7話 これが俺たちクオリティー
今回は凍が少しだけメスたちに頑張ります
まあ、まだまだヘタレですが
凍「ヘタレって言うけどな、生まれてくる子供のためにも親はちゃんとしているべきだろうがっ」
焔「凍ってばカタ~イ」
雷「ナニがかしら?」
花子「それは勿論……破廉恥ですっ!」
今更だよ花子
では、本編をどうぞ
花子の買った模様と凍がジョーカーになったところが分かりづらかったので直しました
あとレストランに行く時間がおかしかったのでそちらも直しています
個別デートも終わってようやく全員で遊園地を回れる。
ただし、1つ問題があった。
「じゃあ、行くわよ?」
「うんっ!」
「絶対に負けません!」
焔に雷に花子が火花を散らしながら睨み合っている。
理由は簡単で、俺の腕は2つだから腕を組めるのは2匹まで。腕組みの権利を賭けたジャンケン大会が開かれた。
アトラクション1つにつき交代のジャンケン大会が1回だ。腕を組んだ2匹は極力アトラクションに乗らないように歩こうとするから質が悪い。周囲の視線も心臓に悪い。
「ええええええええええっ!?」
「勝ったわ」
「焔、残念でしたね?」
「絶対そう思ってないよっ、ニヤニヤしてるよっ!!」
「当然です」
「だったら残念なんて言わないでよおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
お前ら無駄に目立つんだから少しは静かにしてくれ。さっきから凄い注目集めてて不愉快だ。
「凍~、雷と花子が苛めるよ~」
「焔は負けたんだから離れなさいっ!」
「焔っ、敗者は敗者らしく隅で体育座りでもしていてくださいっ!」
何て酷い光景だろうか。
美少女たちに取り合いされるのはオス冥利に尽きるが醜い争いは勘弁してほしい。ちなみに今は午前の11時くらいでこれからレストランにでも行って混雑する前に食事にするつもりだ。
「次のジャンケンは食事の後ね」
「凍君の隣は私たちですね」
「ガッデエエエエエエエエエムッ!!」
ああ、そういうルールで落ち着いたのか。
「あっ、でも凍の正面だっ!」
「「!?」」
気付いてなかったのかよ。
まあ隣が良いか正面が良いかは好みの問題だから仕方ないだろ。
「でも凍と『あ~ん』はしづらいわよ?」
「ああっ!!」
「残念でしたね?」
「だから嬉しそうだってばっ!!」
しかし、あんまり険悪じゃねえな。こういうのって結構険悪な空気になるって聞いてたんだけどな。
「だって凍は1匹だけを選ばないでしょ?」
「人間なら優柔不断でも、魔獣なら優秀なオスが複数のメスを囲うのは当然でしょう?」
「何だか凍君って、人間みたいな考え方の時がありますよね」
ぐっ、雷と花子には気付かれているな。
確かにまだ人間としての価値観が残ってるがこれでも大分人間らしさは抜けたと思ってる。ハーレムに抵抗があるのは人間時代の名残だけど……最近は大分ハーレムありかなって思ってんだよな。
「でもまあ、そんな義理堅いところは信用しているわ。あなたは私たちを裏切れないでしょう?」
「凍君の微妙な人間味は美点ですよ。あとはもうちょっと本能に忠実なら言うことなしですっ」
雷と花子が俺を絶賛してくれるが、焔は何の話か分からないみたいで指を口に当てて可愛らしく首を傾げている。
……いつか、俺が人間だった頃の記憶を持った魔獣だって話す時が来るのかもしれないな。向こうの世界に未練なんて全然全くこれっぽっちも無いけど。
さて、レストランに到着したんだが、
「凍、これ美味しいわよ?」
「凍君、このサラダだって美味しいですよ?」
「雷も花子も凍にベタベタし過ぎだよっ」
普段の焔よりはベタベタしてないと思うんだ。
右から雷がバジルソースのかかったチキンを、左から花子がレストランオリジナルドレッシングのかかったサラダを勧めてくる。無論『あ~ん』ではない。あんなことするのは焔くらいだ。
「凍っ、このソテーも美味しいよ? あ~ん」
いや、対面からフォークを伸ばすなよ。4人掛けのテーブルだとそれなりに距離あって大変だろ。
「その手があったわね。あ~ん」
「ええっと、そのっ、あ~ん」
無理に対抗意識燃やしてこっちに近付けんじゃねえ!
