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フェンリルさん頑張る  作者: けんしょ~
ジャングル
28/145

3話 アイテムなんぞ使ってんじゃねえっ!

お気に入り登録が100突破!?


まさかこんな最果ての小説がそこまで行くとは思いませんでした^^;

見てくださってる方々ありがとうございますm(__)m

花子の部屋の外で騒いでいた花子の家族は父、母、兄×2だった。

花子に部屋の外で誰かが盗み聞きしてると教えたら面白いように簡単に捕まった。ちなみに兄たちは花子の疲れた表情を見る限りシスコンらしい。

いい歳なんだから速く嫁貰って子作りしてろ。王族の義務だぞ? と思ったら長男はちゃんと妻子有り、次男も式をあげるだけらしい。

それでシスコンはヤバイと思うんだ。


「凍君、お口に合いますか?」


1晩過ごして翌日、洞窟から出たらジャングルでデカい切り株に王族らしき人化した魔獣が勢揃いして朝食を食っている。

王様、妻、長男、長男の妻、子供(2メートルくらいの芋虫)、次男、花子、俺、である。

メニューは花の蜜にココナッツ、俺用に虫(肉食だから)。蝶族は動物を狩るのに向いていないので虫が食卓に並んだだけでも驚きだった。


「ああ、花の蜜なんて口にしたことがないから新鮮だ」


ちなみに人化しているのはその方が小さくて動きやすいし、俺とサイズが合わないからだ。異種族が同じ食卓に着くときは人化できるならするのが一般的だ。蝶族の子供は人化できないからそのまま。

しかし王様と子供がシュールだ。ブーメランパンツのオッサンと人化した母親に甘える2メートルの芋虫……人間が見たら芋虫に襲われてると勘違いするんだろうな。


「凍君は氷狼なのに草でも食べますよね?」

「人化してればな。肉じゃなくても美味いものは美味い」

「ふふっ、そうですね。あ、蜜がついてますよ」


そう言って俺の頬に指を這わせて、自分の指についた蜜を舐めとった。

自分のやったこと気付いてるか?


「ほう、花子と凍君はそのような関係だったか」

「あらあら、若いって良いわね」

「やっぱ納得いかねーっ!」

「なんでぽっと出の氷狼と花子がこんなに仲良いんだよ!」

「オギャー、オギャー!」

「お~、よしよし、怖くないでちゅよ~。ちょっと静かにしてください」

「「「「スイマセン」」」」


王族が騒いだせいで子供がビックリして泣き出してしまったようだ。それにしても長男の妻、迫力あるな。


「くっそ~、お前の所為で」


妻に怒られた長男がこっちを睨んでくる。八当りじゃね?

ちなみに長男の子供は他にも居るが卵の状態で各地の巣に居るらしい。そこから生き残った子供が蝶族の直系になるそうだ。頑張れ各地の子供たち。


「お兄様が悪いです」

「お袋、花子が冷たいんだ」

「自業自得です」


妻は子供に掛かりきりなので母親頼りの長男であった。フォローはもらえなかったみたいだが。

で、朝食も粗方終わったときに王様が切り出した。


「では凍君、昨日話したことの続きだ」

「あ、はい」


さて、花子は微妙に暗い、母親は申し訳なさそう、長男と次男は悔しそう、長男の妻と子供は仲良くお話中。バラバラ過ぎだろ。


「人間が、このジャングルに攻めてくる」


やっぱ、そんなトコだよな。


「我ら蝶族に戦う術は少ない。この巨体で地面ギリギリを飛ぶだけでも人間には充分ダメージを与えられるが、同時にリスクもある。そして、このジャングルに居る蝶族に戦える者は少ない。

人間は食料に困っているわけでもないのに、このジャングルを自分たちの物にしようとしているのだ。そして、我らが邪魔なようだ。蝶族を討伐するために、近くの人間の村に100人もの騎士と冒険者が滞在している」


100か。妥当な数字なんだろうな。俺はこのジャングルの規模が分からないから何とも言えないが。


「動かせる投石器や石弓でもあれば蝶族への対策は可能ですからね。多分村には相当な武器も運び込まれてるんでしょう?」

「……その通りだ」


そうなると、防衛の準備をする時間を稼がないとな。確か蝶族には痺れ粉とか眠り粉とかあったはずだよな?


「一応策はあります。まずは防衛の準備時間を稼ぎましょう。

痺れ粉とか眠り粉はありますか? あるなら袋に入れて人間の村に持っていきたいのですが」

「凍君っ、人間の村に行くの!?」

「頼んだ手前、君に無理はして欲しくないのだが」

「昔馴染のためです。それに人間には慣れてますから。

ついでに仲間の情報でも探ってこようかと思ってます」


最後のは嘘だ。焔なら俺が探さなくても勝手に俺を見つけるだろうしな。


「……分かった。他に何か必要な物はあるかね?」

「お父様!?」

「変装用に顔も隠せるローブがあれば」

「前にジャングルで死んだ冒険者の物がある。袋もそこから出そう」

「なら必要な物は揃っていますね。では、早速村に侵入してきます」


さて、まずは人間の武器を壊しておこう。特に投石器と石弓は絶対に壊さないとな。


「凍君、本当に大丈夫なの?」


花子か。兄たちも居るな。


「平気だ。俺は人間の街で宿に泊まったこともあるしな」

「……やっぱり危ないよ! 私も一緒に行く!」

「「花子!?」」

「却下。邪魔になる」

「「「っ!」」」


ハッキリ言い過ぎたか? でも本当のことだ。今回は隠密行動がメインだしギルドカードで身分証明ができるのも俺だけだ。多分ピリピリしてるだろう村に身分証のない奴は入れないか、怪しまれる。人間に慣れてない花子がボロを出さないとも限らない。

やっぱり総じて邪魔だ。


「んじゃ、行ってくる。明日の昼になって戻らなかったら失敗したと思ってくれ」


ジャングル内の防衛策は王様に伝えた。後はその準備時間を稼げるかだけだ。

さ~て、楽しい楽しい忍者ごっこの始まりだ。




花子と兄たちに睨まれながらジャングルを後にして村に到着。何か日本史の教科書に出てくるような江戸時代の村っぽかった。新鮮さに目を奪われそうになったが意識から外して公衆食堂のような所で村の様子を探る。

顔は旅人風のローブを深く被って隠している。髪の色が目立つんだよ。

やっぱりジャングルに攻め入る気だな。そして逗留しているのはどう見ても侍だった。冒険者も流浪人みたいな服装だったし刀を差している人間が多い。

この大陸の文化は日本に近いようだ。

武器の保管庫の情報も侍たちが話しているのを聞けたので情報はこれで充分だろう。あとは壊すだけだ。




夜、どうせ壊したらジャングルに戻るので宿は取らなかった。投石器や石弓を置いている場所に監視は2人。田舎のバス停のような休憩所で座っているので屋根の上から王様からもらった眠り粉を振り掛けて眠らせた。

オッチャンが追加してくれたステークモードに感謝して、壊しますかっ!

ちょっとガッシャンガッシャン五月蝿いかとも思ったけど主要な部分を粉砕しなくちゃいけないから音が出るのはご愛嬌。

流石に誰かが寄ってくるような大音量にしないように気を付けて壊したので誰も来なかった。ついでに武器庫の火薬には水をぶちまけ、刀は折った。

やり過ぎたと思って反省している。後悔はしたかもしれない。


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