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フェンリルさん頑張る  作者: けんしょ~
帝都その2
76/145

4話 撃退は、無理だと思うんだ

変態の居ぬ間に作戦会議

霊帝の将来は、そして貞操は凍たちの手に掛かっている!


霊帝「本当に頼むよ!」


凍「……俺に被害が無ければ別に良い気がしてきた」


諦めかけている凍に妙案を思いつくことはできるのか?

実は今まで何も根本的な解決をしてこなかった凍に頼るしかない霊帝の明日はどっちだ?

ギャーギャーと騒がしい診察を終えて帰った診察員たちを見送る気も起きずに霊帝を見てみると顔が死んでいた。


「ああ、焔、僕はもう、駄目かもしれない」

「レイちゃんっ、駄目だよっ、諦めちゃ駄目っ」

「ははっ、空が、本当に綺麗なんだ」

「レイちゃん!? ここは部屋の中で空なんて見えないよっ!」

「ああ、橋の向こうで弟が手を振ってる。今なら、心から姉として愛情を注げるかな?」

「行っちゃ駄目だよっ! そっちに行っちゃ駄目だよっ!」


「ううっ、うぅぅ~?」

「ギンガ、大丈夫よ。あの変態は今日はもう帰ったから、次に来るまでに森に帰りましょう?」

「あぁ、本、当?」

「ええ、本当よ。明日には帝都を出て森に帰れるわ」

「森で、母さんと一緒? 母さんだけと、一緒?」

「ええ、一緒よ。私たちだけよ」


……何このカオス。


「凍、私まだ寝ているのかしら。凄く酷い悪夢を見ているみたいなの」

「現実逃避するな」

「凍君、世界って、どうして『こんはずじゃなかったこと』バッカリなんでしょうか?」

「世界の心理は神様にでも問いただしてくれ」


ついでにバラバラのズタズタにしてくれると助かる。

しかし、お願いだから俺にフォロー役をさせないでくれ。正直かなり一杯一杯なんだ。


「はっ! ここは、僕の部屋か?」

「レイちゃんっ、良かったっ、戻ってきたんだねっ」

「え、ああ、心配かけて済まなかった、ね?」


あ、状況分かってないな。


「ギンガ、ちょっと気晴らしに行きましょう。レイちゃん、私たちはこれでおいとまするわよ?」

「あ、ああ。これで僕からの依頼は完遂だから準備ができ次第、森に帰ると良い。ギンガ、お互いに強く生きよう」

「分かった」


スバルとギンガは俺たちが来るまでの繋ぎだったのか。しかし色々な意味で不運な親子だな。当人たちは相方が居れば他は要らないだろうが。

2人を見送った後に霊帝が深刻な顔で俺たちを見渡した。次に続く言葉を探しているのか?


「さて、君たちに見てもらった2人の人間だが、どう思う?」


「無理っ」

「最悪ね」

「2度と見たくないです」


全面的に3匹に賛成だ。あれは色々とマズイ。自分が対象にされたら確実に心が折れる。相手の感情に敏感な霊帝なんかは数倍のダメージを受けてんだろうな。


「分かってくれたか! お願いだ! どうにかしてくれ! このままじゃ僕は国を出る前に生物として大事な何かを失ってしまう!!」


俺はギンガが心配だけどな。あの看護師、ギンガが帝都を出たって聞いたら探しに行くんじゃねえか?

ギンガは綺麗な銀髪だし結構な距離を離さねえと目撃証言だけで見つかるぞ。


「この際手段は問わない。何をもってしてもあの変態を止めてくれ。特に看護婦の方をだ! 看護師の方は次期院長としての立場もあってギンガを追って帝都を出るなんて出来ないはずなんだ! だけどあの看護婦は違う! 看護師の幼馴染ってだけで偶々この前僕の担当になってから異常な執着と行動力で勝手に担当になって僕を苦しめるんだ!」


あのショタコンが次期院長って、リストカット帝国も終わったな。内情は知らんが。

てか変えられないのか?


