5話 最も不安な焔とのデートだ
お気に入り登録が555件を突破!
何故作者が喜んでるか分かった人はきっと同世代です
タッ君のクリーニング店のエプロンが似合ってないのが好きでしたw
でも前作のヘッポコジャーナリストも好きだったw
さて、2匹でデートの2日目なんだが……どうしよう。
昨日の雷はまだ常識的だったから問題無かったが、今日は焔だ。
良い予感が全くしねえのはどうしてだろうなハハハハハ……
「凍、あ~ん」
で、今は遊園地のレストランでランチタイムと洒落込んだんだが……
「どうしたの? 食べないの?」
恋人同士のお約束がやりたいらしくて滅茶苦茶恥ずかしいことばっかりやってる。
売店冷やかしたり移動するときに腕を組むのは当たり前。アトラクションを待つときでも組みっぱなしなせいで腕が痛い。ついでに周囲の視線も痛い。
ベンチに座るときは肩が触れるくらい近くに座る。アトラクションでは手に触れ続けないといけない。何か食べるときは1度は『あ~ん』をする。
……そろそろSAN値が無くなりそうだ。
「焔、お前の分が無くなるぞ」
で、昼時で混む前にレストランに来たんだが焔は俺に食べさせるばかりで自分ではほとんど食べてない。
「あ、そうだったねっ。じゃあ、あ~ん」
目を瞑って小さな口を精一杯開いている。雛鳥が親鳥に餌をせがむような姿だが焔がやると依存されているみたいで征服したい気持ちにそれ以上は考えるな俺!!
気を取り直してスプーンで俺のオムライスを焔の口の大きさに合わせて掬う。
「ほら、ちゃんと味わえよ」
目を開ける気は無いみたいだ。頬にソースが当たらないように気を付けて口に運ぶ。
スプーンが唇に当たるが少し中に入れてやらないと食べれないようなので少しだけ奥に入れる。苦しい思いをさせたいわけでもないのでゆっくり少しずつ入れていく。
「んん~」
美味しそうに舌でスプーンを転がし始めた。
「じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるっ!」
「音が汚ねえ!!」
舌で転がすなんて生易しいもんじゃなかった。スプーンを思いっきりしゃぶりやがった。
「ああっ、凍の唾液がっ!!」
大声で言うんじゃねえ!! 久々に純粋に変態ちっくなことされたから反応が遅れちまっただろうが!!
こいつ、俺に食べさせてもらう時を狙って俺のスプーンに付着した唾液を狙ってたのか。
……ディープキスじゃ足りないわけか?
「だって、遊園地来てからはしてないもんっ」
思い出したくねえ! あれは悪夢だった!!
そして、俺のスプーンが焔の唾液でグショグショなんだがどうしたら良いんだ?
「凍っ、早く食べないとオムライスが冷めちゃうよっ?」
「その前にナプキン取ってくる」
「大丈夫だよっ、綺麗だよっ」
やけに早々に俺が食べることを勧めてくるな。それもスプーンと俺の口を交互に見ながら。
「やっぱ拭いてくる」
「ああっ、なら私が食べさせてあげるからっ、ね?」
俺はそのスプーンが使いたくないだけなんだけどな。
「ほらほらっ、食べよっ」
……周囲に怪しまれて語り部が広めてる話に似てると評判になっても面倒だと考えると、諦めるしかないのか。
「凍、あ~ん」
焔が俺に向けてくるスプーンには焔のシチューが乗っている。
乗っているのだがスプーンには透明な液体がベッタリと付着してやがる。焔の唾液だ。
どんだけ俺に自分の唾液を飲ませたいんだよ!!
「ほらほらっ、折角の美味しい食べ物が冷めちゃうよ? ね? ね?」
ぐっ、俺の痛いところを突いてきやがる。
折角シェフが作った色々な生き物の結晶を最高に美味い状態で食わないなんて食に関わった全ての存在に対して侮辱行為だ。これは断れない。
しかし焔のやってるのも認められない。
大事な食べ物を唾液塗れにするとは何事だ!!
「あう~、ゴメンね」
ちゃんと謝ったので許して焔の出してきたスプーンを頬張る。
唾液の味濃い、折角のシチュー勿体ない、周囲の視線痛い、心折れそう、バカップル街道まっしぐら過ぎる、久々の連続ツッコミでちょっと安心した!!
