやら独特の移動術を持っているようだ。
ラクトリーが居なくなり、静まり返った部屋の中で昇は誰かが口を開くのを待っていた。いや、期待していたのかもしれない。ラクトリーの話を信じようと。
けれども、まったく逆の事がシエラの口から飛び出した。
「昇は……ラクトリーの話を信じたい?」
「えっ……」
まさかそんな質問が来るとは思っていなかった昇は返答に困った。確かに信じたいのかもしれない。けれども精霊王の力だ。その危険性は昇も充分に分っている。ここでうかつに信じて雪心のような悲劇を繰り返す事になったら目も当てられない。
そうと分っていても信じてやりたいと心の片隅では思っているのを感じていた。
昇が黙り込んだ事で再び静まり返る室内。そんな空気を斬り裂くように閃華はわざと咳払いをしてから話し始めた。
「何にしてもじゃ、このままあやつの話を信じる事は出来んじゃろ。なにしろ確証も無く精霊王の力を渡す事は出来んからのう。何かしらの代価か証明が必要じゃ。それか、それに変わる何かをじゃがな」
つまりは素直にラクトリーの話を信じるのは危険だと言いたいのだろう。昇だって言われなくてもそんな事は分ってる。けれども揺れる心を留める事は出来ない。ただ嵐のように大きく揺れ惑うだけだ。
そんな時だった。左手に温もりを感じるとシエラが昇の手を取って見詰めていた。
「昇だけじゃない。たぶん……皆が苦しい。でも、昇なら皆を救えると私は信じてる。だから私は昇の剣になって動くから。だから今は充分に考えて、皆が心安らげる状況を。昇なら……昇だからそれが出来るから」
「……シエラ」
今度は右手に温もりを感じる。視線を向けるとミリアが昇の手をシエラと同じく手に取っていた。
「お師匠様は普段は厳しいけど、大事な事だけは優しく教えてくれた。成功した時には一杯誉めてくれた。そんなお師匠様が昇に全てを任せたんだよ。だから昇なら皆を救う事が出来るよ。お師匠様は、ううん、少なくとも私はそう思ってるから」
「……ありがとう、ミリア」
二人の言葉に昇は何かを貰ったような気がした。それが何なのかは分らないけど、自分がやるべき事は分ったような気がする。
まだ何をやるべきかは分らないけど、何かをしなくてはいけないのだと。
そんな事を思いながら昇は窓から天を仰ぐのだった。
両手をシエラとミリアにとられ、静かに天を仰ぐ昇の後姿を見て琴未は消沈していた。今回の戦闘では役に立つどころか何も出来なかった。昇の役に立つ事は何一つ出来なかった。
それだけではない。あの咲耶という精霊を相手に巫女としても完全に負けを宣告されて返す言葉すらなかった。なら自分は何のためにここに居るのか、何のための力なのか、この力は何なのか考えざる得なかった。
心身ともにここまで叩きのめさせられた事は初めてだ。今までにも挫折しそうになった事もある。けどそれは自分の信じている心が有ったからこそ、ここまでこれたんだ。
それはいつか昇の力になるからと剣術はもちろん家事まで充分に習得していた。それなのに今回に限っては昇の力になるどころか、自分が信じていた巫女としての心構えさえも折られてしまった。
そうなると何を支えにして良いのか分らなくなった。それは先程のラクトリーが話した内容とはまったく逆の物だと言えるだろう。
フレト達は信じる物があるからこそ、あそこまで必至に戦える。けれども今の琴未は何を支えにして良いのか分らない。だからラクトリーの話に羨ましいとまで思ってしまったほどだ。
自分もそれだけの強さが欲しいと昇を支える事が出来る人になりたいと。そう思わざる得なかった。
そんな時だった。琴未の頭に先程言われた閃華の言葉が思い出される。琴未の周りに居るのは昇達だけではない。それに意外なところからヒントが出てくると。
その言葉を思い出すと琴未の脳裏に一人の人物が思い浮かんだ。
あっ、お爺ちゃんなら何かヒントをくれるかもしれない。そうだよね、私にいろいろと教えてくれたのはお爺ちゃんなんだから、今回も私の力になってくれるよね。
