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4話 氷狼の村って、雷狼の村と変わらないのね

やっと氷狼の村に到着

凍たちは今後の行動指針を決められるのか?


凍「どうせなら村で退廃的にダラダラ生活するってのも手だよな」


だが断る

本編どうぞ~

森を昆虫たちが嫌いな木を辿って進むと幻狼の匂いを拾った。あとはこれを辿れば村に着くはずだ。前は焔が暴走しそうで村に戻るのは危険だと思ったが、今の焔は比較的大人しくなったから平気だ、と思う。きっと、多分、恐らく、そうだと良いな~。


【大丈夫っ、シッカリ凍の第一夫人だって挨拶してみせるよっ】


第一夫人って、まるで俺が貴族とかみたいな言い方だな。魔獣に重婚は少数だが当たり前にある。


「焔、今はその立場を楽しむと良いです。でも、いつか私が第一夫人の立場に取って代わってみせます!」

【……そもそも凍に何匹目の妻だっていう感覚があるのかしら?】


無いです。順番とか気にしたことありません。

さて、村に近付くにつれて匂いが多くなってきたな。知り合いの匂いもいくつか混じっているし、そろそろ到着か。

懐かしきかな、我が故郷……でもこれと言った思い入れが無いな。両親は油断すると俺の獲物を横取りするし、焔と出会ってからは同世代との絡み減ったし……俺って、友達少ない?


【凍の両親ってどんな狼なのかしら?】

【親切だったよっ。私が氷狼の村に来ていると必ず凍と2匹っきりの部屋にしてくれたしっ】

「くっ、私なんて凍君の部屋を見たこともないのにっ! これが格差ですかっ?」


そりゃ村にも入ったことないんだから当然だろ。ジャングルに行く前に近くまで来たらしいけど俺はその頃には王都に居たっぽいしな。

おお、不運不運。


お、見えてきたな。

氷狼の村にある家は基本的に木や土の塊でできた家モドキだ。扉も人間に家のようにスライドしたりドアノブを回したりするんではなく犬猫用の押すと板が上に開く形だ。幻狼は縦2メートルくらいあるから扉は屈んでも1メートルちょっとくらいの高さが必要。結構作るの面倒なんだよ。あると便利だけどな。

中は割と家によって違う。人化するかしないかで変わるな。俺の家は狼の姿で居ることが多いから簡単な部屋の仕切りと、偶にしか使わない小さなキッチンと、部屋には広めに敷かれた草の塊があるくらいだ。ベットみたいなもんだ。よく焔が俺にくっ付いて寝ていた。

ちなみに、村長の家は別の魔獣が来た時用に人化して過ごすことが前提の作りになっている。扉もドアノブを使った人間の家を同じ形をしているし窓もある。村であの家だけ浮いてるんだよな。


あ、俺たちに気付いた見張りの氷狼が走ってきた。


【凍か!?】

【久しぶり~】

【軽っ!?】


言い忘れていたが、氷狼の村は全部で100匹も居ない。そもそも幻狼種って一気に6匹くらい生まれるけど5歳までに1匹が2匹しか残らないんだよ。それくらいじゃないと自然界のバランス崩れるから丁度良いと思うけどな。あと大概のメスは一生に2回くらいしか子供を産まない。それ以上は狩猟とかの時間を考えると難しいんだよな。

今俺たちに気付いて走り寄ってきたのは俺の2つくらい上の氷狼だ。狩りは苦手だけど警戒心が強くて遠くで動くものを見つける能力も高い。


【お前、そっちのメスたちは何だ? それに、人化した蝶族を背中に乗せてるって……まさかっ!!】


おお?


【お前っ、焔ちゃんだけじゃ飽き足らず雷狼に蝶族まで囲いやがったのか!?】


正解、としか言えない自分が外道っぽくて嫌だ。


【俺たちのアイドルだけじゃ足りないってのかよっ!? 雷狼のメスも蝶族のメスも超良さそうじゃんか! 1匹分けろ! 格差社会反対!!】


ゴメン、五月蠅い。そして言ってることが滅茶苦茶だぞ。

放っておいて村に入ろう。


【あっ、無視すんな!】

【何だよ、まだ何かあるのかよ?】

【はぁ~……おかえり。焔ちゃんの親父さんがお前の家に泊まってるから村長の家に行く前に行っておけ】


……オスのツンデレとかキモいわ~




村に入ると色んな奴から睨まれたりした。完全に理由は同伴している焔と雷と花子だろうな。視線に質量があったら体中に穴が開いていそうだ。避けるけど。

家の前に着いて扉を開けようとしたら中から勢い良く開いて1匹の炎狼が出てきた。


【焔ああああああああああああああああああああああああああっ!!】

「お父さん、キモい」

【ぐふぁっ!!】


焔の接近を察知した親父さんが焔に飛び付こうとしたら焔が人化して法剣の腹で顔面を横殴りに叩いた。3バウンドで吹っ飛んでいくって、何のギャグ漫画?