「言ったさ! 君たちが帝都を出て僕が帝宅で診察を受けるようになってから毎回! でもあの看護婦も看護師も僕の前以外では清廉潔白を装ってるみたいで子供の駄々程度にしか相手にされないんだよ!」


もう帝国出た方が良いぞ。そもそも国のトップの小さな我儘を無視する国立病院ってどうなんだよ。


「僕が聞きたいくらいだよ!」


「それについては某から説明させて頂きます」


ああ、霊士の……駄目だ、名前が分からん。


「ジン・サイキミヤと申します。前回の魔獣襲撃事件を受けて残った政治家たちは思ったのです、霊帝様は年相応の子供なのだと」

「僕はそもそも帝都に居たくないんだが?」

「ですので、決めたのです。霊帝様には、人は感情で納得できなければ例え権力者から重圧を掛けられても泣き寝入りしないことがあると知ってもらおうと!」


握り拳作って力説されてもな。しかも人選ミスの言い訳にしか聞こえないんだが。しかし帝都の皆さんはスルースキルがお高いようで。


「そして、霊帝様に相応しい殿方を探す機会を増やせればと」

「僕に結婚しろって言うのかい!?」


霊士、全然話が繋がらねえよ。


「何それっ!」

「好きな相手も決めさせない気ね」

「滅ぼしましょう」


物騒な奴らがここに居た!


「お間違えないようにお願いします。霊帝様がお相手を探す機会を増やしたいのです」


つまり見合いとかじゃなく出会いの場を作りたいのか?

ちゃんと説明しないと3匹が暴走するから結論を先に言わないと危険だぞ。うちのパーティーは話を最後まで聞かないの多いから。


「看護婦が嫌だ、どうにか診察をサボる、帝宅の外に出るしかない、運命の出会い。政治家たちはそう考えております」


いや待て、最初から貴族とかとの出会いのあるパーティーとか開けば良いだろうが。あの変態2人のリスク考えたら俺なら素直に舞踏会とかパーティーとかを選ぶぞ。


「最初は我ら霊士隊は反対しました。診察に訪れる件の看護婦の危険性は充分に把握できましたから。かと言って貴族との出会いと考えると躊躇うのです。霊帝様が現在隻腕であり、貴族は金儲けのために霊帝様に近付きかねない。そして霊帝様にはそれが敏感に察知できることでしょう」


まあ霊竜だし周囲の生物のちょっとした感情なら察知できるだろうな。ついでに霊竜と人間じゃ生まれてくる子供がどうなるか分かったもんじゃねえな。


「だから霊帝が自分で良い相手を見つけられるように帝宅に居たくない理由を作ったのかしら?」

「その通りでございます」


つまりあの看護婦は必要悪で看護師は一応のストッパーだったが、霊帝が呼んだギンガに目覚めてしまい相乗効果のある変態にジョブチェンジしたと……自業自得って言葉知ってる?


「僕は悪くない!」


「レイちゃんの代名詞になってきたねっ」

「8歳にはちゅらかったでちゅね~」

「良し良しですよ~」


雷が凄い活き活きした顔で霊帝をおちょくってる。仮にも一国のトップなんだがなぁ。


「なら僕の相手はこおr」

「舌を引き千切った後に腹を掻っ捌いて直接胃で堪能させてあげる」

「怖っ!!」


焔さんが久々のヤンデレモード入りました。霊士が完全に動けないし霊帝は……うん、ちょっと可愛そうなことになった。


「匂うわね」

「お漏らししちゃったんですね」

「凍に近付いたら、容赦しない」


何で雷と花子は良いのかが俺には分からない。そして霊帝は風呂に入って服を変えて来い。何か哀れで見てられん。


「じゃあ一緒に入ろっか」

「ええええええええええええええええええっ!?」


ああ、霊帝が焔に引き摺られていく。大丈夫か?


「私が見てきますから、凍君と雷は待っていてください」

「分かったわ」


アッサリと俺と雷の2匹きりを許したな。


「何して待とうかしら?」


本当にな。何もすること無いんだよな。


焔が気に食わなかった霊帝の何かとは何か!

読みづらい文面ですね

同じ漢字を連続で使うのって物書きしてると違和感が凄いです


凍「脱線してる脱線してる」


霊帝は周囲の政治家たちからは完全に孫やら娘やらに見られています

全開のロリコンに比べれば遥かに良いですが、感情が少しでも読める霊帝にとっては逆にやり辛い人間たちかもしれません


霊帝の未来にご期待ください~

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