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4話 修道女は恋する乙女

「神父さんっ、あっち、あっちに居るよ!」

「ありがとうございます! やっと見つけたぞ。観念しろっ、邪教徒めっ!」


まさか一般人に密告されてしまうとは思わなかった。服変えてこっそり部屋に戻ろうとした俺の計画がパーだ。てか神父ってかなり上の位じゃなかったか?

俺たち幻狼に宗教はない。信仰するものがないのだから当然と言えば当然だが。前世から無宗教だったがな。


「とにかく逃げるぞっ」


焔も雷も不満そうだが大人しく従ってくれた。

でもいつか爆発するよな。どうにかして教会を止めないと血の雨が降るな。下手をすれば都が滅びかねない。女性陣に武器持たせてるのが間違いな気がしてならない。


「待て邪教徒っ! いたいけな少女を2人も悪の道に引きずり込むなど言語道断!」


俺が黒幕扱いされているだとっ!


「貴様が彼女たちに命じて漁師に剣を向けさせたことは調べがついているのだ! 大人しく裁きを受けよ!」


あ、俺たち追っかけてるのシスターがウットリと見つめてた戦闘員だ。

これは……どうしたものか。


「凍、あの人間殺して良い? 良いよね? 凍を裁くなんて言ってるんだもん。凍の敵だよね? そうだよね? じゃあ殺そう!」

「ストーップ! 殺しちゃ駄目! 余計ややこしくなるから!」


また公衆の面前で焔を抱き止めなきゃいけないのかよ!


「貴様っ、少女を人質にとるなど! なんと卑怯なっ!」

「良い感じに勘違いしてくれてるわよ。あなたって本当に大変ね」

「楽しそうに言わないでくれ。ゲンナリする」


もうわざとやってんじゃないかと思うほど馬鹿な勘違いしてくれやがる。焔の手見ろよ、法剣に手かけてんぜ?


「凍が私を人質に? 何言ってるの? 凍は私のことを傷つけようとなんてしないよ? 私が傷つく前に何とかしようとしてくれるもん。凍のことを知りもしない害虫が凍を語るな!」


焔さん自由っすね。その気楽さの1割でも分けてくれたら俺はかなり楽になるんだ。


「な、何を言ってるんだ君は」

「凍を裁く? 誰が? 面白くない冗談だね? なら私も裁いてあげるよ。塵1つ残さなければ良いかな?」


あ~、教会の人からしたら意味分かんないだろうな。自分が救おうとしてる少女が自分に敵意向けてんだもん。


「焔、別に俺は怒ってないからここは逃げるぞ」

「うんっ」

「結局こうなるのね」


嬉しそうな笑顔と憂いのある表情、対照的だな。


「えっ、待て!」


待てと言われて待つわけもなく路地に入り家の上に飛び上がる。これで戦闘員は俺たちを見失うだろう。


「くっ、逃げられたか」


まあ2階建ての家に飛び上がったなんて思わないよな。


「しかしあの紅い少女は……いや、よそう。僕には不可能なことだ」


うわ~、切なそうな顔しちゃってるよ。またか? また焔なのか? モテるな。嬉しくはないだろうが。


「ふう、これからどうしましょうか? 宿には戻れないわよ」

「あの様子じゃ俺たちの部屋に踏み込んでそうだったしな。厄介な話だ」

「全部追い出すよ?」

「生きてることからだろ? それはマズイ」

「はーい」


不満そうに頬膨らませないの。潰してみたくなるだろう。


「とりあえず俺たちを逮捕命令を覆そう。このままじゃ旅の道具も回収できない」

「そうね。まずは教会に忍び込もうかしら?」

「だな」

「でも教会ってどこ?」

「「…………」」


焔さん、普段は天然でヤンデレなのに良いところ突いてくるね。50ポイントあげるよ。100ポイント貯まったら1つだけお願いを聞いてあげよう。


「シスター探して聞くしかないな。都のことは都の住民に聞くのが1番だ」

「はーい。臭いはあっちからするよ」


仕事が速い娘って良いよね。50ポイントあげるよ。何が良いか言ってご覧?


「子供っ」

「2年後」

「ブーブー」


だから大人になるまで待てと言ってるだろうに。最近焔へのツッコミが小さく済んでて助かってます。


「コントやってないで速く行きましょう。退屈だわ」


そう言う理由かよ。まあ雷っていつもこんな感じだけど。

とにかくシスターに位置を屋根から確認。丁度人の少ないパルテノン神殿みたいな建物に入っていくな。何々、

『海の都教会支部』

ここかよっ! わざわざ聞くまでもなかったよ! てか豪華だな! そして焔へのツッコミが減ったと思った矢先にこれだよ!


「案外あっさり見つかったわね。速く終わらせましょう」

「そうだねっ。凍を裁くなんて言い出した人間を血祭りにあげなきゃっ」


何だろう、都のためにも俺たちが出ていくのが最善な気がしてきた。

とにかく教会支部に忍び込む。狼の鼻の御陰で人間が近付いてくるのはかなり速い段階で気が付くので天井に張り付いてやり過ごす。

あ、司祭室発見。覗いてみる。


「あの冒険者たちは悪人ではない! 漁師たちが彼らに言いがかりをつけたのがそもそもの原因だ!」

「だが抜剣したのは事実なのですよ。言い逃れはできないでしょう? ねえ、キスタニア王国第1王女、ヘンリエッタ・キスタニア殿」

「私は、ただの修道女だ」

「ふふふっ、そうでしたな。では、自分が何をするべきかもわかるでしょう?」


シスターが赤いレンズの眼鏡のガリジジイと口論しているが言い負けている。

王族だったのか。王子とだいたい同じ年に見えるからどっちが上か分かんないな。


「それに賊を捕らえられなければ戦闘員の意味もないでしょう。このままでは戦闘員の縮小も有り得ますな?」

「くっ! 私に彼らを捕まえろと?」

「あなたは賊と多少なりとも交友があるのでしょう? なに、ただ我らが居る所に連れてきてくれればいいのですよ」


でなければあの熱血戦闘員がどうなるか分からない、と。おいおい、司祭のやることじゃないだろう。


「我らは神を信仰しているのではなく、人々が幸せに暮らせるように協力しているだけなのですよ。ならば人に牙向く邪教の者を見過ごすことなどできますまい?」


典型的な自分以外を認めない狂信者? いや、私腹を肥やす小物か?


「凍、あのジジイ殺そう?」

「私もあの手の手合いは嫌いだわ。焔に賛成」


どうしよう、俺もそっちの方が良い気がしてきた。


「そうだな、俺たち捕まえろって命令を取り下げさせてから殺すか」


アレに触ること考えたらウンザリしてきたけど。


悪代官キャラ登場。

すぐ消えるかな? 多分消えるだろうな。

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