【ああ、この痛み、この威力、確かに俺の娘だっ!】


やべぇ、打ち所悪かったんじゃないか? 倒れた先でピクピクしてるぞ。

焔の親父さんって親バカだったけどもうちょっと威厳があった気がするんだが。


「凍っ、早く家に入ろうっ。ご両親にご挨拶しなくちゃっ!」


あ、確かに。

焔は俺が扉を押し開ける時には狼の姿に戻っていた。


【ただいま~】


家に入ると左の壁際に簡易的なキッチンのあるリビングとも言える球状の部屋になっている。その中央には枯草が敷かれていて、2匹の大人の氷狼がゴロゴロしていた。


【あら、凍じゃない。お帰りなさい】

【凍か。旅して少しは焔ちゃんと進んだか?】


お袋と親父だ。そして親父は俺と焔がくっ付くと面白いからと何かと2匹きりにしたがる馬鹿だ。

あ、焔が狼に戻った。


【叔母様っ、叔父様っ、久しぶりっ!】

【いらっしゃい、焔ちゃん。で、凍、そっちの雷狼のお嬢さんと蝶族のお嬢さんはどういうことかしら?】


お母様、額に青筋浮かべて笑顔だなんて器用ですね。


【ありがとう。あなたも笑顔で冷や汗ダラダラだなんて器用ね。それよりも、2匹のお嬢さんたちを紹介してくれないかしら?】


うぅわぁ~、何て言おう。

まあ、正直に言ってしまうか。


【あ~、雷狼の方が渡辺雷で蝶族の方が山田花子。え~と、この度俺と番になることになった】

【へぇ~】


視線が痛い! 特に2匹から俺の匂いが強くすることが分かったみたいで凄く視線が痛い!

さっき視線に質量があっても避けてみせると言ったな。あれは嘘だ。


【焔ちゃんはどうなのかしら?】

【勿論私も凍の番だよっ!】

【あら、そうなの】


視線が強くなった!?


【初めまして、凍のお母様。この度凍に純潔を奪われて身も心も捧げることになった雷狼の渡辺雷と言います】

「以前から凍君と付き合いのあった元ワームの山田花子です。隣大陸の蝶王の娘ですが、凍君とはその、そういう関係ですっ」


なんだろう、2匹がシッカリと挨拶している間にお袋からの視線がドンドンきつくなる。


【ん~、デカした凍!】

【……あなた?】

【こんな別嬪さんを3匹も囲うなんて、オスなら無条件で1度は夢見る展開を実現させるたぁ、流石俺の息子! 俺も若い頃は色々頑張ったが、ついぞ手に入ったのは母さんだけだ。他にも美人さんは居たが、】


親父、お袋だけじゃ足りないって言ってるようなもんだぞ。


【あなた】

【はいっ!!】


ああ、やっぱり怒ったか。そして我が家のヒエラルキーではお袋に逆らうことは死を意味する。魔獣って基本的にメスの方が強いんだよな。


【で、凍は焔ちゃんじゃ飽き足らず雷狼の雷ちゃんに蝶族の花子ちゃんまで喰ったと?】

【凍、激しかったよねっ】

【3匹でギリギリなのよね】

「1匹でも足りなかったら危なかったです」

【……我が息子ながら、とんだ鬼畜野郎のようね】


酷くねっ!!


【ともかく、雷狼というのが問題ね。村長の家に行くわよ】


あ、そう言えば炎狼と雷狼の抗争に介入するために村を出て行方不明になったんだったな。そりゃ雷狼が居たら問題か。お袋の言う通り村長の家に行くか。

あ、親父はお袋に踏まれて善がってて、焔の親父さんは外でピクピクし続けてるぞ。これだから変態は困る。


初登場の佐藤夫妻、凍の両親だけあって強敵になる予定


凍「色々と苦労させられたぞ。焔とか焔とか、あと焔とか」


理由1個じゃん


では次回~

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