分かった、食べる! 食べるからっ! さっきから殺意の籠った視線が全方位から浴びせられてんだよっ! 特に人間の女から!! 何故か俺に!!
何だ? 焔と雷と花子はレズを量産しているのか? 勘弁してくれよ!?
あ、どれも美味い。
「凍のステーキも食べてみたいなっ」
「流石ね焔、1番距離の離れている対面からでも効果的に攻めてくる!」
「やはり最大の障害は焔ですねっ」
どうしよう、もう、疲れちゃったよ。
皆、僕は、凄く、眠いんだ。もう、ゴールしても、良いよね?
まあそんなことが許されることはなく、俺は午後も元気に3娘の玩具にされている。
でもちょっと売店に寄らせてもらった。
「凍が自分から行きたいだなんて珍しいねっ」
「何かあるのかしら?」
「売店だと、お土産でしょうか?」
ちょっと違う。
「デザイン違いでお揃いの何かでも買おうかって思ったんだよ。折角の遊園地だしな」
「凍とお揃い!」
「胸が熱くなるわね」
「凍君から恋人宣言っ!?」
何か最後おかしいけど放置。そして雷の場合は胸は熱くなるんじゃなくて大きくなるんじゃないか?
とりあえず4種類のデザインがある何かを探す。この遊園地は『不思議の国のアリス』を下地にしてるんだしトランプとかで4種類のデザインには困らないはずだ。
「こんなのはどうかしら」
「あっ、良いねっ」
雷と焔が何か見つけたらしい。
それはイヤリングや髪留めが置いてあるコーナーだった。
円、三角、バツ印、ダイヤ、ハート、クローバー、スペード、ピエロなどなど色々なデザインがある。ピエロは多分ジョーカーだと思う。
「こうなると誰がどれを選ぶかが問題ね」
「私はハートが良いなっ」
「私はクローバーでしょうか」
「私はダイヤ。皆違うと丁度良いわね」
ちなみに俺は問答無用でジョーカーにされた。何故?
「本当は凍がスペードがなのでしょうけど、それだとトランプをする時に花子が妬ましいから駄目よ」
「そうだよっ!」
「それに、凍君は切り札ですからっ」
最後何言ってるかちょっと分かんねえっす。
まあ何でも良い。皆で楽しめればそれで良い思い出だ。
焔はハートのネックレス(ほとんどチョーカー)、雷はダイヤのピアス、花子はクローバーの髪留め、俺はジョーカーの指輪を右手の中指でそれぞれ購入。焔が何故かスペードの棚を物色していたけど、何だ?
前に行った獣人村では俺がこっそり全員分買おうかとも思ったけど、こいつらなら一緒に買った方が喜びそうだったから最終日にこの提案をすることにしたんだ。
「えへへ、皆でお揃いだねっ」
「仲違いしたくはないし、丁度良かったわね」
「人間は2股、3股で大変ですからね」
魔獣は優秀なオスは多くのメスに子供を産ませ、劣等なオスには誰も近付かない。
メスは本能的に優秀なオスを選ぶのだからそれも仕方のないことだろう。だから1匹のオスに多くのメスが群がりハーレムになりやすい。
一応俺も同年代の中では優秀な方なのでハーレムは特に違和感のあることじゃない。
でも子作りは成獣まで待ってください!!
「明日はお休みで、そしたらキスタニア王国に行くんだよねっ?」
「花子は向こうの人間の街は見たことがないのよね?」
「はい。だから楽しみですっ。皆が出会った場所がどんな所なのか」
さて、遊園地はしっかりと堪能しないとな。
勿論、全員で。
……花子を王都に連れて行くのは良いとして、何かヤバいものを忘れている気がする。
凍が初めてメスたちのために自分から行動しました
これで少しはヘタレを返上?
まさか、まだまだ全然返上できないくらいの前科があります
凍「それでも俺は、やってない!」
焔「だからヤッてってば!」
雷「これだからヘタレは」
花子「乙女心が分かっていませんね」
ハーレムだと自覚してても受け入れない
凍は中々手強いです。いつかシバク