11話 知られちゃった!?
焔「凍のキス、激しかったぁ~」
凍「蒸し返すな!?」
帝都、そこは若き氷狼を大胆にさせる街
凍「違うからな!?」
本編どうぞ~
異常に疲れた焔の暴走事件の後は自然とお開きになった。
そりゃあ、呼吸困難に陥るほどの殺気を振り撒いた焔の傍に霊帝が居たがるはずもなく焔が妹を可愛がるように構おうとするのをなんとか『公務があるからまたねっ』だとか言って逃げやがった。
俺たちには予定なんて無いからその後は帝都のギルドで依頼でも探してみるかと思ったんだが、それは霊帝に止められている。何でもハワイアン民主国で帝都を救った天使と勇者の劇が本格的に始まったらしく俺たちの風貌で外に出たらパニックが起こりかねないそうだ。何て迷惑な。
そんなわけで、俺たちは大人しく霊帝にあてがわれた帝宅内の家に戻ったんだが、途中で有名人好きの侍とかに絡まれそうになって焔と雷と花子がキレて滅多打ちにしやがった。霊帝の客だってことで逆に不敬を働いた侍の方が罰として牢屋に放り込まれたけどやっぱりこいつらは危険だと思うんだ。
危険だと思うんだ。
「やっぱり凍は寝ちゃったね」
「ヘタレよね」
「さっきは焔にだけあんなに情熱的だったのに、ズルいです!」
家に戻って早々に俺は寝たフリに入りましたよ。だって起きてたら何されるか分かったものじゃないじゃないですか! あ、敬語はウザいな。止めよう。
疲れたのは事実だから休みたいのは本音だ。しかしまだ6時過ぎくらいで晩飯も食ってない……これは腹が鳴って起きてるのがバレるから腹減ったから起きたって言い訳で晩飯食って即寝る!
うん、晩飯は食えたよ。風呂にも入れたよ。それは良いんだが、
「凍の髪ってちょっと硬いよねっ」
「本当です。これは氷狼特有なんですか?」
「そうかもしれないわね。雷狼の私も少し硬い髪質だもの」
3匹に濡れた髪を乾かすって名目で遊ばれている。右からは焔のフワフワな感触、左からは雷の柔らかい胸、後ろにはサラサラな髪を垂らしてくる花子。
逃げたいけど動けない、このジレンマどうする?
「お前らは風呂は良いのかよ?」
「凍の髪も乾いてきたし、そろそろ入ろうかしら」
「入ろう入ろうっ」
「じゃあ、行ってきますね」
今日はギンガにスバルという変態親子が居ないからかなり静かに入れた。3匹は突入してこなかったのかって? 防犯はしてるから平気だ。
さて、先に寝るか。
と思ったら布団が1つしかない。しかも敷いてある。ベットで言えばキングサイズのやつで、やたらとフワフワで床の感触が分からないくらいだ。これなら人間が2人折り重なっても痛くないだろう……誰だ用意した奴!?
あ、手紙発見。
『前略、ハーレム維持に全力を注がないとそろそろ危険な展開が待っているだろう凍様、この度は私ども霊帝紹介をご利用いただき誠にありがとうございました。つきましては我が社が誇る最高級ハーレム用布団をお送りしたいと思います。
PS:これで3匹と存分に楽しむが良いさ! 僕が知覚できないように特殊な薬を周辺に撒かせてもらったよ。焔が怖かったから用意したんじゃないからね』
……霊帝とはOHANASHIする必要があるな。拒否は認めん。
しかし、これに寝るしかないのか……諦めよう。
「あれ、凍が先に寝ちゃった」
「逃げたわね」
「逃げましたね」
くっ、寝付く前に風呂上がりやがっただと!? いくらなんでも速過ぎる!
「折角凍に髪乾かしてもらおうと思ったのにっ」
「大丈夫よ。寝ているということはやりたい放題ということでしょう?」
「魔獣が寝姿を見せるだなんて、相手に何をされても文句は無いってことですよね」
……いや、その理屈はおかしい。
「早く乾かして布団に入りましょう」
「そうですね。何だか新品みたいですよ」
「フカフカだよっ」
焔さん、俺の横で暴れないで。良い匂いとか揺れとかで折角寝付けそうだったのが覚醒させられたっての!
「焔、髪を乾かさないと痛むわよ」
「そうだねっ。花子に負けちゃうしちゃんと乾かそうっと」
「焔は顔で圧勝しているんですから良いじゃないですか」
「雷に胸で完敗しいてるから他にも武器が必要なんだよっ」
「……そうですね。一緒に雷を倒しましょう!」
ああ、2匹が要らん決意を友情と共に固めている。きっと熱い握手を交わしているんだろうな。雷が呆れ顔で髪を乾かしてるのも想像できる。
「馬鹿なこと言ってないの。ほら、乾かすの手伝ってあげるからこっち来なさい」
そして俺の危惧する時間がやってきた。
いや、寝ろよって意見は分かるよ? でもほら、意識しているメスたちが近場でキャッキャウフフなことしてると気になるじゃん!
とは言ったものの、どうしたものか。
「凍君は寝ていますし、私は正面から抱き着けば良いのでしょうか?」
「仕方ないのかな?」
「それしかないでしょう?」
いや、普通に4匹で横になって寝るって選択肢もあるんじゃない?
そんな選択を焔に雷に花子が選ぶわけもないんだけどね。
「前からだと恥ずかしいですね」
言いながら胸に手を這わせんな! ギャー、どこ触ってんだ! そこは敏感だから止めろ! 何か変な気分になるだろうが!
「今日は凍からしてくれたんだよね……」
焔、俺は恐怖で仕方なく、って雷は耳たぶ噛むな!
ぐっ、しかし俺が焔に自分からキスしたのは事実。ここまで来たらオスとしてやることはやるべきなのか? 例えば焔が勝手に自分の股に持って行ってる俺の手を軽く動かすとか、
「ヒャアッ!」
しまった、つい花子の愛撫に反応して手に力が。
「ふふっ、花子のお陰かな。凍が積極的」
「あら、そうなの?」
雷さんはとうとう俺の手を自分の腰に回して横になったか。しかも、
「あら本当ね。花子の動きに合わせて指が動いているわ」
自分の胸に手を当ててやがる。抵抗したら起きてることがバレるし抵抗しなくても花子のせいで手が動いちまう……終わった?
ん? 雷は俺の耳元に口を寄せてるのか?
「凍はエッチね」
……俺が起きてることに気付いてるのか? ほとんど声を出さない吐息のような言葉だったから聞こえたのは俺だけか?
「ねえ、今日は凍にしてもらえるように頑張ってみるなんてどうかしら?」
おい、何をする気だ! 花子は愛撫の手を緩めて!
「例えば、自分から腰を振るように苛めてみるとかどうかしら?」
おい!
「そうすれば凍がしてくれるかな?」
「させてみないと分からないわね」
これは、どうしたら……
「よしっ、じゃあこうしよう!」
翌日、
「昨日の凍、激しかったぁ」
そりゃそうでしょうよ。初めて夜中にお前らが何してんのか知ったよ。
御陰で一睡もできなかったけどな!
凍はようやく夜中に何をされているのか具体的に知りましたというお話
しかし未だに鋼の貞操観念(笑)でヘタレを発動
凍「いや、え~……」
焔「大丈夫、落としてみせるから!」
雷「勝ったわね」
花子「ええ」
花子のネタへの繋ぎやすさが異常
では、次回~