最近は一言二言のツッコミばかりで凄い不安だったからようやく俺のアイゼンティティが取り戻せた気がする!!
え、違う? 俺のアイゼンティティはヘタレ? HAHAHA、何を言ってるんだい。
「午後はカジノに行ってみたいなっ」
まあ、デートなんだし焔の行きたい所に付き合うさ。
「凍~、ルール分かんないよ~」
はいやってきました遊園地内にあるちょっと遊べるカジノです。
子供の小遣いでも遊べるような小さなレートから18歳未満お断りな高レートまで色々だけど俺たちは中くらいのレートの所に来て、ポーカーやってます。
焔がやって俺は見てる状態だ。でも焔、不用意に俺の名前呼ぶとマズイぞ。
「はい、勝負ですね」
ポーカーでコールと言ったら勝負しなくてはならないのだ。
ディーラーの男は焔を連れてる俺に嫉妬してるのか嫌がらせで敢えて聞き流さないで勝負を続行しやがった。
焔が混乱しているので手持ちのチップを全額出してやる。
驚いた周囲の客たちが俺の金額に驚き全員降りていく中でディーラーだけが残った。
ディーラーはコールを掛けられたら逃げられないからサシの勝負だ。
でも俺の出した金額をブラフだと判断したようで、2枚変えてニヤニヤし出した。
俺に恥を搔かせてやろうという魂胆のようだ。
「お客様も大変ですね」
焔に話しかけているが本人は無視してる。というかルールが把握できずに混乱して俺のことしか見てない。やっぱもうちょっと勉強っていうか落ち着いて行動できるように訓練させたい。花子ならちゃんと教えられると思うんだ。
ディーラーはグヌヌって感じで頬をヒクヒクさせた後に手札オープンを宣言した。
2の3ペアに9の2ペアのフルハウス。普通なら勝てる手札だ。
「なん、だとっ」
しかし、顕わになった焔の札はスペードのロイヤルストレートフラッシュ。
「ブラフに全部賭けるなんて、3流のすることだろ?」
流石、幼いころからオス共に襲われても純潔を守り続けただけのことはある。ありえないくらいの強運の持ち主だ。
てか初手でロイヤルストレートフラッシュってどんな確率だよ!? 俺たち以外にも数人が手札配られてんだぞ? その中で初手で全部揃うってもう誰も勝てねえよ!!
「何か分からないけど、凍強~い!」
いや、強いのはお前だから。初手で最強手って何だよ。どんな理不尽だよ。
結局悔しそうなディーラーからレート分の金を受け取りポーカーの台を後にした。
そして、俺は焔をカジノに連れてくるのは本当に金に困った時だけにしようと心に誓った。
「お願いですからもう来ないでください!!」
こいつ、運営が土下座するほど馬鹿勝ちしやがった。
具体的に説明しよう。
ルーレットで28を選べば28が出て、5を選べば5が出て、俺が適当に『15にすれば』と言ったら15を選んで15が出る。他の客は焔と同じ番号を選ぶだけで大儲け。
ブラックジャックでは初手でスペードのAにハートの13、ハートのAにクローバーの11、ダイヤのAにダイヤの10の順番で引きやがった。つまり3勝負連続で初手勝ち。誰も勝てなくて勝負にならない。
ネズミたちは焔の美貌に落ちて焔が選んだ奴が何が何でも勝つように必死。客は焔が何に賭けるかを必死に見極めようとしてる。
その運分けてくれ……
焔、恐ろしい娘!
皆、凍が自分のアイゼンティティがツッコミだって言ってますよ
焔「え?」
雷「聞こえなかったわ」
花子「私のログには何も残っていません」
凍「お前らっ!!」
焔「凍が怒ったぁ~」
雷「よしよし、大丈夫よ」
花子「凍君っ、焔を泣かせないでください!」
凍「俺に味方は居ないのか……」
ヘタレ主人公に味方?
居たら本当に爆発させます
次回の更新は6月1日です
5の倍数日に更新だと月の境で連続更新になりますが、月1の連続更新くらいなら間に合うのです!