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3話 放浪は出会いに

前回の荒筋(嘘):とうとう姿を現した魔王が勇者たちにその毒牙を伸ばす。次々と倒れる仲間を前に勇者は目の前の3択に悩む。

逃げる

逃げる

逃げる

勇者たちの明日はどっちだ?

崖下の激流に飲み込まれてしまうと狼の体では上手く動けない。犬掻きくらいならどうにかなるが焔と離れないようにするのが難しい。だから俺は人化して焔を掴まえた。向こうも人化した。

親父さんの無茶な判断で一緒にされたが1匹より2匹の方が良いに決まってる。不安に押しつぶされて自滅なんて笑えないからな。


「凍っ、あっちに岸がある!」

「間に合うか?」


とにかく泳ぐ。岸に着く前に通り過ぎても壁沿いならば何かあるかもしれない。


「凍っ、後ろ後ろ!」


今度は何だ?

木の幹だった。

って無茶だろっ! 何で慣れない人間の姿で激流の中泳いで木に直撃コースなんだよっ!

まあ誰に文句を言っても状況は変わらないわけだが。

仕方ないので焔を庇って木の直撃に耐える。超痛い。

流れてきた木に人化した状態で上に乗る。狼の姿だと大きすぎるんだよ。人の姿だと丁度良い。

ズブ濡れで木の上に這い登るとようやく一息つけた。色々ありすぎで疲れた。


「……どうしよう」


焔が不安そうに呟く。

濡れた服は体に張り付いて細いが健康的な体のラインを晒している。焔って人化しても美少女なんだよな。

今はそんな場合じゃなくて!

激流の先を見る。

これだけ流れが速いってことはもしかして滝か?

予想的中、少し行ったらメッチャ開けた風景が見える。完璧に滝になってるな。


「焔、滝だ。はぐれるなよ」

「えええええええええええええっ!?」


それくらい気付いてくれ。

焔を抱き寄せしがみつく。これ絶対勘違いされるなと思うがそうも言ってられない。向こうも内心はどうあれ俺にしがみついてくれた。

これで離れ離れにならないといいんだが、ここまで来ると賭けだな。


そんな風に考えていたら滝に入口が見えてきた。あと3秒くらいだ。


「凍、絶対離さないでね」

「お前もな」


激しく揺らされながら滝壺に飲まれた。




…………生きてる?

生きてるよな?

ガバっと立ち上がり周囲を警戒する。人間や魔獣が近くに居たら襲われかねない。

…………居ないみたいだな。

滝壺がプライベートビーチみたいになっててかなり広い。パラソルとチェアさえあれば南国気分を味わえそうだった。

焔が居るのは分かってた。互いに相手のことを離さなかったらしい。幼馴染万歳!

焔の顔をペチペチ叩いて起こす。何かデジャブ。


「ぅ~……凍っ!」

「おはよう」

「あ、おはよ。じゃなくてっ!」


言いたいことはわからんでもないが、正確には汲み取れないな。俺は鈍いってわけでもないけど鋭いって程でもないし。


「う~、もういいよ。それよりも、ここどこだろう?」

「分からん。とりあえず人化したままで探索しよう。人間に見つかると面倒だ」


魔獣なら相手が誰だろうと攻撃する時はするけどしない時はしない。でも人間は俺たち幻狼を見つけたら必ず攻撃してくる。

御伽話なんかでは心優しい女性が怪我した魔獣を治療して仲良くなるなんてのもあるが、そんな奇特な人間がそうそう居るはずもない。

とりあえず焔に炎を纏ってもらい服を乾かす。


「私たちだけになっちゃったね」

「そうだな」


実は焔はオス恐怖症と言うか、オス限定の潔癖性みたいなところがある。そりゃ何度も襲われたらなるか。俺はメスに襲われたことはないから分からないが。

どうせイケメン成分少なめですよフンッ!


「でも、一緒に居るのが凍で良かった」


で、襲わなかった俺に懐いた。美少女に懐かれるとかちょっと犯罪の臭いがするな。俺のことだけど。


「そりゃ光栄だ。さ、行こう」


ここをプライベートビーチにしたいとは思うが今は無理だ。ここは仕方なく諦めてやろう。


「うんっ!」


そ、そんな嬉しそうな顔したって襲わないんだからねっ!

普通のことだっての。てか野郎のツンデレとかキモいな。自重しよう。


ふと思う。俺たちの髪は青白いストレートと紅くてフワッとしたロング。この髪じゃ人間から相当怪しまれると思う。

何度か森の浅いところで人間を見たが黒、金、赤、茶くらいしか見たことがない。

もしかして、人化してても襲われる?

人間って面倒だな。


まあ俺も元は人間なんだが。


ファンタジーの世界の狼が『もののけ姫』を知ってる訳がない。ツンデレなんて単語皆知らないしな。

それ以前に自分の名前と人間の名前を比べて不思議がることなんてまず有り得ない。生き物って自分の環境に疑問を持たないものらしいぞ? 俺は学者じゃないから詳しくは知らないけど。

まさか部活中に熱中症で死ぬとは思わなかった。再発防止運動とかしてくれると嬉しい。あのクソ顧問に対して復讐になるから。

俺って根暗。


「凍、このまま帰れなかったらどうする?」


……考えてなかった。


「私はね、凍と一緒ならなんでも良いよ」


美少女にこんなこと言われたら堪りません! 何もしないけどなっ!

そこっ、ヘタレとか言わない。

どこぞのファミレスの厨房バイトは4年も同僚のフロアチーフにノーアタックだったんだからなっ!

自分が何を言ってるのか分からなくなってきた。全然関係ないこと言って誤魔化そうとしたけど意味不明になっただけだったな。


「はいはい。それより鼻で同族の場所が掴めないのが痛いな」

「もう、いつもそうなんだから!」


テキトーに流したら怒られてしまった。

今そんなこと話してる余裕ないから! それどころじゃないから!

まずは安全を確保しないとな。

16年も狼として生きてると人間の美少女より狼の美少女が良くなるから不思議だ。人間だった頃にはできなかった動物の見分けも今では簡単だしな。

ってまた脱線してしまった。

は~、もう最初に会ったのが魔獣なら村への戻り道聞く、人間だったら同行して幻狼の情報集めて村に戻る。これでいいや。

昔から計算した行動とか後先考えるとか苦手だったしこんくらいで丁度良いだろ。焔は……今の状態じゃ何聞いてもまともな答え返ってこなさそうだ。


「最初に会った奴に幻狼の情報聞いて、それを元に村目指すって方針で良いか?」


一応聞いてみる。


「うん! それで良いよ!」


あ、何も反論ないのな。後先考えなさすぎなプランだったから人間は避けようとか昆虫系の魔獣避けようとか言われると思ってたんだけどな。


「凍のしたいようにして。私はそれに従うから」


何か依存されてる? まあ俺以外のオスに懐かない時点でそんな気はしてたけど……止め止め、考えたって答えなんて出ない。

あ、森抜けるな。人間が作った街道がある。


「おらおらっ! 出すもん出せよ! 金も飯も女もだっ!」


何か豪華な馬車がボロボロの服着た男達に襲われてる。


今回の纏め(嘘):勇者は自分の力不足を嘆き新たな力を得るために旅に出た。霊峰と呼ばれるドラゴンの巣に伝説の破魔の剣があると聞き向かうがあまりの寒さに仲間の魔法使い見習いに頼むことにした。

魔法使い見習いの活躍にこうご期待

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