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フェンリルさん頑張る  作者: けんしょ~
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2話 そんな大人っ、修正してやるっ!

「る君! …る君! 凍君っ!」


はっ! 目の前に綺麗な黒髪の綺麗な黒いドレスのお姉さんが居て俺の顔覗き込んでてて嬉しそうに涙を目に貯めてて抱きついてきたっ!? 臭いで人化した魔獣だってのは分かるが誰だよっ!?

ありのままに起こったことを話すぜ? 知らない天井(洞窟っぽい)で起きたら見知らぬ美女が嬉し涙貯めて抱きついてきたんだ! 何を言ってるのか分からねえと思うが俺だって分からねえ! ラノベ乙なんてチャチなもんじゃねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わってるぜ。

いやいやいや、ラノベじゃありがちな展開だよ! 何テンプレにテンパってんだよ! そして真剣にこの方は誰なのでしょうか? 誰か教えてくださいマジでっ!


「え、え~と、ここは?」

「あっ、そうだよね! ここはあなたが目指してた大陸の蝶族の巣です」

「蝶族か」


名前のまんま蝶の魔獣で成獣は人化も可能だ。体長も10メートルくらいは普通だったはずだ。雨とかが凌いだり子育てに便利だから洞窟を巣にするとも聞いてる。しかし俺に蝶族も知り合いはいない、と思う。

そう言えば俺リストカット帝国の大陸に来れたんだな。


「懐かしい臭いがするから見に来たら凍君が人間に捕まってるからビックリしました。でも、もう安全ですよ」


あ、人間に捕まえられたと勘違いしてるのか。しかし懐かしい? この口調に覚えはあるが、あいつは蝶族じゃなかったはずだ。


「……もしかして、凍君、私のこと忘れちゃったんですか?」

「うっ」


そもそも誰だか分かりません。


「そうですね、あの頃の私は人化できませんでしたから。私は山田花子ですよ」

「は?」


ちょっと待て! 山田花子って俺の故郷の森に住んでたワームじゃなかったか? それが何で隣の大陸で蝶族なんてやってんだよ! 俺より2つ上だったのは覚えてるけどそれにしたっておかしくないか?

誰それ? っていう人は第1章第1話を参照ください。


「あ、混乱してますね? 蝶族は飛べる距離が長いですから王族は種を絶やさないように各地に卵を産み付けるんですよ。私は最近この巣に戻ったんです」


村を出る少し前から会わないなと思ったらそう言う事情だったか。


「村に挨拶に行ったら凍君は居ないし変な黒い魔獣に襲われるしで散々でした」


訂正、偶々会えてなかっただけらしい。しかも黒スライムに襲われるとか運ないな。


「そりゃ悪かった。炎狼と雷狼が抗争始めるかもって言われて村を空けてたんだ。そしたら人化した状態で旅することになったんだよ」


これまでのことを軽く話した。

カマキリに襲われて滝に落ちて人間の王都で情報集めようと思ったら黒スライムの襲撃に遭って旅することにして、都でちょっと揉めてリストカット帝国まで王子の護衛をする。要約すれば大体こんな感じだ。

焔と雷の話が出た辺でちょっと怖い雰囲気だったのは無視した。これ以上ヤンデレの知り合いは要らない。


「そうだったんですか。でも、普通の魔獣じゃ絶対にしないことをしていますね」


そうっすね。

普通は人間に正体がバレるのを恐れて人化できても人里には近付かない。同種の獣人なら友好的な態度、違う種族の獣人ならちょっと気まずい感じになる。

獣人は人化した魔獣と人間のハーフだ。獣耳と尻尾があったり、手足が毛に覆われてたり、足が逆関節だったり色々だが、人間からは忌避され魔獣とはどう接していいか分からず互いに気まずくなってしまうので独自の村を作っているらしい。会ったことはない。


「まあ、人間の作る料理は目新しくて美味いからな。半分くらいそれが目当てだ」


都でも色々食ったぜ? 鮭の塩焼きとか海鮮丼とか漬物とか。転生者だけど魔獣生活が長かったから新鮮な気分で食べれたな。


「……人間は貪欲ですからね」


何か暗い? 人間とトラブルでも起きたか?


「花子、入るぞ」

「お父様っ、どうぞ」


何か筋肉隆々で背中から極彩色の蝶の羽生やしたオッサン来た! しかもブーメランパンツ一丁。キッツイわ~

しかも花子の話から考えるとこのオッサン、蝶族の王様? マジかよ。


「君が花子がよく話してくれる氷琅の少年か。我は蝶族の王、山田太郎だ」

「あっ、えっと、このような姿で申し訳ありません。氷狼族の佐藤凍と申します」


まさか急に異種族の王に会うとは思ってなかったからテンパった。本当なら相手種族の謁見場みたいな所で狼の姿で名乗るべきなんだが、この部屋は10畳くらいしかないから無理だ。俺だけなら良いが相手は10メートルクラスの蝶、入り切らん。


「ふむ、礼儀はあるようだの。しかし氷狼が村から離れ人間と共に居たというのが不思議だ」

「少々込み入った事情で人化した状態で旅をしておりました。その折に人間の王子に護衛を頼まれたので同行しておりました」

「凍とやら、変り者だな」

「よく言われます」


で、俺はどうすれば良いんだ? 速くここを出ないと焔が何するか分からないんだが?


「お父様、凍君も疲れているでしょうし今日はこのくらいで」

「そうか、そうだな。凍君、君には少々頼みがあるのだが、明日、聞いてもらえるか?」

「力になれる範囲でしたら」

「それで充分だ。ではな」


ようやく解放された。まさか花子が王族だとは思わなかったな。そして王様のインパクト強すぎた。何だよあのブーメランパンツに極彩色の羽! せめて羽は隠して服は普通の着てくれよ!


「凍君、ゴメンね。急にお父様とお話させてしまって、ビックリしたでしょう?」

「ああ。でも仕方ないだろ? 自分の娘が男連れてきたら普通の父親なら顔くらい見に来るって」

「普通の父親に、見えますか?」

「美的センスが凄いのはよく分かった」

「あはは、そうですね」


笑が乾いてるぞ。気持ちはよく分かるがな。


「凍君は、本当に変わらないですね」


ん? またさっきの暗い表情だ。


「明日、お父様の話を聞いたらビックリすると思いますよ」

「でも、多分断れないんだろうな」

「……すみません。本当ならば、私たち蝶族の問題に凍君を巻き込むのは反対なのですが」

「蝶族だけじゃどうしようもないんだろ? 元々炎狼の問題に首突っ込みかけて、今は人間の問題に首突っ込んでるんだ。仲間と合流するのも難しいんだし、協力するさ」

「ありがとうございますっ」


微妙にウルった瞳向けないで! 焔の誘惑で慣れてるけどやっぱり美少女に弱いのは変わらないから! しかもちょっとずつ顔近付けんな! どうしたって綺麗な唇に目が行っちゃうから!


『花子、大人になって!』

『親父っ、俺の妹がどこの馬の骨かも分かんねえ奴に汚されるっ!』

『父として兄として、耐えねばならないのよ!』

『お袋までっ!』


暖簾のれんの外から4種類の声が聞こえる……覗きとは良い趣味だ。


前章の予告通り新キャラ?登場!

こいつが出てくとる予想できた人は作者も含めていないはず!


……勢いで出してしまった

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