確かに玄十郎なら琴未達の事に精通しているし、琴未の力にもなってくれるだろう。けれども玄十郎はただの人間である。それが精霊を相手にどこまでヒントをくれるかとなると不安にもなるけど、琴未はたびたび玄十郎から助けてもらった事は何度もある。だから今度も、そんな思いがあるのだろう。
だからこそ、明日は朝一で玄十郎に会いに行こうと決めて、その事を全員に伝えるだった。
「うむ、行って来るが良いじゃろう。それでどこまで出来るか分らんがのう、琴未なら大丈夫じゃよ。それは私が一番良く分かっておるつもりじゃよ」
「うん、ありがとう閃華」
少しだけ涙が出てきた目を拭うと昇が琴未の目の前まで来ていた。
「僕もまだ自分がなにをすべきが分ってないけど、たぶん……僕も琴未も考えないといけないんだと思う。自分がやるべき事と進むべき道を。まあ、僕なんて何回も同じ事を考えさせられたけど、それでも考えるのは無駄じゃないと思うよ。それに琴未なら答えは見つけられるよ、琴未なりのね」
「うん、ありがとう。昇~」
涙を拭く事無く、そのまま昇に飛び付いて抱き付こうとする琴未。昇もそんな琴未の行動にビックリしながらも両手を広げるが、琴未が昇に抱きつく事は無かった。
途中で割り込んだシエラの蹴りが思いっきり琴未にヒットして弾き飛ばしたからである。
「今度からそういう雰囲気を作るの禁止」
「って、いきなり攻撃してきて何言ってるのよ!」
上半身だけを起こして文句を言う琴未。シエラは腕組したまま視線を合わせる事はしなかった。
「ワザとそういう雰囲気を作って昇に接近しようなんて作戦は通じない」
「作戦じゃないわよ! 自然な成り行きよ自然な!」
「……嘘吐き」
「なんですって!」
……えっと、両手を広げた僕はいったいどうすれば良いのでしょうか?
そんな事を思っている昇の肩に閃華は手を置いてきた。
「まあ、こんなもんじゃろ。これでよかったのではないのか。それからその両手はもう普通にして良いと思うんじゃがな」
「あぁ、うん、そうだね」
またいつものように騒ぎ出したシエラと琴未にミリアまで参戦して再び賑やかになる室内。そこに彩香が起きて来て煽るものだから、昇は近所迷惑にならないか心配になってきた。
それと同時に少しだけ安心する事が出来た。
そうだよね。問題は山積みだけど、少しはこういう事も必要だよね。だから今だけはいっか。
そんな事を感じる昇だった。
そんな訳でお送りしました八十五話でしたが、如何でしたでしょうか。そういえば始めてなんですよね、与凪が精霊武具を見につけてる姿って。
まあ、与凪が精霊武具を着けて登場する事は決めてたんですけど、いったいどういう格好の精霊武具にしようかは結構迷いましたね~。その結果……私の趣味が出てしまいました。
良いじゃないですか、あの与凪の精霊武具~。なにしろミニスカですよミニスカ。今までに無い精霊武具ですよ。さすがは与凪やってくれますね~。
さてさて、話を本文に戻しますか。
そんな訳でいきなり出てきていろいろと話して行ったラクトリーですが、昇達がどういう決断をするのかは次回以降のお楽しみって事ですね。
更にミリアと琴未。二人とも今回は完全に負けてましたからね~。琴未に関して言えば何も出来なかったの一言でしょう。確かに反撃はしましたけど、逆に閃華の救援がなかったらやられてましたしね~。それに巫女についても琴未は反論出来ませんでしたよね……確か。
それとミリア。こちらは完全に師匠であるラクトリーに翻弄されてましたね。これから先、この二人はどうやってこの壁を打ち砕いていくのか、それも楽しみの一つだと思います。
更に昇の前に立ち塞がっているのが完全契約です。昇はいかなる手段でこの完全契約に立ち向かっていくのかも見物かもしれません。
……まあ、時間があったからいろいろと考えたんですよ~。
そんな訳で次回はたぶん他倒自立についての説明があると思われます。……たぶんね。うん、閃華ならたぶんやってくれるよ。そう信じてます。
ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。
以上、エレメが復活した事がそろそろ知れ渡ってきたのかな、とか思ってみた葵夢幻でした。




